初夜献上 |
発売日:2001.10.26 / 大熊猫 |
◇ あらすじ
母親を自殺で亡くし、父親の所在も掴めない為、一人暮しをしている主人公「金井 照群」。
ある日、その照群の元に母方の実家から1通の手紙が届き、祖父が急病であることを知らされる。
自分と連絡を取ることをわざと避けていた節のある祖父だったが、急病とあっては自分の母親のことを、そして何も知らされていない父親のことを訪ねる最後の機会になるかも知れないと感じ、母親の実家である山間の村へ訪れることとなった。
◇ ゲーム概要
選択肢を選んでいくことで進行・分岐するオーソドックスなADVです。
ゲーム期間は約一ヶ月。
登場するヒロインは3人で、基本的にお目当てキャラ以外のヒロインに対しては冷たく接していれば容易に個別シナリオに入ることが出来るので難易度は低めでしょう。
エンド総数は4種類です。
◇ システム
インストール容量は最小2MB。標準278MBで、それにBGM(140MB)と音声(237MB)を指定してインストール可能です。
フルインストール時のサイズは約655MBほど。
システムはビジュアルアーツでよく使われてるものとほぼ同様で、画面サイズは640×480の窓とフルスクリーンから選択可。
メッセージは表示速度の調整、既読・未読スキップ、自動文字送り、「PageUP・Down」キーにてテキスト履歴の閲覧も可能となっており、特に不都合はありませんでした。
文字もアンチエイリアス処理がかかっていて読み易かったです。
セーブやロードはゲーム中にいつでも可能で計16ヶ所まで保存できます。
それほど選択肢の多いゲームではないので個人的には十分な数だと思いました。
全体的に動作は快適で私の環境では特に致命的な不具合もなく安定していました。
◇ グラフィック
原画は「緋呂河とも」さん。
キャラ毎の描き別けはしっかりしているし、結構気に入ってはいます。
立ち絵の表情パターンも多目ですし。
CGは背景など綺麗に描かれてますし、ゲーム内の季節が梅雨ということで雨の描写にも凝っていて良い感じです。
イベントなどの一枚絵も決して悪くないんですけどCG枚数はかなり少な目に感じました。
CGモード及びHシーン回想モードは最初からトップメニューより入れるようになってます。
どちらもキャラ毎にサムネイル表示され、達成率も表示してくれます。
◇ サウンド
PCM再生の全18曲という構成。
約1曲ほど耳障りな曲があったものの、静かなピアノメインの曲が多く梅雨時の憂鬱で物悲しい雰囲気が良く出ていて非常に良かったです。
お気に入りは文字通り「索莫」という曲。
あと「水影」も全体的に静かな曲が多い中にあって非常に明るい感じの曲で印象に残ってます。
ちなみに主題歌はありません。
音声は主要な女性キャラのみフルボイス。
演技のほうは何の問題もなく配役的にも合っていて満足できました。
音楽鑑賞モードは最初からトップメニューより入れるようになってます。
◇ 感想まとめ
このゲームをプレイした後に感じた最大の特徴であり最大の欠点…それはゲームを進めていく上で「凶悪なまでに会話のテンポが悪い」ということ。
物語の内容云々以前にこの劣悪なやり取りはもう少しなんとかならなかったんでしょうか。
「あ…」
「…あの…」
「えっと…」
「…その…」
「なんていうか、その…」
「でも…」
「そんなこと言ったって…」
「じゃあ…その…言います…ね」
「あ…はい…。その…お、お願い…します。」
「…」
「…」
…こんなやり取りが延々と続き、通常なら5秒で終わりそうな会話を5分以上続けてくれるんですよこの人達は。
いくら何でもやり過ぎです。
主人公もヒロインも“シャイ”というレベルではないほど意思表示が下手で、台詞回しが非常に回りくどい上にテキストウインドウが2行までしか表示されず、主人公やその他のキャラ達の煮え切らない言動の度にクリックしなければならないので、ストーリーの進行が遅くてイライラします。
物語の内容的には、「実家に戻ったものの祖父の容態が悪いらしくて面会するまでは数日必要になり、その間に主人公は世話になってる従姉やその他の女の子と打ち解けていき、やがて祖父に面会した時に聞かされる衝撃の真実を聞かされることに。
そのとき主人公と彼を慕うヒロインは…?」という感じなんですけど、物語の大部分を「何も無い田舎で祖父と面会できるまでを過す日常」が占めていて、ただでさえ変化に乏しく退屈なシーンを会話がより一層鬱陶しくしてくれてます。
更にエンディングもどうもすっきりしません。
唯一すっきりしたエンディングが所謂バッドエンド…というのは如何なものか。
エロシーンは祖父との面会後にヒロイン一人あたり複数回発生します。
とは言え物語の設定上、本番は最後の一回だけで残りはフェラとか素股とかですし、シナリオによってはこの主人公はここでも煮え切らない態度を取ってくれるので正直言って萎えました。
ヒロインに何度も何度も何度も「してください」と懇願されてるのにビビリまくってる主人公を見てると「貴様はそれでもエロゲの主人公か!」と小一時間ほど問い詰めたくなります。
エロシーンの内容自体は割りと良い感じなので、そこまでに萎えなければ実用も可能かも知れませんけど、少なくとも私には無理ですね。
あと処女率は高め…というかメインヒロイン3人共処女で「初夜献上」というよりは「処女献上」という感じ。
とりあえず価格設定を考慮すれば頑張ってるなぁとは感じますけど、フラストレーションが溜まりまくるシナリオ展開はやはり頂けません。
パッケージには「悩める多感な若い時代の貴方の苦悩を繊細なタッチと卓越した構成で丹念に描く」とありましたが…苦悩してたのは主人公だけだし悩みすぎだし丹念すぎだってば。
前作『継母調教』でも主人公の性格には嫌気が差しましたけど、どうやらこのメーカーは今後もこの手の主人公で行きそうな感じですね…。
ヘタレ主人公大好き!とか、ヒロインの一人がギブス装着キャラなのでギブスっ娘に興奮してしまう方には良いかも知れません(笑)。
◇ お気に入りキャラ
う〜ん、強いて言うなら「吉野 比刀vかな。ギブスはどうでも良いですが。
◇ 備考
所要時間: 1プレイ約1.5〜4時間。コンプリートまで約9時間。
私的満足度: ★★★★★ ☆☆☆☆☆
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