Rascal・改 − Game Impression
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シルバージーン −the mutia chronicle 1−
発売日:2001.03.02 / Candle

◇ あらすじ

 大学生の主人公「柴田 祐二」はある晩コミ捨て場で裸でうずくまってる少女と出会う。 その少女には人間のものとは異なる動物の耳と尻尾が付いていて、更に記憶を失っていた。 主人公はその少女に「ミィ」と名付けて保護し、彼女の記憶を取り戻す手助けをすることななる。
 はたして彼女の正体とは…。


◇ ゲーム概要

 エクセレンツブランドの一つであるフォアナインが98DOSで出したGAOGAO4部作(『ラジカルシークエンス』『パンドラの森』『ワイルドフォース』『カナン』)の1作目である『ラジカルシークエンス』のリニューアルにあたるのがこのゲームです。

 ゲームは全8章(正確には10章)で構成された、選択肢を選んでいくことで進行するオーソドックスなADV。 過去は「見る」「話す」等のコマンド選択型だったと思いましたが、今回のリニューアルでは余計なコマンドが出ないのでスムーズにゲームが進行するようになってます。

 選択肢は主に場所移動とエロシーンを見るか見ないかの判断くらいで、ストーリーは一本道。 そんな訳で難易度は非常に低いです。


◇ システム

 インストールはシナリオ3MB、画像150MB、BGM90MB、効果音7MBをカスタムインストール可能。 フルインストールすると250MBほどで、その場合はメディアレスで起動できるようになります。

 画面サイズは640×480の窓とフルスクリーンから選択。 一度設定すれば以後はゲーム起動時にその設定が反映されます。 メッセージは表示速度の設定やスキップが可能。 テキストの履歴も閲覧できるようになっていて良い感じでした。 ただ、キャラの台詞などは通常のテキストの上に別枠が表示され、そこにフェイスCGと共に台詞が表示されるような形式になっていて、最初のうちは結構鬱陶しく感じてしまいました。 これは台詞ウインドウの表示速度を変更することで若干改善されます。

 セーブやロードは基本的にいつでも可能で計40ヶ所まで登録できます。 更にセーブした時の画面状態まで保存してくれるので再開時に分かり易くて良いと感じました。
 余談ですが、おまけメニューとして「わくわくキャンドル」というのがあってスタッフのフリートークなどが読めるようになってます。 中にはエンド後でないと読めないものもあるので一度ゲームを最後までプレイしてから見たほうが良いかもしれませんけどね。 その他にもオープニングを閲覧できます。


◇ グラフィック

 原画に人の名前は不明なんですが(だってエンドロールに名前ないんだもん)、キャラデザインもCGも地味めな印象を受けますね。 キャラの立ち絵はあまりパターンがありませんけど台詞ウインドウ横に表示される顔CGはなかなか豊富で見ていて楽しいです。 あまり目立たないのが残念ですけどね。

 CGの方はなんとなく質にバラつきがあるような感じがしました。 ラスト付近の某コマ送りなCGはなかなか綺麗でよかったし、決して悪くはないです。 枚数も比較的多めだと思いましたしね。
 CGモードはプロローグが終わるくらいまでゲームを進めればトップメニューに「アルバム」が追加され、そこから入れるようになります。 エロシーンなどの回想モードは無し。

 …すいませんエロシーンの回想モードありました。CGモードの横に「モード切替え」というスイッチがあり、CGと人物・背景とエロシーンの閲覧が可能になります。 指摘下さった方、ありがとうございました。


◇ サウンド

 CD-DAかWAVになっていて曲数は18曲。 ゲーム起動時にCD-ROMを入れてない場合は強制的にWAVになります。 曲のほうはなかなか気に入りました。 98DOSの時と同じ曲かどうかは『ラジカルシークエンス』未プレイの私には分かりませんが、16曲目の通常シーンでかかる曲などは途中に拍手なんか入っていて良い感じです。 あと12曲目や14曲目などのノリの良い曲もお気に入り。 エンディングではオープニングで再生されるのと同じ曲ですが、ボーカルが入ってます。

 音声は無し。まぁフェイスCGのおかげでキャラの感情などは表せているので無くても特に不満は感じませんでした。
 音楽モードはCGモードと兼用になってます。 ただ曲名表示などはなくて単に曲番号が表示されるだけなのでちょっと物足りないです。


◇ 感想まとめ

 GAOGAOシリーズの中で唯一未プレイだったのがコレのDOS版にあたる『ラジカルシークエンス』だったということもあり、同シリーズの一ファンとして凄く楽しみにしていたゲームです。 シリーズを通してこのゲームを見るとまさに「起」の部分にあたる内容となっていて後のゲームで核となる「変異体」の起因について描かれています。 他にも「ダイナマイト・ミルク・パイ」など後のシリーズをプレイされた人にはニヤリとするものもありました。

 単体のゲームとしてこのゲームを見ると、ストーリー展開は早めでテンポ良く進むんですけど所々で「都合の良さ」を感じてしまう場面があったのが惜しいです。 特に序盤に「ミィ」を巡って対立していた連中と打ち溶け合っていく過程とかはもう少し練り込んで欲しかった。

 キャラ同士の会話などは結構コミカルなやり取りが多くて笑えます。 ただ、私にとってこれが逆に最大の不満点になっていて、シリアスなシーンや緊迫した状況でも会話がコミカルという場面が多々あって上手く状況と噛み合ってなかったのが残念ですね。 序盤に「ミィ」を拉致しようと目論む連中の行動もニワトリ捕獲用の罠などのしょーもない手段を用いたかと思えば人質をとって脅迫してきたりと行動が一貫してないので、今度はギャグか?シリアスか?を把握する必要があるのも私的にはマイナスかと。

 エロシーンはゲーム中に結構コンスタントに発生します。 最初に「ミィ」を拾ってきた直後にこの主人公は「ミィ」としちゃいますし(笑)。 登場する女性キャラは一通りエロシーンが用意されています。 シーン自体は割と淡々と進むんで、あまり実用的ではないと思いますけどね。 声も無いですし。

 そんな訳でこのゲーム単体で見ると「テンポがよくプレイヤーを物語に引き込ませて先の展開を見たいという気持ちにさせることは出来てるけどシリアスとギャグが噛み合ってないゲーム(長い)」と言ったところでしょうかね。
 ただ個人的には後の壮大な物語の序章として是非とも押さえておいて損のないゲームだと思ってます。 それにこのメーカーは開発速度が異様に遅くて続編が出る頃には既にこのゲームが売り場から消えてて、たとえ前作が気になっても入手不可となる可能性がありますから(このゲームだって最初は97年の秋予定だったし)。 何よりこのゲームが売れずにブランド解散してしまうのが一番悲しいし(笑…えない)。


◇ お気に入りキャラ

 やはり「ミィ」でしょうかね。 まぁ、あれだけいつも主人公にべったりしてたら情も移るってもんですが。


◇ 備考

 所要時間: コンプリートまで約6時間


私的満足度: ★★★★★ ★☆☆☆☆

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