Rascal・改 − Game Impression
[メニュー枠OFF]

幽世ノ門 〜かくりよのもん〜
発売日:2000.05.19 / AIR PLANTS

◇ あらすじ

 退魔師として代々裏の荒事の依頼を請け負ってきた八十神家の跡取り「太陽」は「護りし者」を守護する5人の護封尊(ごふうそん)の一人である。 今回は依頼主に「阿祠弥教団」に入信して以来、音沙汰の無い婚約者の奪還を依頼され、他の二人の護封尊と共に目的の教団本部へ進入していた。 そしてそこで太陽達が見たものは生贄にされた何人もの女性と教祖である「阿祠弥」の不可解な言動であった。

 それとほぼ時を同じくして黄泉国との境界である「幽世の門」を護っていた「護りし者」の里が何者かに襲撃され、一族の巫女である「比良坂 籠女」を除いて皆殺しにあう事件が発生。 辛くも里を抜け出した籠女は護封尊を頼りに街へ降りてくるのだった。


◇ ゲーム概要

 2部構成になっている和風伝記物のADV。 物語の舞台が第一部では東京(?)、第二部が護りし者の里となり、どちらもいくつかの章に別れていて章の始めには「第一部 旅立ち」といった感じでアイキャッチが入ります。

 ゲーム進行は選択肢を選んでいくことで進行し、不適切な選択だと即BadEnd、適切なものでもその選択内容によって後半のヒロインとのイベントが変化します。 場合によってはヒロインじゃない場合も…(謎)。

 また随所に「式」や「魔物」といった類の者との戦闘シーンが入るのですが、これは制限時間内に5つの属性(火・水・土・木・金)をぶつけ合うことで進行します。 例えば敵の属性は一定周期で変化していくのですが火の属性には水を、水の属性には土をぶつければダメージを与える事ができますが誤った属性をぶつけると自分がダメージを受け、どちらかのHPが無くなったら終了です。 当然自分のHPが無くなればゲームオーバーですが…焦らなければ結構簡単。
 1プレイの所要時間はスキップ無しで2時間くらいでした。


◇ システム

 CD2枚組で片方がインストールディスクとなっていて問答無用で487MBほどのHD容量が必要になります。 ゲーム用CD-ROMが無くてもゲームは起動しますがBGMが再生されません。

 画面はデフォルトで640×480のウインドウモードで、ゲーム起動後にフルスクリーンに変更可能。 メッセージは標準でもかなり高速で速度調整やスキップもあります。 ただしスキップは未読・既読のチェックはしていません。
 セーブとロードはゲーム中にいつでも計10ヶ所まで登録でき、ゲーム中の日付(何日目か)やその時のイベント内容も一緒に保存してくれるので非常にわかりやすいですね。 もう少し保存領域が多ければ良かったのですけど。


◇ グラフィック

 原画は「くさなぎほむら」さん。 他のエア・ブランツ作品でもお馴染みですが、かなり大きな目のキャラですね、嫌いじゃないけど。 あと服装がみんな凄い…特に「丹 香由良」。つか香由良も凄いけど、あんなカッコの人と一緒に街中を歩く主人公達もある意味すごいと思いました(笑)。

 CGはキャラの輪郭部分がぼや〜とした感じで塗られてますが、これはこれで味があって良いと思います。 一枚絵もチビキャラが動くクオータービューも背景がかなり綺麗で枚数もそれなりの数があり、不満は感じません。
 CGモードは一度Bad以外のエンディングを迎えればトップメニューより入ることが可能になります。 他にイベントの回想モードも有り。


◇ サウンド

 CD-DA再生の全20曲。 どの曲もそれぞれのシーンを盛り上げてくれるし雰囲気も良く出ていて結構いい感じだと思います。 特に籠女のテーマ「神人の末裔」がお気に入り。 他に戦闘シーンでかかる「炎の戦士」もいいかな。
 あとOPとEDではそれぞれヴォーカル曲がかかり、OPはヒーロー物のアニメっぽい感じの男性ヴォーカルで個人的にはちょっと合いませんでしたが、 ED曲「月とキミと僕」はかなり気に入りました。

 音声はパートボイスで特定イベントのみ喋ります。 ヒロイン・男キャラとそして主人公も。演技は皆さん良い感じだと思いますが、個人的には主人公(&男キャラ)の声はOFFにできる設定があると嬉しかった。 これは演技が下手というのでは無く、個人的な好みとしてエロシーンで男の声が入るのが嫌だからという理由からなんですけど…。 まぁ主人公の個性がしっかりしてるゲームなので、これはこれで良いのかもしれませんけどね。


◇ 感想まとめ

 ゲームの雰囲気は「陰陽道」や「呪術」といった和風ファンタジーに、少年漫画・アニメのヒーロー物をミックスしたような感じかな。 物語全体を通して見るとシナリオ自体は非常に判り易く、ゲーム中の伏線から容易に先の展開が予想できてしまうのですが、テンポの良さと猪突猛進タイプの主人公のおかげでプレイ中の吸引力はなかなかのものでしたし、しっかりと起承転結がまとまっていて満足できました。

 ただ物語が「遥か神話の時代〜」から端を発し、「このままでは世界が消滅〜」というスケールの大きな展開になっても関連人物や舞台が狭い上に「とりあえずぶっ倒す!」なノリのためにあまり危機感や緊迫感には浸れません。 ノリ自体は好きですが…(苦笑)。
 あと、1つ1つのイベントが短めで、特に登場キャラなどは主人公が活躍しすぎで今一つ印象薄いです。 もう少しヒロインを含めた各キャラの側面(例えば醍醐だと妹とのイベントとか、かなめの場合は主人公との過去のイベントなど)や見せ場・活躍シーンを用意してくれればもっと盛り上がったのではないでしょうか。

 ゲーム中に発生する戦闘モードは慣れれば簡単だしダレずにプレイできるという点でも良いと思いますが、数が多すぎです。 初回プレイでは良いですけど2回目以降は戦闘シーンがスキップできるような仕様だと有り難かったかなと感じました。

 エロシーンはゲーム中にその手のシーンを目撃したり強姦されかかったりすることはありますが、主人公自身がヒロイン達と結ばれるのは終盤までありません。 場合によっては主人公とのエロ無しでエンディングを迎えることもあるくらいだし、シーンそのものもあっさりと終わってしまうので、この辺は期待しない方がいいでしょう。

 先にテンポが良いと書きましたが、見方を変えると展開が急でボリューム不足とも感じられます。 でもノリの良い和風ファンタジー物に興味があれば十分にお奨めできるだけの物はあると感じました。


◇ お気に入りキャラ

 主人公が熱血系でかなりキャラが立ってる反動でヒロイン達の印象が薄いのですが、やっぱり巫女属性として「比良坂 籠女」は外せません。


私的満足度: ★★★★★ ★☆☆☆☆

Copyright(c) 2007 SHEO