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不確定世界の探偵紳士
発売日:2000.04.21 / digi ANIME

◇ あらすじ

 とある街のクズ通りと呼ばれる裏路地に探偵事務所を構える「悪行 双麻」。 彼は“アイドラーライセンス”クラスAの敏腕探偵だが、自ら「運は極悪」と称する程の巻き込まれ屋である。
 そんな彼の探偵事務所にアイドラーという組織から依頼の電話がかかってきた。


◇ ゲーム概要

 ちょっと懐かしさすら感じる「見る」「話す」といったコマンド選択によって進行するタイプのAVG。 推理物っぽいですが、謎を解くというよりも「決まった時刻にある場所へ行く」ことでイベントが発生しプレイヤーではなく主人公が謎を解いていく感じでフラグ潰しの色の方が濃いと思います。 コマンド総当りを強制させられたりするような事はありません。

 最初の依頼以外にもゲーム中に別事件を依頼される事があり、複数の事件を同時に追いかけるといった事態も発生します。 それぞれの案件には期限が設けてあり、期限が過ぎると依頼達成時の報酬が無くなったりと結構臨場感がある作りになってます。 一応依頼を受けるか否かの選択がありますが、私は断ったことがないので断った後の展開は不明。

 難易度はちょっと高めですね。 上手い具合にフラグを潰せないと無駄に日数を消費してしまうことも多々あるかと。 私はなんだかんだで10時間くらい掛かった気がします。
 ちなみにエンディング後におまけモードがありました。 これとは別にCGが100%になった時点でも別のおまけモードがプレイ可能です。


◇ システム

 インストール容量は450MBほど。 一度インストールしてしまえば以後はCDレスで起動可能です。

 画面は640×480とフルスクリーンを切替え可能。 メッセージ速度調整やスキップ、バックログ閲覧機能もあり、全ての操作はマウスでもキーボードでも出来るようになってました。 更に「ボスが来た」機能も装備(笑)。 セーブやロードは事務所内で操作手帳を広げることで計10ヶ所まで登録可能でした。


◇ グラフィック

 原画は「スタジオβ」。 『EVE』に似てるなぁと感じる方が居るかも知れませんが、たぶん勘違いじゃないと思います。

 キャラの立ち絵は表情変化に乏しいですが、各キャラの描き分けはしっかりされてると感じました。 イベント等の一枚絵も数が多くて良いと思います。 ただ塗りがアニメのセル画っぽくて黒い縁取り線がやたら目立っていたのが気になりました。 まぁ意識的にそういう塗りにしてるようなんですけどね。
 CGモードはゲーム中の某店で「CGを買う」ことでCGモードが出現します。 もちろん買えるCGはゲーム中に見たものに限られますが…。


◇ サウンド

 BGMはDirectSound再生で曲数は不明。 シーンを盛り上げるといった点では割と良かったと思います。 ただ、ちょっと音質が悪いのが惜しまれます。

 CVは無しですが、効果音はなかなか上手い具合に入っていて夜中にプレイしてるときにちょっと驚いたたシーンなんかもありました。


◇ 感想まとめ

 主人公の設定とかお遊びコマンドとか会話のノリなどで結構『EVE burst error』を彷彿とさせるものがあってライター色が濃く出てる作品だなぁと感じました。
 特にお気に入りキャラにもなっているミントは『DESIRE』のティーナ、『EVE』のプリンに通じるものがありましたし、表面上だけでなく「記憶の継承」とかの扱ってるネタやテーマも同ライターさんの特徴が良く出ていて色々な意味で面白いです。 キャラもそれぞれよく立っているし味がありますね。 主人公もカッコ良いっす。

 肝心のシナリオですが…これも悪くは無いかと。 複数の依頼を解決していく過程で各所に散りばめられた伏線がラストイベントと密接に関わっていて、この辺りのリンクさせ方がなかなか上手いです。

 ただ推理物のゲームとして見た場合だと、とある屋敷イベントでオカルト・超常現象の類が原因となっている物があり、トリック解明にわくわくと胸躍らせていた気分が一気に覚めてしまったシーンがあったのが残念です。 いや、そのイベント自体は感動系で良かったんですけど、どうせならオカルト要素は無しでやって欲しかった。

 もう一つ残念というか惜しいのがラストイベント途中からエンディングに至る展開かな。 それまでの伏線を一気に消化させようとして、話がかなり急展開なので余韻に浸ってる暇がありません。 ラストは個人的に結構気に入っているんですけどね。

 エロシーンはストーリー上で特に無理を感じず、しかも数もそれなりに発生してくれますが、実用度は低いかな。 私的にはあちこちとマウスで弄くるクリックモードがちょっと鬱陶しかったです。

 とりあえずハードボイルドな探偵物に興味のある人、恋愛ゲームの主人公のヘタれ具合に辟易してる人、ちょっと歯応えのあるゲームを求めてる人にはオススメできる作品だと思います。


◇ お気に入りキャラ

 機械仕掛けの少女「ミント御剣」ですね。 彼女との一連のイベントでは思いっきり主人公に感情移入できました。 それまであまり事務所に帰らなかったのが彼女と生活するようになってからは頻繁に帰宅するようになりましたし(笑)。
 ちなみにミントの動力源は原子力だそうで…なかなかデンジャラスです。


私的満足度: ★★★★★ ★★☆☆☆

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