君と恋して結ばれて |
発売日:2006.06.23 / RusK |
タイトル画面が変わったので一応コンプ…でしょうか。
同スタッフによる過去作『カラフルBOX』が割と気に入っていたので発売前からそれなりに気になっていたタイトルです。
世界観は共通のようで『カラフルBOX』のヒロインと思われる名前がゲーム中にちらほらと出てきたりもしましたが、ホントに名前だけなのでプレイ済ならニヤリと出来る程度。
所要時間は1stプレイで5〜6時間程度、コンプまでは12〜13時間ってところでした。
「荻野陽輔」「花守章一」「桜庭航太」の三人は性格は全く違うが何かとつるんで行動する事の多いクラスメイト。
新学期が始まり新たに入学してきた新入生達の中から彼ら三人はそれぞれ思いがけない女の子との再会を果たすのだった…というあらすじ。
三人の主人公視点で語られるオムニバス形式の学園恋愛ADV。
ゲーム開始時にどの主人公でプレイするかを選び、主人公ごとに恋人となるヒロインが異なります。
どの主人公視点でもシナリオ展開はほぼ一本道で、決まったヒロイン以外の娘とHしたり恋人同士になったりすることはありません。
具体的には「陽輔&ひなた」「章一&空」「航太&渚緒」の組み合わせのみ。
キャラ同士の掛け合いはボケ担当の陽輔・ひなた、ツッコミ担当の章一・渚緒、フォロー担当の航太・空と言った感じで役割分担がしっかりしていることもあってノリの良い掛け合いが印象的でした。
ヲタ的なネタをあまり持ち出さずプレイする人を選ばなそうなのも好印象。
シナリオ展開はどの視点でもファンタジー要素が一切無い若者らしい初々しさを感じる純愛ストーリーになっていてなかなか好感触。
私の場合、この手の恋愛物は主人公やヒロインに感情移入や共感が出来ないと退屈なだけの茶番劇に感じてしまうのですが、作中のキャラ達による恋愛に不慣れな者同士ならではの言動に不自然さが少なく、なかなかに“共感”できた事が好評価ポイントになりました。
特に航太ルートで渚緒に携帯番号やメアドを聞き出すだけでも一念発起したり、手を繋ぐどころか服の裾を掴んで歩くだけで緊張したりとかのシーンはもう自分の気恥ずかしい過去が色々とフラッシュバックしてしまったくらいです。
もっとも私の時代には携帯など無かったので自宅に電話する時間帯を決めるくらいでしたけど…ってそんなことはどうでもいいや(笑)。
まぁそんな感じで初々しい恋愛描写に共感はしたものの、感情移入度はやや低めでした。
これは主人公が三人居る…というのも一因ですが、主人公とヒロインとの出会いシーンが終盤まで語られなかったり、主人公自身の設定が語られる前に感情的になられたりと終始プレイヤーとの情報量に差がある事が最大の原因かと。
あとは三人のシナリオ共に時期や登場人物が同じ上に皆それぞれ顔見知りなので、ひとつの出来事に対する多視点型の構成に期待していたのですが、結論から書くとこの点に関しては今ひとつと言ったところ。
確かにいくつかのイベントでは別視点ルートからフォローを入れるような描写があり、恋愛だけでなく仲間同士の友情面での横の繋がりも描けていると感じられましたけど、ほとんどは「あいつらはこういうことがあったらしい」って感じの事後描写がサラッと入るだけなのが何とも拍子抜けです。
また、とあるルートでの行動(選択肢など)が他ルートに影響を与えるようなこともなく展開の幅が狭い(というか無い)のも不満。
ただあまり展開の幅を持たせてしまうと収集が付かなくなりそうだし、仕舞いにはどの主人公でも全ヒロインが攻略できるようにならないと不満が消えなさそうなので仕方無いとは思いますけど、イベントの多視点描写はもう少し欲しかったですね。
特に六人全員が初めて一堂に会したシーンなどは各キャラ毎に様々な想いが交錯した筈で、そういった描写を見る事が多視点構成の醍醐味だと思うだけに別視点時に端折られていたのが勿体無かったです。
エロシーンは一人あたり話の流れで5〜7回、他にエンディング後におまけHシーンが2パターン追加されます。
ただ、ひなたなどは初Hが失敗…その後に何度か再チャレンジを試みるものの色々と邪魔が入るパターンが多いですし、空なんかもお預けHが多く、挿入→射精の流れで最後まで出来るものは半分くらいしかなかったりします(笑)。
抜きゲーだったらこの展開にキレたかも知れませんが、このゲームの場合は恋愛初心者同士の初々しい様子が微笑ましく感じられて、これはこれでアリかなと思いました。
テキスト描写はそれほどエロさは無かったですしCG枚数も少な目ではありましたが、尺はそれなりに長く、CGも拡大表示など見せ方に工夫が見られたし、バックグラウンドで喘ぎ声がエンドレス再生されてたりするので実用性は割と高めかも。
ちなみにおまけHのほうは青姦やコスチューム的な演出も加わったエロゲらしいシチュエーションが多め。
とりあえず恥ずかしさで思わず身悶えてしまいそうな初々しい恋愛描写や登場キャラ達の掛け合いとか横の繋がりには満足できるものがありましたけど、折角の多視点構成の使い方にちょっと勿体無い箇所があったのが残念…と言ったところでした。
まぁそれでもファンタジーに走ることのない王道恋愛物として個人的には満足のいく出来ではありました。
以下クリア順にキャラ別雑感(ネタバレあり)。
花守 ひなた
元気系ロリ体系キャラ。
章一の実妹で過去にバスケをしていた陽輔に一目惚れをして、入学早々に告白。
告白時の「わたしをもらってください!」は笑えました。
他にもお昼のお誘い「私をお弁当と食べてください」とか天然系のボケっぷりが良い感じで癒されます。
シナリオ展開は陽輔の過去に不用意に首を突っ込んで関係がギクシャクする流れ。
このへんの設定が語られる前に話が拗れるので少々疎外感を感じますね。
仲直り後のバカップルぶりはなかなか良い感じで微笑ましいものがありました。
桐島 空
章一の幼なじみのクオーター。
航太の近所に住み、ゲーム中に航太の家の喫茶店でアルバイトを始める。
幼少時から章一のことが好きで入学と同時にアタックを開始するも恋愛に興味のない章一に始めは苦戦する。
バス通学時に痴漢に遭遇するようになった為、近所に住む航太と自転車の二人乗りで通学するようになり、それを章一が目撃したことで嫉妬心を抱き空への想いに気付く流れ。
かなり一途な性格ではあるのですが、章一がからかい易い性格の上に元々の洞察力の高さもあって章一を手玉に取ります。
お預けH展開は章一が気の毒に感じられたし、空の魅力も正直言ってかなりダウン。
ただ二人の性格柄、他キャラのサポートに回る展開が多く、そっち方面では良い感じでした。
柳 渚緒
陽輔の幼なじみで何かと陽輔の世話を焼いている。
入学前に捨てフェレットを見つけて途方に暮れていたところ、それを見た航太がフェレットの世話をすることになった事でお互い気になる関係になる。
シナリオ展開は奥手同士故のもどかしさに周囲が色々と世話を焼く流れ。
会話に「…」が多く、正直じれったくはありましたが言動や展開に違和感が無く、あまりエロゲではお目に掛からない初々しい展開も妙に新鮮に感じられて結構良かったと思います。
ただ終盤での妊娠発覚後の描写はもう少し描いて欲しかったかも。
それと渚緒の場合は陽輔とくっ付く展開も見てみたかった気がするなぁ(苦笑)。
お気に入り順は
渚緒 > ひなた > 空
私的満足度: ★★★★★ ★★☆☆☆
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