Rascal・改 − Game Impression
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Bless 〜close your eyes, open your mind.〜
発売日:2000.09.08 / BasiL

◇ あらすじ

 10年前、親の転勤の都合で緑王町を去ることになった主人公。 彼には当時、妹のように毎日遊んでいた幼馴染みがいたが、主人公が引っ越してから間もなく、その娘の泣いている夢を頻繁に見るようになった。
 それから10年…今では名前も顔も思い出せない幼馴染みの夢が主人公に助けを求めてるサインだと確信し、高校卒業と同時に単身その街に戻ってきたのだった。
 巨大なLANの実験都市となっているその街で、主人公はチャットを転々としながら目的の幼馴染みを探し続ける…。 そしてある日、友人から聞きつけた出会い系チャット「Masquerade」に辿り付くのだった。 果たしてここで主人公の探してる幼馴染みは見つかるのだろうか。 それとも新たな出会いが待っているのだろうか…。


◇ ゲーム概要

 ゲームは2〜3択の選択肢を選んでいくことで進行するオーソドックスなADV。 特徴として日常シーンの他にチャットでのコミュニケーションも大きなウエイトを占めています。
 エンディングの存在するヒロインが6人(うち1人はBadEndっぽい)のマルチシナリオとなっているんですけど、各シナリオへの分岐ポイントが今一つわかり辛い気がします。 なんとなく3日目までのチャットでの選択肢と、その間に日常シーンで出会う女の子への対応で分岐しているような気がしましたが…イマイチ自信がないです(苦笑)。
 ゲーム期間は12月1日から大体31日までの1ヵ月間。 ただヒロインによって若干短くなることもありました。


◇ システム

 インストール容量は約488MBほどで、インストールサイズの指定はできません。 またゲーム起動には常に「GameDisk」が必要になります。

 画面サイズはフルスクリーン固定。 メッセージは文章がノーウエイトで表示されるタイプで、文字送りの間隔を調整するような速度調整機能はありません。 スキップやバックログ閲覧はテキスト枠に付いてるスイッチで行えるようになってますけど、対応してるのは日常シーンのみで、チャットではひたすらクリックあるのみです。 またチャット画面では選択肢を選んだ後の反応がやや鈍いかな。 これはメーカーサイトにある修正ファイルを当てることで改善されますのでプレイ前にDLしておくことをおすすめします。 修正前のデータと一部互換性が無いみたいですし。
 セーブやロードもチャット画面では行えず、日常シーンでも選択肢が出ている場面では不可能。 保存領域は10ヶ所あり、個人的には丁度良い数かと思います。

 システム面での個人評価は10点中4〜5点くらいで、残念ながらあまり快適とは思いませんでした。 また致命的なバグとして皐シナリオのキスシーンで止まる現象が発生しますので、プレイ前に修正ファイルを当てることをお忘れなく。


◇ グラフィック

 原画は「西又葵」さん。 購入動機の一つがこの原画なので個人的には満足。 立ち絵も通常より大きめに描かれているし、表情パターンも豊富でよさげです。

 CGは商店街などの背景がやや小奇麗すぎって感じが気になりました。 でも塗りに関して特に不満はないですし、枚数もに関してもそれほど不足感はありませんでした。 余談ですけどゲームCGの他にもパッケージイラスト(ブラインド越しの華蓮)もなかなか良かったです。
 CGモードはタイトルメニューにあるEtcより入れるようになってます。 回想モードはありません。 それとGameDiskにおまけで1024サイズの壁紙が3枚入ってました。


◇ サウンド

 CD-DA再生の全22曲。 BGMは全体的に予想してたよりも良い感じの曲が多くて満足しました。 中でも「BestFeeling」はかなりお気に入り。 それとOPとEnd(共にAVI)でそれぞれボーカル曲がかかるんですけど、特にエンド曲「そして風の中」は気に入ってます。 でも…ボーカルの人…下手ですねぇ。折角いい曲なのにぃ(苦笑)。
 音声は無し。音楽モードはタイトルメニューにあるEtcより入ることが可能のです。


◇ 感想まとめ

 主人公は可も不可もなく比較的プレイヤーが感情移入しやすい性格してると思いますけど、「幼馴染みが泣いてる夢 = 救いを求めてる」と確信に至る導入部分が少々強引に感じて、個人的に感情移入度は低かったのが残念かな。 それまで過ごしてきた10年間を投げうってまで幼馴染みを探すという行為に同調できなかったんです。 なのでこの辺は無視して自分の都合のいいように導入部をすりかえてプレイしました(笑)。

 ゲームテンポはなかなか良好で途中でダレることは無かったです。 大体10日目までには特定のシナリオに突入したかが判るようになっていて、お目当てキャラの攻略に失敗してもすぐにやり直せますし、一度お目当てキャラのシナリオに入ってしまえば余程マヌケな選択をしない限りエンディングまで一直線という低難易度も最近の新作ラッシュに揉まれてる身としてはあり難かった。 逆に言うとゲーム性やシナリオボリュームはあまり無い…とも言えるんですけどね。

 このゲームの特徴であるチャットですけど、雰囲気はなかなか良い感じだと思います。 私自身、ネットに接続したての頃は結構はまっていたので、顔を知らない人たちと会話することに対する当時のPureな気持ちをほんのちょっとだけ思い出したりしました(ぉ
 登場するヒロイン達は殆どチャットのメンバーで、キャラによって既知の人物だったり、全く面識がなかったり、後に既知の人物であることが判明したり…とさまざま。 物語の内容も大なり小なりチャットを取り入れた展開ならではのものがあって一応は成功してると思います。

 シナリオは基本的に各ヒロイン毎にほぼ独立している作りです。 そんな中「佐倉雪乃」と「矢野原まきえ」は親友という設定もあって互いに密接な関わり(というより同時進行)が上手く演出されていて今回の私の一押しシナリオでした。
 他のシナリオに関しては少々展開が強引かなぁと感じる場面があります。 シナリオ全体を通して見ると、しっかり起承転結の形になっているのですけど、告白とかエロシーンへの導入部分で唐突感を感じるシーンがありました。
 一応主人公と付き合う理由などは後に語られる場合もありますけど、それでも例えば華蓮なんかは「何故大勢いるチャット(或いはバイト)メンバーの中から主人公が選ばれたのか」が不明なんですよね。 まぁこの辺りを許容(もしくは無視)できればシナリオ展開そのものは悪くないかな。 この手のゲームでありがちな奇跡とか特殊能力も発動しなかったですし(笑)。

 エロシーンは某キャラのみ2回で、後は終盤に1回という恋愛ゲーとしてはお約束的なもの。 使用してるCG枚数が多く、結構頑張ってる方だとは思いますけど…実用は難しいかと思われます。

 総合的に見ると各所に細かい不満点が散在する“荒さ”がちょっと気になるところです。 まぁ特に強く不満が残るのはシステム面で、他は水準程度は行っているんじゃないでしょうか。
 ストーリー的には一応「感動系」になるのかな。 なかなか重い展開もありますけど最後はどれもハッピーエンドとなっているのでハッピーエンド至上主義の方には特におすすめできます。


◇ お気に入りキャラ

 「矢野原まきえ」です。 メイドさんという設定が妙に浮いてる気がしますけど、他のヒロイン達が主人公に惹かれたきっかけが今一つ不明なのに対し、彼女はしっかりと納得できる展開ですし。


◇ 備考

 所要時間: 1プレイ約2〜3時間


私的満足度: ★★★★★ ★☆☆☆☆

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