Rascal・改 − Game Impression
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Sense Off 〜a sacred story in the wind〜
発売日:2000.08.18 / otherwise

◇ あらすじ

 季節は春と初夏の端境期。主人公「杜浦直弥」は自転車で転んでしまい、入院する破目になってしまう。 そして入院中にとった主人公の脳波に興味を示した研究者が現れ、彼らの行ってる研究への協力を求めてきた。
 両親と連絡の付かない主人公は意外にもあっさりと承諾し、連れてこられた場所というのが地方都市にある研究所であった。 そこでは学校と同じ教育機関があり、同年代の少年少女達も生活していた。 更にそこでは10年以上前に別れた幼馴染み「織永成瀬」との再会や、主人公と同じような理由で研究所内で生活している女の子達との出会いが待っていた。
 施設で少女達と擬似的な学園生活を送るうち、主人公はやがて、自分自身と彼女達をつなぐ絆に気づくことになる…。


◇ ゲーム概要

 選択肢によって進行、分岐するオーソドックスなタイプのADV。 ゲーム期間は4月中旬から5月中旬までの約1ヵ月間。 メイン扱いのヒロインは5人で、前半の選択肢の内容によって各ヒロインのシナリオへ分岐していき、後半は殆ど選択肢も無く物語りが進行します。 エンディング総数は7つで他にバッド系のエンドもありますが、難易度は割と低めでした。


◇ システム

 インストールに必要な容量は約140MBでインストールサイズの指定はできません。 画面サイズは640×480とフルスクリーンの二通りでデフォルトはフルスクリーン。 メッセージは速度調整やテキストウインドウの背景透過率の指定ができますし、CTRLキーによってスキップも可能です。ただ未読や既読のチェックはしていません。 セーブやロードはゲーム中にいつでも可能。保存領域は16ヶ所ほどあります。
 ビジュアルアーツ系で広く使われているシステムなので個人的には特に不満は感じませんでした。


◇ グラフィック

 原画は「ゆうろ」さん。縦長の瞳と両目の間隔が広いのが特徴ですね。 特に気に入ったという訳ではないけどキャラは可愛いと思いますし、ころころと変化する表情パターンも悪くなかったです。 CGの質は無難…でしょうかね。ちょっと枚数が少なく感じた(実際少ない)のが残念ですけど、OPなどで表示されるラフっぽい絵はなかなか良い感じでした。
 CGモードは一度エンディングを見た後にトップメニューより入れるようになります。 なお、エロシーン等の回想モードは無しでした。


◇ サウンド

 CD-DA再生の全20曲。曲の出来はかなり良いと思います。 個人的なお気に入りはは「コズミック・ラン」で、なんか『ONE』の曲と雰囲気が似てるなぁと思っていたらスタッフロールで「折戸伸治」さんの名前を見て妙に納得してしまいました(笑)。 OPとEDではそれぞれボーカル曲がかかり、どちらも良い出来かと。 特にED曲「birthday eve」はなかなかカッコよくて気に入ってます。ちょっと「小室哲哉」っぽいけど(苦笑)。
 音声は無し、少々残念というのが本音ですけど、どのキャラも性格とか凄く掴み易いので音声なしでもそれほど不満は感じませんでした。
 音楽モードは一度エンディングを見た後にトップメニューより入れるようになり、ボーカル2曲はフルコーラス版で鑑賞できます。


◇ 感想まとめ

 一言でいうと…凄いです。 面白いとかつまらないとかの話はとりあえず置いといて、物語を進めるうちに明らかになる各設定と、その発想に思わず唸らされました。 ゲームの雰囲気としてはTacticsの『ONE』に近いものがあるかな。

 シナリオは前半部分はノリの良いキャラ同士の掛け合いで進行し、楽しい雰囲気になってます。 ですが各シナリオの中盤以降ではそれぞれのヒロインが持つ設定故の「世間からの孤独感」とか「悲壮感」といったものが軸になって展開してました。 そしてそんなヒロイン達に惹かれ、関わっていくうちに、主人公自身の設定も絡めて、物語は山場を迎える…といった流れでしょうかね。全てではないですけど。
 それぞれのシナリオによって明らかになる項目が異なるため、クリアするシナリオの順番によっては訳が判らなくなりそうなのが難ですけど、主人公やヒロイン達の設定を論理的に書かれていたのに驚きました。 各キャラの持つ設定自体は似たようなものを扱ってるゲームが結構ありますけど、それを論理的に描いた話はあまり聞かなかったので、個人的にはかなり新鮮でした。

 テキストはやや抽象的で難解な言い回しが多いですね。 それに少々くどいのでテンポを損なってしまっていたかなと感じます。 まぁそんな状況でも個人的には「真壁椎子」シナリオの後半で入る物語は、その内容と合わせて読んでいて凄く面白く感じました。 普段は読書というものをあまりしない私にとって、彼女の物語を「読んだ」だけでもこのゲームを購入した価値があったと思ってます。

 エロシーンに関しては、あって無きが如し。 今まで私がプレイした18禁ゲームの中でも上位を争うくらい薄かったです。

 先にシナリオによって設定が明らかになるということを書きましたが、全シナリオをコンプしても、必ずしも全ての謎が補完される訳ではありません。 いや、これは私の理解力の無さも大きな原因なんですけど、どのシナリオでもスタッフロールが流れるあたりからの話は思いっきり説明を省いていて唐突な展開に感じ、エピローグなどは何ともモヤモヤとしたものが残りました。 まぁ表示される文章からプレイヤーなりに補完するような事が好きな人なら問題なく楽しめるんじゃないかと思います。


◇ お気に入りキャラ

 ちょっと迷いますね。キャラの魅力はメインの5人ともよく出ているんですけど、敢えて一人を選ぶなら「三条美凪」でしょうか。


◇ 備考

 所要時間: 1〜5時間×7 = 23時間。(シナリオによって幅あり)


私的満足度: ★★★★★ ★★☆☆☆

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