Nursery Rhyme −ナーサリィ☆ライム− |
発売日:2005.11.25 / Lump of Sugar |
全CGと回想を埋めてコンプ。
所要時間は1stプレイで約7時間。コンプまでは大体18時間前後…と言ったところだと思います。
この春から将星学園へ入学する主人公「支倉 静真」。
ところが突然の両親の海外転勤で主人公は母親の友人宅である巴家に下宿をすることになった。
だがそこは巴家の双子の姉妹をはじめ、家人達は女の子ばかり。
主人公は初の男性下宿人として彼女達と上手く過ごしていくことができるだろうか…というあらすじ。
ゲームはオーソドックスな選択肢タイプのADV。
構成的には共通ルートとヒロイン個別ルートとに別れていて、共通ルートで最も好感度の高いヒロインのルートへと分岐するようです。
ヒロインは計5人でエンディングはBADも含めて6つ…かな。
選択肢は数が多い上にどのヒロインに関連するのかが解り難いので難易度はやや高めかも知れません。
魔法が当たり前に存在し、学園にも魔法科があるという…どこか既視感を覚える設定ですが、特に魔法バトルもラスボスも無く、割と普通の恋愛物。
特徴としてはヒューマンの他にライカン(いわゆるケモノ系)とエルファン(いわゆるエルフ)と呼ばれる種族が存在することでしょうかね。
別に異種族交配が禁じられてる訳でもなく、どの種族と交わっても先の3種族のどれかになるようで、いわゆるハーフエルフのような種族は存在しない世界のようです。
もっとも、このあたりの世界観はあまり練られてるとは言い難いなと感じましたけど(苦笑)。
共通パートは4月から7月末までの3ヶ月ほど。
出会いから互いに打ち解けていって親しくなっていく…という過程を描くには丁度良い期間じゃないかなと思います。
大体1週間単位で進行する構成なので冗長さもほとんど感じませんしね。
ただ、イベント間の整合性が今ひとつ取れていないのが気になりました。
見てないイベントをさも体験してきたように書かれていたり、既にイベントによって既知な事柄なのに初めて明かすようなテキスト描写があったりすると少々萎えます。
まぁこのあたりを気にしなければ雰囲気の良いほのぼのとしたコミュニケーションが描かれていくので居心地は良好かと。
主人公は鈍感で気が弱くて周囲に流され易いというエロゲ主人公らしさがある反面、成績優秀・真面目で誠実というエロゲ主人公らしからぬ人柄を有してるのも居心地の良さに大きく貢献していたと思います。
最初はボサボサ頭のみすぼらしいナリをしているの状態で主人公の人柄の良さを把握させ、頃合を見て元が良いご尊顔を曝け出す…という高等テクニック(?)の前にヒロイン達もメロメロ(笑)。
つか、やっぱり最後の決め手は顔なのか…。
個別ルートに入るとお互い(もしくは片方)が意識し合ってギクシャクしてる最中にヒロインの設定に沿った山場を向かえることになり、主人公と協力し合って山場を乗り越えて想いが通じ合う…というのが大体共通した流れかな。
ヒロイン毎に異なる山場の描き方は良い感じですし、展開の盛り上げ方とか、シナリオを通して描いてるテーマも解り易くて個人的には好印象のものが多かったです。
ただ、お互いが意識するに至る経緯がほとんど描かれていないのはマイナスかと。
共通ルートでは確かに皆と打ち解けてますが、私的には「いい人」レベルで留まってる感じに思えたので、そこから恋愛感情にシフトする描写が無いまま個別ルートに入った事に少々違和感を感じてしまったのでした。
実際、個別ルートに入る直前の選択肢を一つ変えただけで他ヒロインルートへ移行する場合もあり、主人公と他ヒロインとの仲を取り持ったりしますし(苦笑)。
ヒロイン達は型通りながらもキャラ立ては悪くないです。
ぬいぐるみのアズの毒舌もなかなか楽しかったしサブキャラ達にもそれなりに使われていて“存在するだけのキャラ”というのが無かったのは好印象。
まぁアズに関してはフォローが欲しいところで思いっきりスルーされてるのが物足りなさを感じましたけどね(笑)。
エロシーンはヒロイン1人あたり2回発生。
フラグが不足してる場合は1回しか発生しないこともあるようです(私は確認してませんが)。
ちなみにお約束通り全員処女でした。
初体験が公園で青姦だったり教室の中だったりと少々ぶっ飛んでいますが、ほぼ全てのシーンが着衣Hなのは個人的にマル。
二回目のエロシーンには全員共通してフェラ描写があり、声優さんの演技もテキスト的にも悪くは無いのですが全体的に尺は短めに感じます。
ま、頑張れば何とか使えるんじゃない?というレベルでしょうか。
あと、初体験と二回目の間にも何度かHしてるという記述があるものの、ばっさりと省かれているのは「嫌がらせかよ」と感じます(苦笑)。
せっかく夏・冬の制服、私服、浴衣、水着、etc…と服装のバリエーションが多いのに勿体無い…。
システムまわりは機能的な不満は特に無く、前の選択肢まで戻る機能などは割りと重宝しましたけど、週始めに入るアイキャッチがかなり鬱陶しかったです。
最新パッチでスキップ可能とのことですが…違うキャラのアイキャッチだとスキップできない罠…。
例えば7月1週目でクルルのアイキャッチを見た場合、同じ7月1週目で今度は有希奈が出た場合はスキップされないと言う…ほとんど意味ない修正に思えます(苦笑)。
CGは枚数的には及第点だと思いますけど、凄く勿体無い使い方をしてる気がします。
中にはテキスト2〜3行の間の一瞬だけ表示されるCGもあり、プレイ時間に対して表示されるCGが少なく感じるんですよね…。
演出的にももう少し凝っても良かったんじゃないかと思いました。
例えばクルル&アズのやり取りで見たようなミニCGをもっと使って欲しかった。
サウンド関連は特に不満なし。個人的にOP主題歌の「true my heart」は結構気に入りました。
全体的に見てやりたい事や狙ってる事は解るけど色々と作りの荒さが惜しまれる佳作…と言った感じでしょうか。
例えれば「見た目は美味そうなのにちょっと生焼けぎみなハンバーグ」という感じ?
まぁキャラ絵が気に入ってほのぼのした恋愛ゲーを求める分には十分満足いく作品だとは思います。
以下、キャラごとの雑感も少し(ネタバレあり)。
巴 真紀奈
双子妹。(ラクロスみたいな)ソフィロスというこの世界特有のスポーツの特待生。
傍から見てお互い好きあってるのはバレバレなのに奥手同士故のもどかしい言動が暫く続き、そんな二人を周囲のキャラ達が何とかしようと画策する流れ。
サブキャラ達が仕掛けた罠を天然でスルーしまくる展開は割と笑えましたが、やっぱりお互いに意識するきっかけがほとんど描かれていなかったのが不満。
怪我が治ったら急にお互いギクシャクし始めたので何かイベント飛ばしたのかと思いましたよ。
まぁ元気系のキャラが色恋沙汰で可愛い反応をする様子は素直に萌えましたですよ。
巴 有希奈
双子姉。
妹とは正反対で成績優秀で料理が得意でガーデニングが趣味という如何にもなヒロイン。
ヒロインキャラとしては結構したたかなのが印象的でした。
有希奈自身は主人公とは別に想い人が居るのに、主人公に対しては「私以外の女の子を見ちゃ駄目」という言動を取ったり、主人公の気持ちを利用して失恋の傷を癒したり…と、あまり二次元キャラでは見かけないしたたかさがちょっと新鮮。
主人公が告った時に「私もずっと好きだった」とか返したときは「オマエずっと別の男好きだったんだろうが!」と誰もが突っ込んだんじゃないでしょうか(笑)。
ティータ・F・ブラント
隣の屋敷に住む良家の令嬢。
主人公と部屋が向かい合わせで偶然着替えを覗き見るというナイスな出会いを果たす。
一応ツンデレ系のキャラだとは思いますけど、個人的にはティータの周囲を巻き込む我侭っぷりがちょっと萎えたかな。
良家の令嬢ならもうちょと落ち着けよというか、見舞いイベントをはじめ良くも悪くも感情的になりすぎ。
そこが良いという人もいそうですけど、個人的にこのキャラは他ヒロインルートでサポート役に徹してる方が良い感じだったと思います。
敷島・クルル
ライカンの少女。主人公より年下だが飛び級をしていて学年は上。
アズの毒舌とそれを突っ込むクルルのやり取りはなかなか良い感じ。
個別ルートでのあの展開や、クルルを諭す主人公など、個人的にこのシナリオは他と比べて頭一つ出るくらい気に入った流れでした。
ただラストで両親を説得するシーンは…親父さん、アンタあっさりし過ぎだよ。
すげー頑固オヤジかと思ってたからいきなり折れた時は素で椅子からコケた。
あと心残りなのは“あの状態”でのエロシーンが無かった事。
まぁ流れ的にはあったら不自然なんですが、そこは複雑なヲタク心と申しましょうか…FDでも良いから補完希望。
凛・リム=ウェムス
男嫌いなエルファンの女子大生。
年上キャラ…というのは良いのですが、ドジっ娘&メガネっ娘と個人的に属性外しまくりなのが辛かった。
しかもドジでもポジテブ思考ならまだ救いはあったのに、やたらと落ち込みまくって周囲に迷惑かけまくりな展開がどうもねぇ…。
まぁシナリオ展開的に必要なのはわかるけど、キャラ的な魅力は私的には皆無でした。
あともうちょっと教師に対する思い入れ等を描いて欲しかったかな。
キャラのお気に入り順としては
クルル > 真紀奈 >>> ティータ > (次元断層) > 有希奈 > 凛
私的満足度: ★★★★★ ★☆☆☆☆
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