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かみさまの宿っ! 〜死んだらひとつ屋根の下ADV〜
発売日:2006.04.07 / White Cyc
 全CGと回想を埋めてコンプ。 このゲームの発売直後にcycとWhite Cycのブランド合併が発表され、後発であるWhiteのほうを残すほどなら余程の自信作(少なくともcycよりはブランドイメージが上)なんだろうと読んで吶喊しました。 所要時間は1stプレイで約5時間強、コンプまでは約20時間と言ったところです。

 生前の“未練”を断ち切れず成仏できない魂たちが辿り着く一軒の宿。 「あの世」と「人の世」の境界に建つその宿は自らの意思で成仏するまでの時間を過ごさせるために自称「宿の神様」である主人公が用意した場所だった。 宿へ辿り着いた魂たちは自らの未練を考えながら、同時に主人公のセクハラ攻撃にも耐えながら神様の宿での日々を過ごしていくことになる…というあらすじ。


 選択肢によって分岐するタイプのADV。 選択肢の数が多い上に制限時間付きのものが結構あったり、宿の神様である主人公は「やる気ポイント」と言うのを使って悪霊と戦ったり様々な奇跡を起こせたり…と気が抜けない程度にやる事が多く、難易度もそれなりにありました。
 宿には偶に悪霊が迷い込んできて戦闘が発生しますけど、別にHPとか攻撃力とかのRPG的な要素は無く、主人公か使い魔の「甘味トリオ」の誰で攻撃するかを選ぶだけです。 主人公が攻撃すれば必ず勝てる代わりに「やる気ポイント」を消費。 甘味トリオだとやる気ポイント不要ですが、勝利できるのは三匹のうちの一匹だけ。 取り逃した場合はヒロインの誰かに憑依してエロシーン(主に自慰系)が発生します。 一応負けることがシナリオ進行の条件になってるキャラが居るし、イベント補完のためにも一度は負けてやる必要があります。

 ヒロインは初期状態で攻略可能なのは5人だけ。 これらのエンドを全て見ると更に二人の攻略ルートが開かれ、全てのエンドを見るとTrueエンドルートが開放。 初期に攻略可能な5人には二種類のエンディングがあるのでエンド総数はちょっと多めですね。
 なお一度何らかのエンドを見た後は「やる気ポイント」が定期的に補充されるイージーモードでのプレイが可能になります。 ゲーム展開上の制限などは無いようなので2ndプレイ以降はイージーモードでのプレイが吉。


 ゲームの雰囲気はドタバタコメディ風味。 主人公は自称“神様”ですが金髪にアロハシャツという派手なチンピラ系のナリな上、ヒロインとのコミュニケーション=セクハラという感じの個性派主人公なのでプレイヤーの分身となるようなタイプじゃないですな。 他のキャラ達もなかなか個性派揃いで、特に甘味トリオなんかは主人公と同様オッパイ大好きっ子だし、更にその中でも「あめゆ」は某HGな芸風がなかなか濃くて笑えました。

 そんな訳でヒロインのほぼ全てが未練を残して死んでるという設定の割には重苦しい空気にならないのは個人的に良い感じ。 主人公も甘味トリオもTPOを弁えてセクハラ行為に及んでおり、ヒロイン達の相談や悩み事には親身になって接するなど、ギャグとシリアスとでちゃんとメリハリがあるのも好印象です。 一つエンドを迎える度に主人公の過去とか宿を建てた経緯など設定に深く関わる部分が語られTrueエンドへの布石となっているのもプレイ意欲に繋がって悪く無いかと。

 各ヒロインの抱えてる未練は捻りの無い身近なものがほとんどなので理解し易く、恐らくプレイヤーに対するメッセージ的なものも含んでいるのでしょうけど、テキストに説教臭さを感じないのはマル。
 ただ、ヒロイン達が未練を断ち切る流れは淡々とした印象を受けてしまうものが多く、せっかく演出次第では盛り上がりそうなシーンでも普通に読み進めてしまえるのが非常に勿体無く感じました。 あからさまに「泣け」とか「感動しろや」と感じられる物も嫌ですけど、このゲームに限ってはもっと見せ場を盛り上げる努力をして欲しいなぁと感じた次第。


 エロシーンは攻略ルートに乗った場合で大体3〜4回くらい。 ルート外でも悪霊に乗り移られたりでいくつかのエロシーンが存在します。
 シーン自体はCGの少なさ(使い回し)が少々気になりましたが、それ以外はかなり良好。 行為中の会話などで割りと萌えるやり取りが多く、更に愛撫や主人公のセリフの部分でもバックグラウンドでヒロインの喘ぎ声やフェラ音がエンドレス再生されていて興奮度を高めてくれます。 もちろん声優さんの演技も素晴らしく尺も長めで実用性は十分ありました。

 個人的には愛美の嬌声や会話がかなりお気に入り。 この娘は最初は嫌がってた主人公のセクハラ行為に対しても打ち解けてくると「仕方ないなぁ、少しだけだからね」とお触り許可をくれるのが何と言うか…『下級生』あたりでキスまで到達したような達成感を感じられて良かったですわ。 悪霊に取り付かれた際のフェラオンリーのシーンも実用性高め。
 あと印象に残ってるのが“ふたなり”シチュが結構多かったこと。 大体は悪霊に取り付かれてペニスが生える…という展開ですが、中にはヒロイン自ら望んで主人公の能力を使って生えさせるというものもあります。 更に主人公にフェラを要求する上に油断してると口内射精までかましてくれるのですよ。 危うく妙な趣味に目覚めるところでした(ぉぃ。 このメーカーってふたなり好きなのかな…他のゲームでもあったし。

 一応注意事項として一部のヒロインは攻略ルート以外で主人公以外のキャラとHしたり処女を奪われたりする場合があります。 お互いに合意の上なので寝取られ感は無いし、個人的にはまぁアリかなと思いますが、全てのヒロインは攻略ルート以外でも俺のモノ的な嗜好の人は注意。


 システムまわりは必要な機能は一通りあったし私の環境では安定していて好印象でした。 少々エフェクト関連がウザく感じる部分もあったけど、まぁ許容範囲ですね。 甘味トリオ絡みのエフェクトは良い感じです。 「ぶーん」と言いながら主人公の部屋の中を飛び回るシーンは笑えた。
 余談になりますけど私はいつもメッセージ速度を最速に設定してからゲームを開始するのですが、今回も設定画面でメッセージ速度を変更した際「メッセージスピードレベルフォーーーーーッゥ!」といきなり「あめゆ」の声で再生されたのが意表を付かれて思わず吹いた。


 結論としては、宿での楽しい日常と作りの丁寧さ、そして実用性の高いエロシーンに好感触を抱きつつもシナリオ展開…特に見せ場での盛り上がりの無さが惜しまれる佳作と言ったところでした。 それでも十分期待以上の満足感は得られましたけどね。


以下、書いた本人の備忘録以外の価値が無さそうなキャラ毎の雑感(超ネタバレあり)。


倉橋 愛美
 死因は病死。ずっと病院内で過ごした為、恋愛に縁が無かったのが未練。 と言うと大人し目な少女を連想しがちですが意外と活発系。 エロシーンのとこでも書いたように個人的にかなりのお気に入りキャラ。 最初のエロシーンなんて酔った勢いで行為に及びつつ、主人公の要求に素直に従う仕草がツボでした。 主人公もエロ経験は豊富なのに恋愛経験は無いという設定でお互いの初々しさがなかなか良い感じ。 エンド2の淫乱化した愛美もエロ可愛くてグッド。

夏樹 薫
 死因は駅のホームから落ちた老人を助けた際の事故死。 そのときに老人を助けられなかった事が未練ですが、実は老人の方は助かっていたというオチ。 生前は応援団長を務めていて姉御気質。 正直言ってシナリオ展開はあまり思い入れがありませんが、薫の応援はなんか気恥ずかしかった。

長谷川 朱美
 死因は睡眠薬による自殺。 新鋭バンドのボーカルで精神的な影響で人前で歌えなくなってしまった事が未練。 その朱美が人前…要するに宿のみんなに歌を聴かせられるようになる流れで、ヒロインの中では一番盛り上がった展開かも。 勘が鋭く洞察力もあって攻略ルート以外では他のヒロイン達をサポートする役として見せ場が多かったですね。

高原 翔子
 死因は不明。主人公と女将さんを除けば一番最初の客で二人に懐いている。 主人公のセクハラ対象外になる程の幼児体系…と思いきや胸はそれなりにありましたね。 翔子と出合った時の回想で主人公が翔子にセクシーポーズを要求した事が発覚して皆に叩かれる展開が笑えた。 エロシーンでは主人公にフェラするシーンのCGがサイズ的にかなりヤバい感じに描かれているのでペド志向の方には良いかも。 個人的には添い寝シーンが結構お気に入り。 シナリオ展開は翔子の作った人形の使い方がなかなか良い感じでした。 これでもうちょっと演出なりエピローグでの描写を多くしてくれればねぇ。

神薙 ほとり
 死因は事故死(?)。このキャラに関しては未練もよく解りません。 気付いた時には既にいつでも成仏できる状態のようですし。 キャラ的には「おぅ」とか「おおぅ」な口調が良い感じ。 普段はボケてるくせにツッコミは鋭く、個別ルートでも主人公は良い様に翻弄されまくりなのが滑稽です。 エロシーンでもペニスを生やして主人公に舐めさせたりと精神的な難易度の高いキャラでした。 いや、気に入ってますけどね。

死神
 主人公との付き合いは全キャラ中で最も長いが色々と謎…と言うより説明不足なキャラでした。 生前は何者だったのか、主人公と反対の主義主張をしながら主人公に惹かれてるっぽいけど全くこのあたりも明かされてなかった気がするしねぇ。 それに個別ルートでは他のヒロイン達は雅とヤリまくりっぽい展開なのが納得いかねー。 ハーレムスキーとしては逆の方が良いよ…。 鎌使いに萌えキャラが多い私ですが、今回は流石に無理でした。

藤宮 若菜
 宿の女将さん。死因は火事の後遺症…かな。 その火事の時に主人公は若菜を助けていたが主人公自身は死んでしまい、紆余曲折を経て若菜の無念を晴らすために宿の神様となる。 そんな訳でこのゲームの真ヒロインは若菜ですね。 他のヒロイン達にはセクハラをするのに若菜に対しては何もしない事をかなり気にしていた様で告白シーンでのいじけっぷりがかなり萌える。 エロシーンが1回しかないのが何とも心残りでした。


お気に入り順は
 愛美 > 若菜 > ほとり > 翔子 > 朱美 > 薫 > 死神


私的満足度: ★★★★★ ★★☆☆☆

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