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未来にキスを -KISS THE FUTURE-
発売日:2001.09.21 / otherwise

◇ あらすじ

 放任主義の両親のおかげで親戚の飛鳥井家に居候している主人公「笹本康介」。 その飛鳥井家の一人娘であり従妹である「飛鳥井 霞」は主人公と同じ歳ではあったが主人公のことを「お兄ちゃん」と呼び、よく懐いていた。 ある日、その飛鳥井家の両親が旅行のため家を空けることになり、二週間ほど霞と二人で暮らすことになった。 そしてその晩、主人公の部屋を訪れた霞は主人公に対しこう言った…

「お兄ちゃん、ボクのこと、奴隷にして?」

主人公は戸惑いつつも霞の要求を受け入れることになるのだった。


◇ ゲーム概要

 ゲーム中に出現する選択肢を選んでいくことで進行・分岐していくADV。 選択肢は大体が「○○する/しない」という感じの選択で判り易くなっているので難易度としては低い部類に入ると思います。
 ゲーム期間は4月10日から二週間。 登場するヒロインは4人でそれぞれ個別エンドがあり、全員のエンドを迎えるとラストエピソードへと入れるようになっています。


◇ システム

 インストールに必要な容量は約770MB。他のインストールサイズの指定はできません。 ゲームシステムはいわゆるビジュアルアーツ系のブランドで標準的に使われてるものと同じです。
 画面サイズはフルスクリーンと640×480の窓から選択可能。 メッセージは速度調整、既読・強制スキップ、テキスト履歴表示機能あり…と最低限必要と思われるものは一通り揃っていて不満はありません。 セーブやロードはゲーム中にいつでも可能で、計16ヶ所まで保存できます。難易度は低いし分岐点も少ないので個人的には十分な数だと思いました。

 全体的に動作は軽いし安定していてシステム面での不満は全く感じませんでした。どのメーカーもこれくらい安定してくれると良いんですけどね…。


◇ グラフィック

 原画・キャラクターデザインは「みさくらなんこつ」さん。 髪の毛のボリュームがもの凄いんですが、このあたりを無視すれば個人的には結構気に入ってます。 あ、あとふたなりキャラは居ませんでした。

 CGに関してはキャラの服装がやたらカラフルというか原色系を多く使用しているのが難でしたが概ね満足いく出来でした。 ただ枚数的には少々物足りない感じもしますね。 立ち絵のパターンもそれなりにあるし背景も特に不満は感じませんでした。

 CGモード、Hシーン回想モード、エンディング回想モードがあり、一度誰かのエンディングを迎えた後に閲覧できるようになります。 他に店頭デモやスタッフロールも閲覧可能。


◇ サウンド

 BGMはCD-DA再生の計23曲。I'veが担当(※1)ということで期待はしていたんですが、特にこれという曲はなく聴いてて退屈なものが多かったかなと。 個人的にはやや期待ハズレと言ったところですね。ただエンドで流れるボーカル曲「Kiss the future」はなかなか良かったです。 前作同様ちょっと小室哲哉っぽい曲でした。
 音楽鑑賞モードはCGと同様に一度誰かのエンディングを迎えた後に入れるようになります。
(※1)I'veが担当したのは主題歌の「Kiss the future」のみでBGMはBIGMADEさんでした。メールで指摘してくれた方、ありがとうございます。

 音声は主要な女性キャラのみフルボイス。 ちょっと椎奈の声が高くて耳障りに感じる事がありましたが演技のほうはどのキャラも質が高くて満足しています。 尚、主人公の名前は変更可能ですが、変更しない場合は主人公の名前も呼んでくれました。


◇ 感想まとめ

 ジャンル「幼なじみの従妹といちゃいちゃするゲーム」…確かに間違ってはいない…実際に霞のエピソードは主人公の事が好きで好きで堪らないということを全身で表現してる無邪気な女の子と家や学校で何度もHできるし、外見的にHに無縁そうな純粋さを醸し出してて、ぬいぐるみに名前を付けるような無邪気な娘が主人公の手によって性の快楽に喘ぐ姿を見るのが大好きという人にはそれだけで満足できる内容になってるのではないでしょうか。 ええ、私も好きですが…何か?(笑)

 ただ霞自身が自ら奴隷の証と称する首輪を「ちゃきーん☆」と喜んで装着するくらいなので一見すると売り文句通りの「明るくポップな奴隷」と言えなくもないんですが…。 基本的に主人公は受け手というかHシーンへの突入は全て相手からのアプローチで始まるので、なんか主導権を握られてるみたいな感じがして欲求不満かも(苦笑)。 というか実際に霞が主人公を支配したいと願っているので一般的な(?)従順な奴隷とご主人様な関係を期待すると辛いものがあるかも知れない…ということは付け加えておきます。

 エロシーンの描写は決して濃くはないのですが、各キャラの淫れっぷりや声優さんの演技力もあってか個人的には満足いくものになってました。 キャラ別では霞のシーンが一番多く、10数回ほどのエロシーンがありますが、その他のキャラに関しては2〜4回程度です。
 絵的には汁描写が多めですがこの辺りは私の趣味嗜好とは異なるので割愛。

 以上のように霞エピソードに限っては展開がやや冗長ながらも特に難しいところのないエロゲーという感じなのですが、霞以外のサブキャラやラストエピソードはシナリオの元長さん独特の言い回しが大量に盛り込まれていて非常に疲れます。
 『SenseOff』など元長さんの作品をプレイされた方はお判りと思いますが、物事(このゲームの場合は主に恋愛感情について)をロジック化して表現していて、言い回しも非常に回りくどくて難解な為、言わんとしてることを理解しようとする方に集中してしまい「楽しむ」という感覚は全くありませんでした。 ただ逆にこの点が楽しいと感じる人も居るかと思いますけどね。 個人的にはせめて日常の冗長に感じる描写はもう少し端折って欲しかったところです。

 この作品でライターさんが言わんとしてることは漠然と理解できますが、少なくとも私は「なるほどね」とは感じたが納得も共感することも出来なかった(というか納得したくなかった)のでプレイ後に何とも言えない空しさを感じました。 ただ前作の『SenseOff』といい、彼の考えは色々な意味で面白いので一度は元長氏の作品に触れてみるのも良いかもしれません。 もちろん前作などが気に入ってる人にもお薦めできます。
 ちなみにこのゲームの世界は'89年だそうで、ちょうどエロゲの創世記にあたる時代なんですね…この辺りも心に留めつつプレイすると良いかも。


◇ お気に入りキャラ

 メインヒロインの「飛鳥井 霞」でしょうかね。 って言うか、彼女が気に入らない場合はこのゲームに対する評価も厳しくなるかも。 キャラ的にはぽけぽけな先輩「神澤 悠歌」も気に入ってるんですけど、彼女の考えってどうも私には納得できないので個人評価は下がりました。


◇ 備考

 所要時間: 1'stプレイ6時間。コンプリートまで約16時間。


私的満足度: ★★★★★ ★☆☆☆☆

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