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Crescendo 〜永遠だと思っていたあの頃〜
発売日:2001.09.28 / D.O.

◇ あらすじ

 卒業式を5日後に控え、残り僅かとなった学園生活。 主人公「佐々木 亮」は出席日数不足でこの時期でも補修を受けている状況にあった。
 無口でどこか人を寄せ付けない性格もあってか主人公と親しい人は決して多くはなかったが、それでも卒業を目の前にし、共に学園生活を送った仲間達や慣れ親しんだ場所で過ごすことができるのが残り僅かとなった今、心の内に秘めていた想いが強く激しく募っていく…。


◇ ゲーム概要

 画面全体に文章が表示されるノベルタイプのADV。 選択肢を選んでいくことで進行・分岐するオーソドックスなタイプです。
 ゲーム期間は卒業までの5日間。 登場するヒロインは計6人で、それぞれにHappyEndとBadEndが存在します。 各ヒロインのシナリオに入る為のフラグやHappyEndの条件などは非常に判り易いものとなっていて難易度は低い部類に入ると思います。


◇ システム

 インストールは標準(180MB)と最大(525MB)から選んで選択可能。 最大インストールしてもゲーム起動時にはCD-ROMが必要です。

 画面サイズはフルスクリーンと640×480のウインドウモードの二通り。 テキストは表示速度の調整、既読・未読スキップ、テキスト履歴閲覧、そして文章の自動送り機能とノベルゲームとしての必要な機能は揃っているのは良いと思います。 ただ禁則処理くらいはして欲しかったかも。

 セーブやロードはゲーム中にいつでも可能で計10×3ヶ所まで登録できます。 ラジオボタンでセーブする領域を指定し、セーブ時の画面状態も登録してくれるのは良いですね。 同系列のトラヴュランスやZyXと同様の仕様…と言ったほうが解る人が多いかな。


◇ グラフィック

 原画・キャラクターデザインは「紫川弓夜」さん。 少女漫画っぽい絵柄で目が大きい上に瞳の描き込みがリアルでちょっと怖い気もしますが、そのうち気にならなくなりましたし、特に髪の描き方などは気に入ってます。

 立ち絵は表情パターンが多く、服装やその配色なども落ちついたものになっていて、それでいて妙に色気があるのが良い感じでした。
 CGは枚数としては標準的。塗りのほうは背景を含めて淡色系の落ち付いた雰囲気になっていて個人的にはかなり気に入ってます。

 CGモード及びHシーンの回想モードがおまけでありますが、一度何らかのエンディングを見た後でないと入れません。


◇ サウンド

 DirectSound(WAVE)の計27曲。 エンディングで「The Entertaina」が流れたり既存のクラッシクの曲を使用してたりとジャズ調のシックな雰囲気の曲が多いのが特徴ですが…どうも私の想像していたゲームの雰囲気とは若干異なるのでなんとなく違和感を感じました。
 オープニングで流れる「Spring Breeze」は落ち付いた感じの曲でなかなかよさげ。 ボーカルは『星空☆ぷらねっと』でも数曲担当してる「二見直子」さんで歌唱力のほうも問題なし。

 音声はありません。個人的にこれはちょっと意外でしたし残念です。 後にフルボイス版が発売されたようなので、これからプレイされる方はフルボイス版を強くオススメします。
 音楽鑑賞モードはCGと同様に一度何らかのエンディングを迎えた後に入れるようになります。


◇ 感想まとめ

 物語が卒業間近という設定故、それまでの学園生活を回顧しつつ進行していく物語になるので各登場キャラ達の心情などが上手く読み手(プレイヤー)に伝わるかというのが一番の不安要素だったのですが、回顧シーンの入るタイミングとそれに合わせての各キャラの心理描写が上手く噛み合っていてテキスト自体も読み易く、すんなり物語に入って行けたのが好印象です。

 物語の内容はどれも正統派純愛物。 5日間という短い期間ですが、過去の回顧シーンを織り交ぜつつ主人公の内面的な成長と各ヒロインとの初々しい関係とが徐々に、そしてそれほど違和感を感じずに描かれていくストーリー構成は見事。 青臭さを感じつつも相手を想い、想われて、時には人を傷つけて不器用なりに一生懸命に悩んで行動する作中のキャラ達は、もう既にその年代が遥か昔の事となった私には眩しくて羨ましさすら感じてしまいます(苦笑)。

 各キャラとも妙な口癖もなく、控えめで地味な印象がありますけど、これが逆に読み手を違和感なく物語の中へ引き込ませる事に成功してると思います。 まぁどのキャラも人が良すぎで自分の想いが叶わなくても好きな人が幸せなら…という想いなのが現実感に欠けるけど、このおかげで主題歌「Spring Breeze」の如く爽やかな印象を醸し出しているので結果的には良かったのでないかと。 実際バッドエンドなのにベストエンドに思えてしまうエンディングも幾つかあってハッピーエンド至上主義者には嬉しいところ。

 エロシーンは1ヒロインにつき1〜2回程度。 初体験でも容易に達してしまうご都合主義はありますが、行為の最中に交わす会話などはそのキャラに合っているしテキスト描写の上手さも手伝って「ああ、本当にあのやり取りをしてきた娘とのHなんだなぁ」と感じることができて良かったですよ。 エロシーンだけ妙に浮いてるゲームと違い、あくまで一つのイベントとして描かれているのは評価できます。
 CG枚数は4〜5枚程度。 実用度は低めかも知れませんがキャラが気に入ればそれも可能かと。

 ん〜、読み返すと何やら誉めちぎってますが、実際に物語の内容、雰囲気、キャラといい個人的にはかなりお気に入りなゲームとなりました。 音声が無いことと物語がちょっと短めで淡々と進行するのが残念なところですけど正統派純愛ゲームが好きなら文句無しにお薦め。 ギャグ・萌え・エロ・鬼畜・ゲーム性を強く求める人は素直に止めておくべきです。


◇ お気に入りキャラ

 一人になんて絞れないのでキャラ全員…と言いたいところです。 それでも敢えて書くなら……姉の「佐々木あやめ」かな。


◇ 備考

 所要時間: 1プレイ約1〜2時間。コンプリートまで約8時間。


私的満足度: ★★★★★ ★★★☆☆

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