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ガジェット
発売日:2005.03.11 / BLACK RAINBOW
 全CGと回想を埋めてコンプ。 元々このゲームに興味を抱いたキッカケは音楽担当が風水嵯峨さんだったから…というものでしたけど、ネット上の評判を流し見た感じでも評判は良さそうだったので改めて購入と相成りました。 所要時間は1stプレイで6〜7時間、コンプまでは15〜16時間くらいだったと思います。

 従姉妹の景子と二人暮らしをしている主人公「黒沢 聡史」。 物心付いたときには既に両親は亡くなっていたが、隣の野中家とは家族同様な付き合いをしていた。 更に向かいの空家に引っ越してきた早坂家とも仲良くなり、楽しい日常を過ごしていく。 だが主人公の一族である黒沢家には主人公も知らない秘密があった。 その秘密を知ったとき、主人公の日常はどのように変化していくのだろうか…というあらすじ。


 幼少編・学園編・景子編の三部構成になっている「黒い純愛ADV」。 各章の内訳としては幼少・学園編が明るいラブコメ風味で進み、最後の景子編が鬼畜風味の展開となっています。 幼少編はほぼ一本道。学園編も大まかな流れは一本道で、合間にヒロイン毎の個別イベントが挿入される構成。 景子編はそれまでの行動によって大きく異なってきます。
 ヒロイン級のキャラは5+2人。 ヒロイン毎の好感度の他に主人公のエゴ度によっても展開が分岐し、エンド総数は14種類ありました。 難易度としてはちょっとパラメータの分配に気を使う程度で全体的にはそれほど難しくないと思います。


 幼少編は早坂シセル・風美香の母娘との出会いから始まり、後に幼なじみ4人組となる少年少女達が打ち解けていく様子が描かれていきます。 主人公は利発で他人への思いやり溢れる少年なので同世代(風美香や真帆)からは慕われ、彼女らの母親(シセルや裕子)からは可愛がられる展開にも違和感がなく、ほのぼのとした楽しい日常が心地良かった。 更にその過程で黒沢の実家や景子との会話、風美香の祖母などの後の展開で活きる伏線の張り方も悪くないですね。

 続く学園編でも基本は楽しい日常描写がメイン。 この学園編から登場する奥村薫が「第二生徒会」なるものを立ち上げ、そこに舞い込んでくる依頼などを通して描かれるドタバタ劇はやっぱり心地良いものがありました。
 加えて主人公達はそろそろ異性が気になる年頃(たぶん中坊)なのでヒロインとの恋愛描写も描かれます。 主人公が他人への思いやりや気配りの出来る人というのは先にも書きましたが、更にヒロインが抱えている問題を理解した上で自分に出来ることを考え即実行に移せる行動派なのが好感触。 昨今の巷に溢れてるヘタレ主人公達に辟易していた私にはこの行動力の高さも心地よく、ヒロインが惹かれることにも納得出来る流れでした。
 ただ、この恋愛過程がやや短めなのが勿体無い。 下手に引っ張られるよりはマシですけどヒロインとのイチャ付き描写はもう少し描いて欲しかったところです。

 あと、これら日常描写の心地よさに大きく貢献していたのが画面効果。 立ち絵やイベント絵が豊富なのは勿論ですが、それらを演出してるエフェクト処理が素晴らしい。 例えばプールで溺れてから気が付いたとき、顔を覗き込んでるヒロインから水滴が滴り落ちる様子などはホントにモニタに水滴が付着したかのようなリアルさです。 他にも湯気がたち込める様子とか野球のバッティングシーンなど、とにかく“動き”があって見ているだけでも楽しめました。 しかも2ndプレイ以降に繰り返し見ることになっても鬱陶しさを感じなかったのも凄いです。

 そして最後の景子編ですが、前提として景子姉さんは「天才的な頭脳の持ち主」で「主人公を深く愛してる」が、訳あって「良心が欠落」している状態。 そんな景子姉さんは主人公がヒロインと共に幸せな日常を過ごしてる事に我慢できず「手に入らないなら壊してしまえ」と主人公の“枷”を外して幸せな日常を壊す…というのが主な流れ。

 私はてっきりこの平穏な日常が失われていくことに対する喪失感や恐怖感を軸にして、それでも景子姉さんには逆らえずにヒロイン達を陵辱していくような展開だと思っていたのですが…実際はマニアックな和姦エロ描写のオンパレードといった感じ。
 要するに景子編への突入時点でヒロインは主人公激ラブ状態なので、“枷”を外された主人公が鬼畜な要求をしても「大好きな主人公の要求だから」と素直に従う展開が多いのですな。 まぁ、これはこれで好物ですから個人的には無問題ですけど(笑)。

 幼少編からヒロインと絆を培っていく流れを見てきたが故に、ヒロインへの思い入れは強く感じるようになりますが、その思い入れの強いヒロインや幸せな日常生活を失ってしまうことに対する喪失感や恐怖感がほとんど感じられなかったので、そっち方面に期待すると肩透かしを食らうかも知れませんね。

 エンディングはハッピー系のものだとちょっとホロリと感動できるものが印象的。 ただ、黒澤家の秘密や景子姉さんの目的が果たせられるエンドが少ないのが惜しいですね。 全エンド中で精神的に後腐れなさそうなのは薫エンドくらいしか無かったので出来れば全てが解決するTrueエンドが欲しかったところです。


 エロシーン数は…とりあえず回想数70枠と大量に発生します。実際はエンド回想も含まれるのでエロシーンのみだと60弱かな。 でも使用CG枚数はかなり多めだし、キス・フェラ・挿入時にはカットインCGが表示されるものもあり、しかもその差分も多くてかなり良い感じでした。 特にキスやフェラのカットインでは唾液で艶のある舌が上手く描かれていてなかなかのエロさ。 もちろん挿入時のカットインでは破瓜の出血描写や中出し後の精液が垂れ流れる描写もしっかり描かれています。
 シチュエーションもよさげなものが多くてグッド。 場所的な豊富さもありますが、学園編でのエロは思い入れの強いヒロインとの初々しい描写がしっかり描かれていて凡百の恋愛ゲームなんぞよりよっぽど萌えますし、景子編でも状況的な演出(玄関内で母親とHしてるところで娘が帰宅…とか)がなかなかツボを押さえるなぁと感じられました。
 声優さんの演技はもちろん申し分なく、エロテキストよりむしろ声優さんの喘ぎ声やフェラの唾液音のほうで実用性が高く感じられます。 尺のほうは個人的に丁度良い感じでした。
 またタイトルがガジェットというだけあって小道具を駆使したエロシーンが多いのも特徴ですね。 道具類は全て景子姉さんお手製で、別にエロシーンだけで活躍する訳でもないのですけどペニスとマ○コが連動してるフェラ特訓装置とか思わず欲しくなるものが多い(笑)。


 まぁ「黒い純愛ADV」と言いつつ、一番印象的だったのは幼少編から培ったいくヒロイン達との恋愛描写だったと言うのは意外ではありましたが、その後に続くエロエロに染まっていく描写も含めて高い水準で描かれていたので満足度はかなり高め。 鬼畜系描写は少々薄めとは思いますが、鬼畜薄=エロ薄ではなかったので個人的には無問題でした。



以下キャラ毎の雑感(ネタバレあり)。


早坂 風美香
 幼少時代に主人公宅の向かいに引っ越してきた幼なじみ。 父親が日本人、母親が北欧系で「ガイジン」と「お人形さん」がNGワード。 出合った頃は金髪ロングだったが、主人公の体質を知った事を機にショートにチェンジ。 このイベントや祖母との確執などが後の風美香シナリオへの伏線にもなっていて良い感じですな。 欲を言えば卓也との三角関係をもう少し描いて欲しかったかも。

早坂 シセル
 風美香の母親。温和な癒し系だが自己主張せず流されるのが欠点。 旦那が結構なさけない奴なので旦那から寝取る流れで罪悪感をあまり感じないのは良い事なのか物足りない事なのか(苦笑)。 あと風美香との母娘丼はかなりツボに嵌りました。二人同時HRもあり。

野中 真帆
 親友である卓也の妹。料理の腕は殺人級。 幼少時代から主人公に懐いていて学園編でのラブラブっぷりも良い感じ。 エロ方面ではロリ担当キャラ以上のものは無かったけど、某ルートではひっそりと主人公との子を産み育ててるエンドがあって、ちょっとしんみりしちゃいました。

野中 裕子
 卓也と真帆の母親。 景子姉があまり家事をしないので偶に食事の面倒を見てもらっている。 学園編では渡米した景子に代わって保護者的な立場に。故に学園編ではエロシーンが無いのが残念ではありますな。 真帆との母娘丼はもちろんありますが…早坂母娘ほどのインパクトは無かったかな。

奥村 薫
 学園編で出会う美少女…と言っても幼少編でも登場はしていますけど。 腹黒いというかしたたかな性格で卓也を手玉に取る手腕とかなかなか良い感じです。 微乳キャラで個人的には単体エロだと使えるシーンが一番多かった。 先にも書きましたがフェラシーンとかがかなり良さげ。 景子姉さんと対等な取引のできる唯一のキャラで、エンディングでは景子姉さんの設定も含めて後味が良かったのが印象的でした。 やってる事は悪どいけど(笑)。

黒沢 景子
 主人公の従姉。 幼少編での景子姉さんは気さくなお姉ちゃんって感じで可愛ですね。 まぁだからこそ景子編での変貌っぷりが凄まじく感じるのですが(笑)。 天才的な頭脳で色々と怪しい道具を発明していますが、これらの道具のシナリオ上での使われ方が結構凝っていて好印象。 唯のお笑いアイテムかと思いきや、後々の展開で重要になったりします。 また、設定的にもかなり意表を付かれました。 道理で主人公とのエロシーンが少ない訳だ…。 景子には特に惹かれるものはありませんでしたが…その設定は割とインパクトがあり、それが個人的には高評価ポイントだったりします。


お気に入り順は
 薫 > 風美香 > シセル > 真帆 > 景子 > 裕子


私的満足度: ★★★★★ ★★★☆☆

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