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同心 〜三姉妹のエチュード〜
発売日:2000.04.21 / CROWD

◇ あらすじ

 数年前に両親を失ってから姉妹三人で暮らしている駿河家。 一見なんの変哲もない姉妹達だが、彼女達には人には言えない秘密を持っていた。
 それはちょうど両親を失った頃から姉妹の誰かが肉体的に強い刺激を受けると他の姉妹達も同じような刺激を受けてしまうというもので、これが時と場所を選ばずに作用するので姉妹達の周りにはいつもハプニングが絶えなかった。 今ではすっかり慣れてしまったこの能力だが…。


◇ ゲーム概要

 3人の姉妹の視点をザッピングさせながら進める多視点型のAVG。 最初から始めると三姉妹の誰から始めるかを選択することになりますが、姉妹ごとに話が独立してる訳ではなく、どの姉妹で始めてもメインで進行させるヒロインやエンディングを迎えるヒロインはプレイヤーが自由に決められるようになっていて結構自由度が高いです。

 三姉妹の各イベントは他の姉妹のイベントによってかなり変わってきます。 例えばある姉妹が好きな男性と会話してトキメキ状態(笑)の時は、同時刻の他姉妹も同じ気持ちになったり、エロシーンでも他姉妹に上手くザッピングしないとCGを補完できない等など…。 故に難易度はかなり高いと思います。 クラウドのサイトに攻略テキストがアップされているので、これを見ながら進めた方が良いかもしれません。

 ゲームの期間は約5〜6日間。 三姉妹それぞれにハッピーエンドが用意されてますが、BadEndもかなりの数がありました。 1プレイは大体1〜2時間くらいでしょうか。


◇ システム

 インストール時には最小(4MB)、標準(164MB)、最大(734MB)から選択可能。 最大の場合はCD-ROMが不要になり、BGM音源を「CD-DA優先」にするとCD挿入時はCD-DA再生、CD無しの時はMIDI音源に自動的に切替えてくれるのが非常に有り難いと感じました。

 画面は800×600とフルスクリーンの二通り。 私はフルスクリーン派ですが窓モードでもかなり大きいので攻略テキストを開きつつプレイというスタイルでも結構やり易かったです。
 セーブやロードはゲーム中に何時でもでき、クイックセーブ領域と合わせて計19ヶ所まで保存可能。 自動にセーブされる領域がかなりあり、これは特定のイベントに入った時に自動でセーブされ、何時でも読みこんで同イベントを堪能できる…というものらしいです。
 メッセージは速度や音声の調整ができる他、スキップは既読部分のみを飛ばしてくれるので有りがたいですね。 音声リピートという機能もあり、表示されてるテキストの声を何度でも聴けます。 必要性はともかくなんか良いかも。

 これらは全てメッセージ枠の廻りに貼りついているスイッチからゲーム中に入れるなど、システム面はホントに素晴らしい充実ぶりだと感じました。 ただ不具合もあるようなのでクラウドのサイトから修正ファイルをDLしておきましょう。


◇ グラフィック

 原画は「虎宮はると」さんと「葉月望」さんのお二人です。 キャラデザインは特にヒットせず…。 更に原画が二人ということで特に三女の「未歩」なんかは原画さんによって雰囲気違うのが結構違和感ありました。

 立ち絵は表情パターンが数種類あるし、テーブル等に座って雑談のときは小画面で顔グラフィックが表示されるのはマル。 ただし塗りの方は使用してる色数が少なく、全体的にのっぺりした印象を受けました。 256色でも素晴らしい塗りを見せてるメーカーも多い中、あまりハイカラーの恩恵は感じません。

 イベントなどの一枚絵は枚数がかなり多いのは良かったです。 ただ塗りの方がやっぱり不満ですね。
 CGモードはトップメニューから入ることができ、サムネイル表示で達成率も表示してくれる他、エロシーンの回想モードもありました。


◇ サウンド

 BGMはCD-DAとMIDIの二通りから選択でき、曲数は16曲ほど。 BGMはどれも結構良い感じでした。 特に「永遠に…」がお気に入りです。 それとOPとEDではそれぞれヴォーカル入りの曲が流れるんですが、これもかなり良かったです。 私的にはI'veサウンドの中でも比較的上位にランクイン(笑)。

 音声はフルボイスで演技自体は良いと思いますが…どうもイントネーションがシーンに合ってない物も多くて残念です。 例えば「うん。」という台詞でも元気に返事してる場面と相槌を打ってるときが同じに聞こえたりとか。 演技が悪くないだけ余計に気になりました。
 音楽鑑賞はCGと同じくトップメニューの「ミュージアム」から入れます。


◇ 感想まとめ

 このゲームシステムは例え思い付いたとしても、そのフラグ管理の複雑さから並みのメーカーなら即断念しそうですが、それを敢えて実行した姿勢は素直に凄いと思います。
 また、その複雑なシステムを上手く管理し、3人の姉妹の誰かの行動が同時系列の他の姉妹に影響を与える…という相互間のイベントはよく練られていていると感じましたけど…いかんせんキャラとそのイベント自体に魅力を感じなかったのが致命的。

 特に長女の「遼子」などは会社の野郎共に陵辱されるだけで「なんで私が…」と悩みつつも逆らえない…といった心理が理解できず、プレイヤーである私は遼子の「廻りの人間に不幸を伝染させる地雷女ぶり」を変える術がないので面白くなかったです。 男視点からだったらOLを性奴隷にする鬼畜ゲームということで楽しめそうなのですけどね(わがまま(^^;)。 勝手な希望ですが、せめて陵辱した野郎共に復讐するくらいのことは思い立って欲しかった。

 他の姉妹達に関しても女性側の視点で男キャラにときめいたりしても全く感情移入出来ず、更に日常生活の会話やイベントが冗長でダレる。 そして何よりストーリーよりもザッピングするタイミングの方が気になってしまいイベントの与えるインパクトも弱い…と本来は目玉となる筈のゲームシステムとシナリオが相殺しあっている気がして非常に惜しいと感じました。 次回に同システムを採用する場合はキャラの魅力(萌え度)とイベントのインパクトが増すような設定にして欲しいです。


◇ お気に入りキャラ

 三姉妹の中では特に無し。 サブキャラではOLの「周防美咲」や美樹ルートのラスト付近で出てくる看護婦さんや警部さんくらいかな。


私的満足度: ★★★★★ ☆☆☆☆☆

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