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月陽炎
発売日:2001.10.19 / すたじおみりす

◇ あらすじ

 時は大正。実家が神社である主人公「嘉神 悠志郎」は父親の薦めで祭りの準備を手伝いに有馬神社へと訪れる。
 そして、そこで悠志郎は二人の少女と出会い、流れのまま日常を過すうちにやがて一人の少女と心通わすことになった。 だが、やがて二人はその先に待ちうける過酷な運命を知ることになる。


◇ ゲーム概要

 大正浪漫+伝記物のADV。 ゲームは選択肢を選んでいくことで進行するオーソドックスなタイプですが、エンディングを迎える毎に新たな選択肢や展開が増えていくエンディングフラグ方式となっています。 正確には特定のエンドを迎える毎にアイテムを取得する事になり、そのアイテムが新たな展開への鍵となるんですが…ゲーム中でそのアイテムを使用するような物ではなく、単純なフラグ識別のようです。

 エンディングの用意されてるヒロインは計5人いますけど、メインヒロイン格の「柚鈴」と「美月」以外は「その他」扱いでメインヒロイン二人に比べてやはりボリューム不足なのが残念なところ。
 難易度は低いです。 ハッキリ言ってしまえば最初の選択肢でほぼルートが確定してしまいますから。 あとはエンディングの補完さえしっかりやっていけばコンプリートすることは容易でしょう。 総エンド数はたぶん10種類だと思います。


◇ システム

 インストール容量は約1.43Gと大きめで、しかも他サイズのインストールの指定はできないので注意が必要。 一度インストールしてしまえばメディアレスで起動できます。

 画面サイズは640×480の窓とフルスクリーンの二通り。 メッセージは表示速度の調整、既読・強制スキップ、メッセージ履歴の閲覧が装備されていて特に特に不便はなかったです。 マニュアルにはオートプレイ機能の説明もありますが、実際のゲームにはありませんでした。 他にフォントの指定(アンチエイリアス・影付きの指定)が可能だったり、キャラによって文字色が異なっていたりして読み易いように工夫されているのが好感持てました。
 セーブやロードはゲーム中にいつでも可能で計20ヶ所まで登録できます。 難易度的に低いし、序盤プレイ時のセーブデータは後半ではあまり意味がないので十分な数だと思います。

 前作で凄まじいバグゲーを出したこのメーカーですが、今回は特に致命的な不具合は無かったようで一安心です(苦笑)。


◇ グラフィック

 原画は「仁村有志」さん。 ぽちゃとした可愛い感じのキャラですね。 立ち絵の表情パターンも豊富でなかなか好印象でした。

 CGは背景も含めて丁寧に描き込まれていますし、塗りのほうも概ね良好。 一部スクロールする大きめなCG(又は背景)もあって満足度は低くないんですが…できればもう少し枚数が多いと良かったかな。 サブヒロイン達のほうは特に。 それとタイトル画面のCGがエンディングを迎える毎に変化していくのも面白いです。

 CGモードはゲーム中に「思い出のアルバム」を取得することでトップメニューに追加されます。 同様にHシーン回想モードも「キネマのチケット」を入手することで鑑賞可能。


◇ サウンド

 PCM再生の34+3の計37曲…かな。 今は亡きAIR PLANTSでも曲を書いていた「Manack」さんが担当してるんですが、主題歌・BGM共になかなか良かったです。 特に「銀恋歌」がお気に入り。 またタイトル画面で流れる「予感」という曲が、エンディングを迎える毎に使用されていく楽器が増えていくのが聴いてて楽しかった。 先に書いたようにタイトル画面の変化と合わせてこういう「お遊び」は良いですね。

 音声は主人公以外フルボイス。 演技のほうは概ね良好で特に不満はありません。 強いて言えば「鈴香」役の人があの「メイドさんロックンロール」歌ってる人だと聞いて強い違和感を感じたことくらいでしょうか(笑)。
 効果音も主人公が小便をする音とかなかなか凝っているしステレオ効果も抜群で面白いです。 ただ後半に入る呪術(?)の効果音が少々ヘボイかな。 思わず「ゆうしろはベギ○マをとなえた!」とかメッセージが出てくるんじゃないかと思いましたよ。
 音楽鑑賞モードはゲーム中に「蓄音器」を取得することでトップに追加されます。


◇ 感想まとめ

 巫女服もいいけど、矢絣袴もいいよね〜。 とプレイ後に新たな属性に目覚めてしまう事となったこのゲーム、プレイ前は前作の評判を聞きかじっていただけにシステム面の不具合が心配で見送ることも考慮しましたが、目立った不具合も無さそうだったので改めて購入と相成りました(笑)。

 このゲーム、前半から中盤までは割とほのぼのとした日常を過すことになるんですけど、キャラの立て方が良く、何気ない仕草でもそのキャラの特徴を上手く引き出して魅力的に描いてますね。 立ち絵の豊富さや演出効果もよく、主人公が段々と有馬一家に馴染んでいく過程が違和感なく進んでいくし、各イベントのテンポやノリも割と良いので退屈せずにまったりとプレイできたのは好印象です。

 とまぁ中盤までは割と良い感じで進んでいくんですけど、終盤の各キャラの設定が明らかになっていくあたりからエンドに向けては前半部で貼られた伏線を考慮しても少々説明不足で展開が急だなぁと感じます。 プレイしていて何となく「こういう設定のこういうお話なんで、とっとと感動してくれ」と感じてしまい少々萎えました。 各キャラの設定とか物語の骨組みは割としっかりしたものになっているんですけど、それに対する肉付けがやや不足ぎみな感じで非常に惜しいなと。

 エロシーンに関してはメインヒロインの二人はシナリオもよりますが最大5回発生。 最初は互いに遠慮ぎみなのに2回目以降は賽銭箱の上や台所など、もう所かまわず発情するのが凄く違和感感じるんですけどシーン自体は割と頑張っていて巫女服、矢絣袴、割烹着などの衣装に合わせたなかなかツボを押さえた内容でよさげでした。
 処女率は高く、葉桐以外は全員処女。 葉桐もメインヒロイン並にHシーンの回数があるので「お、奥さ〜ん!」な人は結構満足できるんではないでしょうか。 もっともこの時の主人公の変貌ぶりにも違和感を感じますが…同じ屋根の下に旦那がいるところでのシーンですし、これはこれでツボを押さえているのでまぁ良いかなと(笑)。

 まとめると伝記物として期待すると外す可能性が多分にあるが、全体的には大ハズレのない佳作というところでしょうか。 設定や絵が気に入ったなら購入しても損はないと思います。


◇ お気に入りキャラ

 元気お転婆娘の「有馬 美月」かな。 私の属性的には断然「柚鈴」なんですけど、日常のほのぼのとした雰囲気の中でダレすにプレイできたのは美月とのやり取りがあったからこそですし、その貢献度は計り知れません。


◇ 備考

 所要時間: 1プレイ約2〜4時間。コンプリートまで約17時間


私的満足度: ★★★★★ ★★☆☆☆

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