Rascal・改 − Game Impression
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〜その景色の向こう側〜
発売日:1999.12.17 / Pure Platinum

◇ あらすじ

 人々が闇夜を照らす文明の中に生きはじめた時代。 そんな時代のあるクリスマスイヴの晩に欧州各国を結ぶ横断鉄道を豪華特急「マジック・アロー号」が試験走行を兼ねて疾走していた。
 主人公「イルマリ」はその列車の最後尾で夜空を眺めていたが、彼自身、自分が何故この場所に居るのか思い出せずにいた。 やがて車内に戻ろうとした時に一人の貴族らしき男が背中を撃たれ殺されているのを発見。
 その事を伝えるべく車内を移動していくうちにイルマリは車両を1つ移動する度に過去に戻り、未来(後部車両)へは二度と戻れない不思議な空間に列車全体が包まれている事を理解する。 一体「マジック・アロー号」に何が起こっているというのだろうか? そして本人ですら思い出せないイルマリ自身の素性とは?


◇ ゲーム概要

 シナリオ1本道のADVで、途中に選択肢が数回出現する以外はひたすら読み更けるだけで物語が進展していきます。 選択肢は移動する部屋を選ぶ場合とそれ以外の主人公の行動を選択する場合があり、前者はどう選んでもゲームに全く影響がないのですが 後者はCGを補完したりトゥルーエンドを見る為にはかなり重要。

 一応エンディングは幾つかありますが殆どのエンドは途中のバッドエンドとなってます。 トゥルーエンドまでの所要時間はスキップ無しで7〜8時間くらいかかるかも知れません。


◇ システム

 インストールに必要な容量は約66MB。 音声やBGMデータをが無いとは言え…かなり少なくてびっくりです。

 画面サイズは640×480の窓版とフルスクリーン版の二通りから選択可能ですが、この設定は覚えていないようで一旦ゲームを終了して再び起動させると窓モードに戻ってしまいます。 メッセージは「ゆっくり」「標準」「速く」「一瞬」の中から好みの速度を選択でき、文字フォントや文字サイズも変更可能になってました。 ただ「標準」あたりの大きさになると文章の中途半端な箇所で改頁してしまい、却って読み辛くなってしまうのが難点。 ちなみにスキップはCTRLキーで可能です。

 セーブファイルは10ヶ所まで登録できるんですが、ゲーム中は“選択肢が出ていない時のみ”セーブ&ロードが可能。 …わざとやってるんでしょうかね? そんな訳でマメにセーブをしておかないとCG回収に苦労しますので注意。 ゲームの動作は比較的軽めなので、それ以外での不満点は無かったです。


◇ グラフィック

 原画は「CARNELIAN」さん。 ちょっと少女漫画っぽいキャラデザですが結構気に入ってます。 このゲームではキャラの立ち絵が無いのですが、代りにフェイスウインドウがあり、数パターンの表情が用意されていました。

 CGは枚数こそそれほど多く無いですが、イベントなどの一枚絵は暖炉の炎で照らされたような色使いでなかなか雰囲気出ていてますし、丁寧に描き込まれていて綺麗でした。
 CGモードは一度トゥルーエンドを見たあとにトップメニューから入る事が可能になります。


◇ サウンド

 CD-DAの全30曲で構成されてました。 重みのある曲…とでも言うんでしょうか、凄く聴き応えのある曲が揃っていて満足。 特に「SANKTA LUCIA」、「間抜けなサンタへ」、「FOLLOW ME」といったあたりがお気に入りでゲーム以外でも偶に聴いています。

 CVは無し。 キャラは皆凄く魅力的なのでCVが無いのは非常に残念。 音楽モードはCGと同様、一度トゥルーエンドを見たあとに入れます。


◇ 感想まとめ

 時間物という内容と妙にインテリな会話からプレイ開始してしばらくは「訳わからん」という状態がひたすら続きましたが、マニュアルの人物紹介や用語解説を読んで雰囲気にも慣れてくる頃にはなかなか惹きつけられるものを感じました。 まぁハッキリと言ってしまえば「取っ付き難い」ってところでしょうか。

 概要でも書いたように未来から段々と過去へ行くという設定なのですが、イベント間の繋がりが把握し難く、プレイしていてかなり疲れる話でもあります。 どうもイベントの一つ一つが他のどのイベントに関係してるのかが理解しにくいんですよ。 登場キャラ一人一人の設定とかサイドストーリーのようなものも飛び飛びで挿入されてくるので余計に混乱してきます。 まぁ多分に私の理解力が足りてないだけという気はしますけど。

 クリスマス、魔女、時間移動など扱ってる題材や20世紀初めの欧州の雰囲気は良く出ていてなかなか良い感じです。 登場キャラも皆魅力的でヒロインの「シャルロット」は言うに及ばず、男キャラでも隻腕の「ルーッカネン」や「陳 端雲」、女性キャラでも「メル」や「芥川」など、どいつもこいつもカッコ良すぎ。 ただ、皆やたらと能弁というか理屈をこね回すのでこれまた非常に疲れました。 誤字もやたら多かったのもマイナスかと。

 エロシーンはシャルロットとのシーンに関しては綺麗です。 恋愛ゲームなどでエロシーンへの導入や内容に違和感があるのは結構ありますが、このゲームは本当に綺麗に描かれていて雰囲気を壊していないのが好印象。 ただ、逆に言うとシャルロット以外のシーンは個人的に今イチと言ったところ。

 全体的に大人の雰囲気が漂う内容なので、その手の雰囲気が好きなら楽しめるかも知れません。 個人的にはかなり取っ付き難い気がしたので、もう少し理解し易いテキスト描写にして欲しかったかな。


◇ お気に入りキャラ

 順当に行けば当然「シャルロット」なんですけど、ここは敢えて「ミルヒ」にしておきます。 彼女の純真な笑顔にそれはもう癒されました。 オヂさんにもクッキーくれ(笑)。


私的満足度: ★★★★★ ★☆☆☆☆

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