銀色 |
発売日:2000.08.31 / ねこねこソフト |
◇ あらすじ
どんな願い事も叶えてくれるという不思議な銀の糸…。
平安、鎌倉、大正、そして現代…と様々な時代と、その時代に住む人達の元で織り成す様々な物語…。
◇ ゲーム概要
全四章+αで構成されたビジュアルノベル。
パッケージ裏でも謳ってる通り徹底的に映画を意識した作りにこだわっているようで、横長の画面にテキストは二行表示という画面構成になっています。
テキスト&音声は日本語の他に英語版にも切り換え可能。
物語としては一本道で、途中で出る選択肢のほどんどは物語が分岐するようなことはないです。
偶にバッドエンドへ直行する選択肢がありますけど、それは選んだ後の展開が容易に想像できる物になっているので見たくなければ回避するのが吉。
ただ、CGはバッド系の展開でのみ表示されるものもあるのでCGコンプを目指すならバッドエンドも必須になりますけど…。
◇ システム
インストールは問答無用で約905MBほどのHD容量が必要になるので、残容量が厳しい方はご注意下さい。
なお、ゲームを起動するには常にGameCD-ROMが必要です。
画面サイズは640×480の窓とフルスクリーンの二通り。
マニュアルではフルスクリーンを推奨してました(笑)。
メッセージは表示速度を三段階から選べ、フォントの選択も可能です。
スキップはシステムメニューの「次の選択肢まで進む」を選ぶことででき、「回想」でテキストログも読み返せるようになってます。
更に「オートモード」でメッセージの自動送りも可能…と満足いく作りになってました。
セーブやロードはゲーム中にいつでも可能で、計20ヶ所まで登録できます。
選択肢の数は多くないので十分な数ではないかと。
◇ グラフィック
原画は「白凪マサ」さんなど計4人の方が担当されたみたいですね。
キャラデザイン的には結構気に入っているんですけど、髪型と服装以外でキャラを見分けるのは困難です(笑)。
あと瞳の描き方も特徴ありますね。
CGは塗りに若干のばらつきがあるような気がしますけど、イベント等の一枚絵は概ね悪くはないと思います。
枚数的にも少ないと感じることもなく、特に不満は感じません。
CGモードは最初からトップメニューの「おまけ」より入れます。
イベントの回想モードなどは残念ながらありませんでした。
◇ サウンド
CD-DA再生の全26曲。
しんみりとした静か目の曲が多いですけど、それらの曲が使用されるシーンに合っていて、なかなか良かったですよ。
ちなみに音楽スタッフは前作『White』と同じ方々でした。
BGMでのお気に入りは「Of One's Pure」かな。
OPとEDでかかるボーカル曲もそれぞれ悪くなかったです。
音声はそれぞれの章でメインヒロインとなるキャラのみ入っています。
演技の方もなかなか良い感じと思いました。
それと前作は何故かエロシーンが声無しでしたけど、今回は大丈夫です(笑)。
音楽モードは最初からトップメニューの「おまけ」より入れます。
なお、マニュアルではサントラ風音楽ということでヘッドホン使用を薦めてました(笑)。
◇ 感想まとめ
時代の違う4つの章それぞれが「銀の糸」に纏わる全体の話の「起・承・転・結」という感じになってます。
もちろん各章内部もそれぞれよく纏まってると感じましたよ。
当初は全ての章のキャラが血縁、もしくは転生物かと思いましたが…少なくとも血縁関係はありません。
転生に関してはプレイヤー次第ってとこでしょうか。
シナリオの方はというと…とことんシリアス路線で、どの章も哀しく切ないです。
主人公を含めて登場するキャラ達はそれぞれの時代ならではの身分や境遇、そして(現代から見た場合の)悪しき風習といったものからくる負の部分の影響を強く受けた被害者とも言える立場の者がほとんどで、かなり重い話が展開します。
そういった各時代の幸薄い人達の手を渡ってきた「銀の糸」が、糸に纏わる話(願いを叶えるという話)を知っている者・知らない者それぞれの願い事とそれに関わった人物達の織り成す物語が、単に不幸な話・悲しい話だけで終わってなく、それ以上に色々と考えさせられるシナリオになっていたことが私的にはかなり好評価してます(例えば1〜3章の最後の願いはどれも通じるものがあるんですよね)。
そして四章では、それまでの各章を踏まえた上でのまとめ方がなかなか良かった。
個人的には一章との関わりが面白かったです。
ただ、三章は「糸が起因となる不幸」で展開していくので話を進めるのが少々辛かったです。
更に主人公もヒロインも自分自身を卑下しすぎて「僕のせいで」「私のせいで」「ごめんなさい」な展開がかなり鬱陶しいと感じました。
銀の糸に関する側面としてはかなり重要な話なんですけど、もう少し進め易いテキストだとあり難かったかなと。
あと、このゲームは一度エンディングを迎えると「おまけ」よりおまけシナリオをプレイできるようになります。
シナリオは全部で4つあり、うち一つが前作『White』ネタで他は『銀色』キャラを使った色々な漫画やゲームネタとなってて私的には結構ウケました。
おまけ用の曲も書き起こしてあったりして変なとこに凝ってますね。
ちなみに私が1番ウケたのが「ドラクエ」ネタの武器屋での商品「マチカネイワシミズ: 無料」(笑)。
エロシーンはシナリオ進行上の1イベントとして捉えた方が良いと思います。
実際、どのシーンもここぞという良いタイミングで挿入されていて違和感ありません。
シーン自体は割とあっさり風味で実用度は低め。
そんな訳でエロや萌えを求めてる人は手を出すべきではないタイトルと思いまけど、切ない系の話に少しでも耐性があるのなら是非やって欲しいと思います。
映画的な作りも成功してる感じでしたし、1・4章の詩のようなテキストも雰囲気出ていてよかったです。
また、泣きゲーに最近多くなったプレイヤーがシナリオを咀嚼しなければ訳わからんというようなことも殆どありません。
まぁ少し人を選ぶゲームであることは確かですけどね…。
◇ お気に入りキャラ
第二章ヒロインの「狭霧」かな。
決して巫女さんだからという訳ではなく…いや、それもありますけど…ほとんどのヒロイン達はかなり重い不幸を背負っているんですけど、そんな中で狭霧の明るさや強さは異彩を放ってたように思えます。
他に「あやめ」もお気に入り…って、あやめと名乗るキャラは何人か居るんですけどね。
◇ 備考
所要時間: 14〜5時間
私的満足度: ★★★★★ ★★★★☆
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