Rascal・改 − Game Impression
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Silence 〜聖なる夜の鐘の中で…〜
発売日:2001.05.11 / prismsoftware ・ e-エ・レ・キテル

◇ あらすじ

 主人公「結城貴之」は親が海外で仕事をしている為に、父親の再婚相手の連れ子である「結城亜希」と二人暮しの生活を送っていた。 そんな主人公もここ数日間、徹夜続きで準備した学園祭が無事に終了して心地よい開放感を味わっていたが、その頃から断続的に頭痛に襲われるようになり、翌日の登校中にはとうとう意識を失って入院してしまう。
 そして意識が戻った時、主人公は病院のベッドの上で自分が脳腫瘍を患っていること、そして数日中に手術をしないと命に関わることを告げられるのであった。 しかも手術の成功率は決して高くなく、主人公は半ば自暴自棄になってしまう。 だが入院先である病院内で様々な少女達と出会い、関わっていくうちに少しづつ主人公の心境は変化していくことになるのだった…。


◇ ゲーム概要

 ゲーム中に出現する選択肢を選んでいくことで進行・分岐するオーソドックスなADVです。 選択肢の内容も捻りやセンスがイマイチ感じられない…言い換えれば解り易い内容なので難易度は低い部類に入るでしょう。 ただ約1名だけ少し捻った選択をしないとHappyEndにならないキャラが居ました。

 攻略対象ヒロインは9人。 そのうち1人は隠しキャラになっていて、何人かのヒロインのエンディングとバッドエンドを見ておかないと登場しません。 キャラ設定は看護婦、巫女、アイドル、etc…と、かなり手広く散っています(笑)。


◇ システム

 まず、Win95は未対応なのでご注意ください。
 インストールに必要な容量は約580MB固定。 それと、このゲームには修正ファイルがFDで付属されているので、ゲームを始める前に入れてやる必要があります。 ただ、そのFDの修正内容でもバグはてんこ盛りなので、Webのどっかから最新の修正ファイルを拾ってきた方が無難です。 発売の翌週は毎日のように修正差分がアップされていたので私はいい加減にキレそうでした。

 画面サイズはフルスクリーン固定…というより1024×768サイズの窓?
 メッセージは既読部分が色違いで表示されるなど、一見凝ってるように見えますが、スキップは未読部分も飛ばしてしまいます。 しかもスキップ遅いです。 バックログの閲覧も可能のようですが、私の環境では最新の差分を当ててもバックログの閲覧をするとテキストウインドウが固まってしまいます…。
 セーブやロードはゲーム中にいつでも可能で、計255ヶ所まで登録できるようになってました。

 まぁ…一言でいうならシステムは腐りきっとります。 こんな仕事がまかり通ってしまうエロゲ業界って凄い。要求スペックも何気に高いし。


◇ グラフィック

 原画は「桜沢いづみ」さん。 やや頭部と目が大きめで可愛い感じのキャラを描いてますね。 好き嫌いで言えば断然好きな部類に入る絵柄で満足してます。 立ち絵の表情パターンは数種類用意されてい良いのですけど、一部でポーズの変化時に服装まで変わってしまったのには萎えました。

 全体的なCGの印象は…イベントなどの一枚絵に関しては、もう少し塗りの方で頑張って欲しいと感じましたけど、概ね許容範囲でした。 ただし、背景が凄まじく駄目駄目なんですよ、このゲーム。
 ・遠近法がめちゃくちゃで犬小屋のように見える教会
 ・同上の理由でやたら広大な病室
 ・同上の理由で凄まじく扉の大きなエレベーター
 ・そして極めつけはマヤ遺跡のピラミッドのような階段…
もうね、最初に見たときは素で数秒間固まりましたよ…。 実際に見て貰わないとその凄まじさは解って頂けないと思いますけど、あんな階段がある病院があったら是非行ってみたいです。 ただし絶対に入院はしたくありませんけどね。
 階段以外でも立ち絵と背景画の比率が全く合っていなくて、その辺の同人ゲームのほうがよっぽどハイクオリティです。 この背景を描いた人って凄いけどリテイク出さなかった責任者はもっと凄いですなホント。

 CGモードはトップメニューのから入れるようになってます。 CGの閲覧はキャラ毎に1枚づつ捲っていく感じなので少々使い勝手が悪いかな。 一応全体の達成率は表示されますが、どのキャラのCGが抜けてるのかが不明なのはマイナス。 エロシーンなどの回想モードはありませんでした。

(追記)
例の階段は「糞ゲー・地雷ゲーをあえて誉めちぎるスレ」をあえて保存するWikiの「伝説の階段」のとこに画像がありました。 色々と楽しいWikiですので一見してみるのも良いかと。


◇ サウンド

 CD-DA再生の全31曲という構成。 BGMの方は正直あまり良いとは感じなかったです。 いや曲自体は悪くないかも知れませんがシーンに合ってないものが結構あった気がするので。
 ただし主題歌の3曲はどれも素晴らしかった。 特にOPの「Especial Friend」は私自身この曲を聴いて購入を決定したくらいですし、かなり気に入ってます。

 音声は無し。 CD2枚も使用してるんで、てっきりボイス入りだと思ってたのに拍子抜け。 何にそんな容量食ってるんでしょうね…。 音楽鑑賞モードもありません。


◇ 感想まとめ

 なんと言いますか…キャラ設定やシナリオはユーザー受けしそうなものを色々と突っ込んではありますが、本編中に使いこなせてないし主体性を全く感じない内容でしたよ。
 「流行だから巫女にしてみよう」、「ドジで抜けてる看護婦のほうが可愛げがあってウケるよね」、「キャラに萌えさせるには特徴のある口癖が効果的。うん「あやや〜ん」にしよう」…って感じの「とりあえず」的な設定が凄く白けました。 まぁこういうゲームは沢山あるんで、今更という感じもしますけどね…。

 シナリオの内容は脳腫瘍になって自暴自棄になっていた主人公が入院を機に知り合った女の子達と接し、悩みを解決していく過程で惹かれ合っていき、やがて主人公自身も手術を受ける決心をする。 という流れですが…書いていて私も自信が無くなってくるほど中身がペラペラに薄いです。 ルートから外れるとその時点で脳腫瘍が悪化して即死…という展開になるのも芸が無さすぎでシナリオの薄さを物語ってます。 発生するイベントの描写もキャラ同士の会話も選択肢の内容もはっきり言ってセンス無なさすぎ。

 あと致命的なのは主人公の性格や行動が全く受け付けなかった点でしょうか。 自己中心的でわがままだし、クサい台詞を平気で言うし、更にはヒロインが陵辱されてる様を解説しながら眺めてるし…。 でも、一生懸命に不眠不休で学園祭の準備に奔走した挙句、脳腫瘍で入院したのに学園の友人は誰も見舞に来ないのは寂しいですな。 実の親さえも即仕事に戻ってしまったし…この主人公って孤独です(苦笑)。 それでも「友達はたくさんいるよ」とか言ってるあたり、結構メデタイ奴なのかも知れません。

 エロシーンは基本的には各ヒロインルートの終盤に1回発生します(某ルートでは実質2回)。 まぁ期待はできないだろうまぁ…とは思ってましたが、案の定でした。 CG枚数も少なめだし「○○を××した」という状況説明ばっかりで全然使えません。

 まとめると原画と主題歌以外は「粗を指摘する以前の問題」という感じですね。 ぶっちゃけ駄作です。 いや、本当はこんなに酷評するつもりは無かったんですけど、ゲームを思い出しながら感想書いてるうちにムカムカしてきちゃったんですよ(笑)。 下の満足度は原画と主題歌で“かなり”プラス補正が入ってることも追記しておきます。
 余談ですがこのゲームの初回特典は「特製設定資料集」だそうで…。 私が購入したのも初回版の筈なのですが…どう見ても普通の説明書にしか見えないです。 この辺りから察するに、このゲームのスタッフ達と私の基準ってかなりかけ離れてるんでしょうね。


◇ お気に入りキャラ

 敢えて一人を挙げるなら…「赤木 咲智」です。


◇ 備考

 所要時間: 1'stプレイ約2時間。コンプリートまで約13時間


私的満足度: ★★★★☆ ☆☆☆☆☆

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