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つよきす
発売日:2005.08.26 / きゃんでぃそふと
 CGを100%にしてコンプしました。所用時間は1stプレイで8時間以上かかったと思います。 セーブ画面に総プレイ時間が表示されるのですが、コンプ直後の経過時間は31時間35分…結構時間かかってますな。

 気の合う幼馴染み達と気楽な学園生活を送っていた主人公「対馬レオ」。 ところがある日、学園の風紀委員である従姉弟の「鉄 乙女」と再会し主人公と同居することになった。 それがきっかけで主人公達「対馬ファミリー」は生徒会に入ることになり、平凡だった日々が騒がしい日々へとかわっていくのだった…というあらすじ。


 「強気っ娘攻略ADV」ということで我の強いヒロイン達が揃いまくっている恋愛ADV。 プロローグ終了直後の場所移動(ヒロイン選択)とADV部での選択肢によって進行する形式。 ヒロインルートへの分岐は数回の場所移動で確定されるので難易度は低めですが、一部のヒロインは特定のエンドを見た後でないと攻略できないようになっています。

 ゲームの雰囲気はドタバタコメディ調でキャラ同士のハイテンションなやり取りが多く、かなり楽しめました。 ギャグのネタはゲームやアニメや2ちゃんねるが元ネタになっているものが多いですね。 この手のギャグは元ネタを知らないプレイヤーを置き去りにする事が少なくありませんが、このゲームの場合はノリやテンポ自体がかなり良いため元ネタを知らなくてもノリとして普通に楽しめる展開なのが素晴らしい。 もちろん元ネタを知ってる方がより楽しめる事は間違いありませんけど。

 ノリの良さを演出する要素として視覚的なエフェクト処理も見逃せません。 画面全体が揺らいだり、立ち絵ががガクガクブルブルと震える様はなかなか良さげ。 個人的には乙女さんのおにぎりが画面下からポーンと出てくるエフェクトが妙に気に入ってしまいました。 やってることは大した事ないんですけどゲーム自体のノリと合わせると効果的なんだなぁと感じた次第。

 ヒロイン達が「全員ツンデレ」という売り文句には実際にプレイすると疑問符が付きますが、あまりこのあたりを意識しないでプレイする分には全ヒロインともキャラ立てが良く萌え度も高め。
 シナリオ的にも前半からヒロイン毎に展開の幅が広く、例えばほとんどのルートで描かれる体育祭イベントなどでもヒロイン毎に全く異なる展開になるなど、繰り返しプレイしても退屈感を感じさせないのは高評価ポイントですね。
 そして後半に入って恋人となってからの反転っぷりもなかなか強烈。 どのヒロインにもお約束のように山場があって主人公との関係が拗れるのですけど、シナリオ展開としては割と王道パターンなので個人的には安心して見ていられたし、ヒロイン達のいじらしさも堪能できたかなと思っています。 まぁ難を言えば王道パターン故にシナリオ展開で受ける衝撃はほとんど無かったということでしょうかね。

 主人公は「テンションに身を任せない」とかクールぶっているものの、元々が熱いタイプでヒロインとの関係進展にも割と積極的に動いてくれて個人的な印象は良好。 カニのシナリオなど一部でヘタレる…というか理解不能な言動をしますが基本的には良い意味で10代らしいガキっぽさと熱さを持っているんじゃないかなと感じられて不快感はありませんでした。
 ヒロイン以外でも脇を固めるキャラ達も個性的で非常に良くキャラが立っていたと思います。 特に幼馴染みのスバルやフカヒレは色々と美味しいキャラでした。 また、キャラ立てに貢献した一因としては声優さんの演技力も大きいかと。 男女共に演技力や人気が高い声優さんを起用していて、中でも男キャラ達の顔ぶれがなかなか凄いことになってました。

 エロシーンは1ヒロインあたり2〜5回。祈先生以外は全員処女で、Hに不慣れな二人が段々とステップアップしていく様はなかなか良かったと思います。
 エロシーンへの入り方に割と萌えるやり取りがあって、Hの最中もそのキャラならではの会話のやり取りなどでかなり楽しめました。 萌え方面ではエリカ、笑い方面ではカニが特に印象に残ってます。 後者などはエロシーンだというのに笑い死ぬかと思うくらい笑い転げてしまいました。
 内容自体は特筆するようなことは無いのですが、元々のキャラ立てが素晴らしいので、その相乗効果で実用は可能。 声優さんも安定していて良い感じでした。

 システムまわりは快適。 文字色は既読と未読で色分けされていますし動作も軽めで言う事なし。 CGは若干枚数的に不満がありますね。 塗りの方は申し分ありませんでしたけど。 BGMも悪くないですし、OPやEDの曲も非常に気に入りました。特にED曲は良いですね。

 まとめとしては「全体的に非常に高いクオリティで構成された良作」と言ったところ。 ゲームの趣旨を踏まえた場合はツンデレの是非に若干の疑問がありますが、それ以外は客観的に見ておよそ欠点らしい欠点が見当たりませんでした。 個人的には思った以上にプレイ時間が掛かったのが予想外でしたが、最初から最後まで楽しめた身としては無問題ですし…。 とにかくラブコメ物のゲームとしては非常に満足できたタイトルでした。


以下、キャラごとの雑感。


鉄 乙女
 主人公の従姉弟であり学園の風紀委員。機械類と料理が苦手。 主人公がピンチの時とか「乙女さーん!」と呼んだら颯爽と現れるのが『姉しよ』の海姉ちゃんっぽいな…と思った(笑)。 ツンデレと言うより姉キャラという印象。

蟹沢 きぬ
 主人公の幼馴染み。フカヒレと並ぶこのゲームの重要なギャグ要員ですな。 とにかくこのキャラは金田まひるさんの演技が素晴らしかった。 主人公が他のヒロインと付き合った時のヤキモチっぷりが微笑ましくて割とお気に入りなキャラではありますが、カニルートでは主人公の言動に疑問符が付いたし、正直スバルの方に感情移入してしまいました。 このキャラもちょっとツンデレとは違うよなぁ。

霧夜 エリカ
 世界征服が目標なお嬢様。序盤の主人公の必死ぶりが男らしいような滑稽なような…。 終盤での主人公が気になって他の事に手が付かなくなる展開はなかなか萌えました。 あとバッドルートでのよっぴーがかなり強烈な印象として残ってます。

椰子 なごみ
 後輩でたまに眼鏡っ娘になる。 自分で引いた線の内側と外側で態度が180°違いという…ツンデレと言えば一番“らしい”キャラですね。 序盤で「潰すぞ」とか言ってた娘が頭撫でられて「えへへ」とかはにかむ仕草はかなり強烈。

大江山 祈
 主人公達の担任の英語教師。兼生徒会執行部顧問。 したたかな性格ですがキャラ的には嫌いじゃないです。 ただ祈先生自身よりペットの土永さんのインパクトが強烈で、そっちの方が印象に残ってたりします。

佐藤 良美
 生徒会書記でエリカの親友。 最初のパンチラシーンで何となく裏がありそうな予感はしたし、その後の他ヒロインルートでの言動から予感は確信に変わったのですが、エリカのバッドルートで垣間見たよっぴーは私の予想を超えるものでした(笑)。 あの目を最初に見たとき、ちょっとひぐらしの某キャラを思い出してしまった…。 でも個人的にはキャラもシナリオ展開も一番お気に入りだったりします。 まぁこれは全体的に明るいラブコメ雰囲気の中ではちょっと異色な展開なのでその効果もあるんでしょうけどね。 逆に裏がありまくりなヒロイン達ばかりだったら明るい真っ直ぐなキャラに萌えるだろうし…って単に私が天邪鬼なだけなんでしょうかね(苦笑)。


私的満足度: ★★★★★ ★★★☆☆

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