水素 〜1/2の奇蹟〜 |
発売日:2001.03.30 / e-Electriciteit |
◇ あらすじ
主人公「倉田洋介」は秋桜学園の二年生。
彼の所属する新聞部と、その活動を通して関わっていく少女達との物語がはじまる。
◇ ゲーム概要
画面全体にテキストが表示されるノベル形式のADV。
途中に出てくる選択肢を選んでいくことで進行するオーソドックスなタイプです。
ゲームの期間は主に夏から冬にかけて…と比較的長期間なのですが、退屈な日常シーンはすっぱりと省かれ、イベントのみで進行していくのでプレイ時間は短めになってます。
攻略可能なヒロインは5人。
ゲーム開始から2〜3回目までの選択肢によってシナリオが分岐していきます。
ただお目当てのヒロインに全く関係の無い選択肢によって分岐される場合もあるので、この分岐条件に気がつかないと難易度が若干高いと感じるかも知れません。
◇ システム
インストール容量は約300MB。ゲーム起動にはBGM用のCD-ROMが必要になります。
画面サイズは640×480の窓とフルスクリーンの二通りから選択可。
画面の上部に各種システムメニュー(アイコン)が表示されており、一見すると使い易そうですが…細かい設定などは結局「コンフィグ」メニューを開いてやる必要があるため、あまり有り難みはないです(笑)。
メッセージは文字速度の設定が可能でスキップ機能も装備されてます。
ただ、それほど高速で飛ばしてくれないし、何より既読チェックをしてくれないので使い勝手はイマイチかと。
セーブやロードはゲーム中にいつでも可能。
計36ヶ所まで保存でき、ゲームのボリュームを考えれば十分な数だと思いました。
それと、このゲームは色々と不具合が多いのでメーカーサイトより最新版の修正ファイルをDLしてからプレイしましょう。
ユーザー葉書を送付することで修正済のCD-ROMが送られてきます。
ちなみに修正後はセーブデータの互換性が無いようなので注意。
◇ グラフィック
キャラデザインは「古美 明」さん。
やや頭部が大きく、全体的に幼さの感じるキャラが多かった気がします。
個人的には特に当りも外しもなしかな…と言ったところでしょうか。
ただキャラの立ち絵の表情パターンが少なく、特にサブキャラなどは1パターンしかないキャラもいて少々物足りなく感じました。
CGの質に関しては無難…というところかな。
決して悪くはないのですが、キャラ絵などはアニメっぽいボタッとした塗りなので、今一つ艶を感じなかったです。
オープニングムービーなどの動きのあるカットは結構良い感じでした。
CGモードは一度エンディングを迎えるとトップメニューより入れるようになります。
またエロシーンの回想モードもありました。
◇ サウンド
CD-DA再生の全22曲(実質21曲)という構成。
耳に心地良い静かめな曲が多く、なかなか良かったと思います。
OPとEDはそれぞれボーカル曲が用意されていて、個人的には特にEDの「YA・KU・SO・KU」がかなり気に入りました。
ちなみにボーカルはKOTOKOさんです。
音声は無し。
声付きで聞いてみたかった台詞とかもあったのでちょっと残念です。
BGMモードは一度エンディングを迎えるとトップメニューから入れるようになります。
◇ 感想まとめ
話自体はファンタジー要素なしの「普通の学園物」という感じなのですが、シナリオ構成はどのヒロインでも共通する要素があるのが特徴。
各シナリオで攻略対象になるヒロインは、日常生活で主人公と接している「通常の顔」の他に、もう一つ新聞部の活動などを通して別人として登場し、主人公と接していく展開があり、通常の顔では知り得なかったヒロインの側面を上手くプレイヤーに見せています。
この「もう一つの顔」の設定や展開は当然ヒロイン毎に全く異なるので繰り返しプレイも苦にならず、その設定の違いを素直に楽しめました。
ただ、その別々の人物だと思い込んでた主人公が、実は同一のヒロインだったと理解した後の展開が纏まってなくて凄く勿体無いと思います。それに加え、中には私の予想外の展開となっていたものもありましたが、殆どは「プレイヤーにはバレバレだが主人公は気付かない…」という感じになってますし、主人公がヒロインに対して恋愛感情を抱く過程の描写が不足してるため、どうしてもプレイヤーは傍観者的な立場になってしまうのが惜しいと感じました。
それともう一つ、どうしても言っておきたいのが「大量の誤字を何とかしてくれ」ということ。
01/05/05現在の修正ファイルでも誤字は修正されてなくて、某ヒロインの正体に関して致命的な名前のミスをしてる箇所があって萎えました。
不具合も大量にあったようですし、もう少しちゃんとしたのを出して欲しかったですよ。
エロシーンは薄いです。
CGも個人的にくるものが無かったし、主人公の感情に付いて行けなかったので、Hへの入り方も些か不自然に感じてしまい全然燃えません。
エンディング後に新たに選択肢が追加され、そこから鬼畜エロシーンも見れるようになるんですが…これも直前の主人公の態度と性格がガラッと変わって無理矢理に鬼畜な展開へ持っていってるのが苦笑もの。
そんな訳でこのゲームを纏めると「光るところはあるが粗の方が目立つゲーム」と言ったところでしょうか。
絵・設定・I've主題歌のうち、どれか一つでも興味があればプレイしてみても良いかもしれませんが、過度の期待は禁物。
◇ お気に入りキャラ
全体的にキャラは立ってますが萌え度は若干低めですね。
キャラに惹かれたのは先輩の「永澤静瑠」でしょうか。
しかし無口な先輩というのはこの手のゲームでは定番になってきたなぁ(苦笑)。
◇ 備考
所要時間: 1'stプレイ約2時間。コンプリートまで約10時間
私的満足度: ★★★★★ ★☆☆☆☆
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