Rascal・改 − Game Impression
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effect 〜悪魔の仔〜
発売日:2000.12.01 / 裸足少女

◇ あらすじ

 夕方の商店街…。 主人公「那岐 和泉」は仲の良い幼なじみの「苺谷 真由美」と初めてのキスを交わし晴れて恋人同士となる。 主人公自身はごく平凡な学園生だったが、真由美は手をかざしただけでどんな病人や怪我人も治してしまう特殊な能力があり、このことは真由美と主人公の二人だけの秘密だった。
 そんな折、一人の女性が自殺をはかろうとしてトラックの前に飛び出し瀕死の重傷を負っている場面に遭遇する。 真由美は彼女を助けるために能力を行使してしまい、それを地元のテレビ局のカメラに撮られてしまったために救世主としてもてはやされることになる。

 そんな真由美とは対照的なのが新興宗教の教祖を父に持つクラスメイト「榊 清衣」だった。 清衣は何も触れずに物質を動かす能力を持っていたが、その家庭環境と彼女自身の振舞いから常にイジメの対象とされてきた。
 真由美と清衣。 立場や境遇は違えど互いに普通でない能力を持ってしまったが故に苦悩する二人の少女と関わるうちに平凡だったはずの主人公の生活が少しずつ変わり始める…。


◇ ゲーム概要

 ノベルタイプのADV。 ゲーム中に出る選択肢を選んでいくことで進行・分岐していきます。 選択肢の数は結構多めですが、選択後にヒロインの好感度が上下したことが判るSEが入るので常にお目当てのヒロインの好感度を上げるよう心掛ければ難易度はそれほど高くありません。

 ゲーム期間は5月中旬から7月中旬までの2ヶ月。 ただしイベントの無い日付などはカットされています。 ちなみにエンディングのあるヒロインは2人だけで、それぞれハッピーエンドとバッドエンドの計4種類のエンドが存在します。
 各ヒロインのハッピーエンド後は「おまけシナリオ」がプレイ可能。 全部で3つあって、全てのおまけシナリオをプレイしないとCGは100%になりません。


◇ システム

 インストール容量は最小で2MB。標準で93MBで、それに加えてBGM139MBと音声104MBを好みでインストール可能です。 フルインストール時の容量は336MBほど。

 ゲームシステムはビジュアルアーツでお馴染みのもので、画面サイズは640×480の窓とフルスクリーンから選択可能でメッセージも速度調整や既読スキップ機能が備わっていて特に不満を感じることはありませんでした。 欲を言えば文章の履歴も読めれば良かったんですが…。
 セーブやロードはゲーム中にいつでも可能で計16ヶ所まで登録できます。 それほど長いゲームでもないし、難易度も低めなので個人的には十分な数だと感じました。


◇ グラフィック

 原画は「瑞井鹿央」さん。 タレ目のキャラが多いので何となく「タレ目のキャラを描く方」という印象を持ってしまいました。 キャラデザイン的には特に気に入った訳でも不満がある訳でもなし。

 CGのほうも特に不満は感じませんね。 立ち絵の表情パターンは何種類か用意されてますし、塗りも悪くないし、枚数も少なくない…。 逆に言えば特に売りになる要素は無いってことなんですけど不満を感じるよりは数倍マシでしょう。
 CGモードは一度エンディングを見た後にトップメニューから入れます。 ただし一枚ずつページを捲っていくタイプなので最後の方のCGを見たい場合は煩わしいですね。 他にエロシーンとエンディングの回想モードもありました。 それと付属の「おまけDISC」には幾つかの壁紙やデモムービーが収録されてます。


◇ サウンド

 DirectSound(WAV)の全13曲。 なんかここ最近(00年後半)のビジュアルアーツ系ゲームのBGMって結構良いものが多い気が…。 このゲームでも各ヒロインのテーマ曲をはじめ、全体的になかなか満足できました。 I'veが担当したハッピーエンドでのボーカル曲「Close to me…」もゲームの雰囲気によく合っていて良い感じです。 これがKOTOKOさんのデビュー曲となる訳ですな。

 音声は女性キャラ4人がフルボイス。 演技のほうは無難な感じでこれまた不満を感じるようなことはありません。
 BGMモードはCGと同様に一度誰かのエンディングを迎えた後にトップメニューより入れます。 それと「おまけDISC」のほうにはBGMや主題歌がCD-DAで収録されてました。 主題歌はMP3ファイルや歌詞も入ってます。


◇ 感想まとめ

 パッケージイラストやサブタイトルから比較的ダークで陵辱シーンなどもあるのかと感じさせられますけど、ストーリー自体は少々暗めながらもヒロインが陵辱されるようなシーンは無いので、このあたりを警戒する必要は無いと思います。 逆にそういうシーンを期待すると外すと思いますけどね。

 このゲームは主人公と真由美とのキスシーンから始まるのですけど、開始直後にいきなり「この娘は恋人です」と言われてもプレイヤーにとって真由美の情報が思いっきり不足しているため、序盤などはどうにも彼女に対する思い入れや愛着が沸かないのがまず残念なところです。 開始時に既に恋人…というのは他のゲームにも少なからず存在しますけど、真由美の場合は人前で平気で能力を使うといった思慮の足りなさや、他人に対する献身的すぎる行動が個人的に共感できなかったのも大きな要因だと思います(私が汚れすぎたのか…(^^;)。

 ストーリー展開は救世主として多忙を極める真由美とは次第に共有できる時間が少なくなっていき…という感じで、何となくリーフの『WHITE ALBUM』を彷彿とさせる流れですね。 マネージャー(?)の主人公に対する振る舞いも似ているんですよ(苦笑)。 更に先に書いたように真由美に対して愛着が薄いので、ゲーム中盤あたりまではどちらかと言えば最初からそれほど面識が無かった清衣との関係の方が上手く描かれていると感じました。
 ただ、中盤から終盤にかけては各ヒロインのその能力ゆえに他人から疎まれ傷付いていく様が上手く描かれていると思います。 特に他人がヒロインに対して行う仕打ちはなかなか現実感があるので嫌悪感もより一層増しました。 そうして繊細な心を傷付けられたヒロインを颯爽と救う事になる我らが主人公の行動も少々急ぎすぎながらも良く描かれていて、結果的には満足のいく内容となりました。 序盤に不満を感じた真由美も、なんとなく終盤の盛り上げを意識しすぎて序盤に極端な行動をさせてしまい、結果としてキャラの魅力が損なわれたという気がするのですが…。

 ストーリー内容以外で気になったのはテキストの表示ですね。 主人公の台詞と頭の中での思考が同じ「」(カギカッコ)で囲ってあって台詞なのか独白なのかの判別がつきにくいのと、文章の中途半端な位置で改頁するものが多くて非常に読みにくく感じてしまいます。 文章を読ませるのがメインのノベルでこの仕様は改善の余地ありかと。

 エロシーンはメインヒロインに関してはハッピーエンド直前に一回。 サブヒロインも強制イベントとして一回ありますけど…どうもエロシーンに入ること自体が不自然に感じられるものが多く感じました。 シーンそのものは特筆すべきものが無かったけど、逆に特に不満もありませんでした。

 結果的にストーリー展開は満足できたとは言え、キャラに萌えるでもなく、感動や切なさを感じるでもなく、飛び抜けてエロい訳でもなく、決め手が無いのが特徴といえば特徴でしょうか。 外れではない事は確かなのですが…。


◇ お気に入りキャラ

 特になし…かな。 どうも萌え要素は低めなので。 メインヒロイン2人では「榊 清衣」ですね。 真由美のほうはその行動に疑問を感じることが度々ありましたので…。


◇ 備考

 所要時間: コンプリートまで約4〜5時間


私的満足度: ★★★★★ ★☆☆☆☆

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