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ボーイミーツガール
発売日:2006.02.24 / FrontWing
 全CGと回想を埋めてコンプ。 所要時間は1stプレイ5時間強、コンプまでは14〜15時間くらいだったと思います。

 両親の仕事の都合で親戚の家に預けられる事となり十数年ぶりに時森町へ戻ってきた主人公「井上雄太」。 叔父夫婦は長期不在中だったが従姉の雲谷千鶴や幼なじみの春日野陽菜との再会、そして町の名所である思い出の塔で記憶喪失の少女・翼美羽との出会いを経て共に学園生活を送っていくことになるのだった…というあらすじ。


 ゲーム構成的には場所移動と選択肢で分岐するオーソドックスな恋愛ADV。 ヒロインは5人で、メインヒロイン級の美羽と陽菜の二人が途中まで共通ルートとなっていました。 選択肢などは解り易いものになっているので難易度は低め。
 余談ですが、『私立アキハバラ学園』にも登場したジャネット先生とネコミミ(今回はネコ田という名前)が再登場してます。 まぁアキ学とは同名の別人ですが、東南風の訛りが入ったまきいづみさんの演技が好きだったので個人的には嬉しかった。 ネコ田の方は相変わらずキャラ自体は濃いのですけど前回のような「リアルの女とは一生縁切った!」と断言しちゃうような清々しい漢らしさを感じられなかったのが少々物足りないかな(苦笑)。


 物語展開は幼少の頃に主人公の魔法で助けられた(と信じてる)陽菜が「まじかる部」を設立し、その活動を通しての学園生活がメインで描かれていくラブコメ物。 明るいドタバタ系でテンポも悪くは無いのですけど…ギャグは少々“くどい”印象を受けます。 最初はハイテンションなギャグの応酬に笑えるものもあるのですが、似たようなやり取りを何度も繰り返すので仕舞いには滑ってくるのが何とも勿体無い。

 それとヒロイン達のキャラ立てが少々薄っぺらく感じます。 もちろん設定としての性格は良く出ているとは思いますが、ヒロインの言動に対して納得の行く描写が不足しているように思えるのですよ。 これはプレイヤーに提示する情報を制限することによって鈍感な主人公と感覚を同化させる事が狙いと解釈する事も可能ですが、私的にはキャラの言動をシナリオ展開に強引に合わせてしまった為に深みの無いヒロイン達になってしまったんじゃないかな…という印象を受けました。 これが抜き目的だけのゲームならここまでウザい事は言いませんけど、この手のゲームとしては明らかにマイナス要因かと。

 中盤の個別ルート突入前後からはちょっとシリアスなヒロイン毎の山場を乗り越えていくという定番パターンへ移行します。 町のシンボルになってる塔とか魔法とかが絡んでくるファンタジー要素ありの展開ですが、キャラ描写同様に強引さを感じられて正直白けぎみ。 特にメインヒロインの美羽なんかは話のスケールがやたらと大きいくせに展開が唐突かつ淡々としていてどうにも盛り上がりに欠けました。

 あとは主人公の人格に統一感が無いのも不満。 ライターが複数人という事で ある程度は仕方ないとは思いますが、せめて主人公自身の一人称は統一しておいて欲しかった。 普段は「俺」なのに某ルートでいきなり「僕」とか言い出したときは多重人格者なのか?と思た。
 ただ…不自然な鈍感っぷりはありましたが嫌悪感を抱く程のヘタレっぷりは無かったのでプレイ感は悪くなかったのが救いでした。


 エロシーンは一人あたり2〜3回発生。 半脱ぎHが多くて制服と私服のパターンは全員にありました。 あと背面座位のような体制で背後からヒロインの胸を揉みまくるシーンが多いので、そういうシチュが好きな人は満足できるかと。 まぁ全体的にちと淡々としてる印象は受けましたが実用性はそれなりにあると思います。


 システムまわりは必要な機能は一通りあったと思うし既読と未読のテキストを色違いで表示してくれたりもするのですが、全体的に動作が遅めでメッセージスキップなんかはちょっとストレスを感じてしまいました。
 CGは枚数的に多くはありませんけど、キャラの可愛さは良く出ていて個人的には満足。 立ち絵の表情パターンもそれなりにあるし、衣装も私服パターンが複数あるし水着もエロ可愛さがあって良い感じです。


 一応まとめとしてはCGやキャラデザインと言った見た目は良い感じだが、シナリオやキャラ立てが薄めの“絵だけゲー”な印象を受けたゲームでした。 アキ学のような濃いインパクトも無いので、こうして感想を書かなかったら数ヵ月後にはキレイサッパリ忘れてしまいそうな感じがします。 逆にあまり設定や展開に突っ込みを入れず、気楽に可愛いキャラとのラブコメ展開を楽しむ分には丁度良いタイトルではないかと思われます。


以下、キャラ毎の雑感(ネタバレあり)。


翼 美羽
 思い出の塔から落ちてきた記憶喪失の少女。 主人公の幼なじみだが登場時点で正体不明な彼女が主人公と同居する展開に誰も突っ込んだ言及をしないのが凄い。 明るく元気系なのは良いが、口癖(「むんっ!」とか「にっひっひ」)が少々鬱陶しい。
 個別ルートでは彼女の正体はもちろん、塔の秘密も明かされるので最初にプレイしておかないと他ルートでの塔絡みのイベントが意味不明になりそうですね。 肝心のシナリオ展開はかなり強引で興醒め。 津波とか闇とかのあたりはもう勝手にやってくれ…と思った。

春日野 陽菜
 主人公の幼なじみ。 事故にあった陽菜を主人公が魔法で治した事で魔法の存在を信じ、まじかる部を設立する。 内気な性格の割に派手な魔法少女コスをして部活動を行ってるのがいかにもプレイヤー受けを狙った感じがします(笑)。 でも一度Hした後はエロ娘化するので、あの衣装も一種の性癖の表れなのかもしれませんな。
 個別ルートは途中まで美羽と共通。内気系の性格な上に嫉妬心が強く、美羽と主人公との関係にヤキモチ焼いて剥れてるうちはまだ可愛げがあるが、自信の無さからくるネガティブ感情を溜めまくってくると流石に鬱陶しいです。 でも主人公との大切な思い出だと思っていた記憶が実は美羽のものだった…というオチはちと気の毒かも。 声も聞き取り難く、色々と不憫なキャラだったと思います。

真行寺 真央
 まじかる部の後輩。 陽菜を敬愛していて思い出の幼なじみである主人公に何かと突っかかってくる。 ハイテンション系のキャラでエロ妄想とかがなかなか良い味を出していました。 まぁ何度もやられると流石に飽きるけどキャラとしての立ち位置や、見た目的な可愛さもあって個人的に一番のお気に入りキャラです。
 個別ルートは主人公を陽菜に相応しい男に仕立てようと四六時中くっ付いていたら互いに気になる存在になってしまった…という流れ。 終盤の塔絡みの展開は正直取って付け感が強いですが、陽菜に対して気持ちを暴露する場面があったのは良かったんじゃないかと。

雲谷 千鶴
 主人公の従姉。 両親がブラジルへコーヒー豆の買い付けに出ている為、学生の身でありながら一人で喫茶店を切り盛りしている。 値段設定は超ぼったくり(笑)。 成績は優秀で、掴みどころの無い性格を装いつつも面倒見は良い。 美羽と共に主人公を毎朝起こすシーンは個人的に数少ない笑いポイント。 まぁ1stプレイ時限定ですけどね。
 個別ルートは喫茶店を手伝ってるうちに千鶴が味覚障害持ちであることが判明して…という流れ。 最終的には問題解決ですが…凄く都合の良い展開なのが何とも苦笑ものでした。

相馬 七海
 千鶴の家のお隣さん。 千鶴を姉のように慕っている関係で初対面の主人公に対しても無警戒。 それどころか問答無用で「お兄ちゃん」呼ばわり決定という…いかにもなエロゲ的展開に苦笑してしまった。
 個別ルートでは何度かの家庭教師を経て、七海が主人公を異性として意識するようになり、髪を降ろしてイメチェンする流れ。 また過去に塔での事故で記憶力が低下しているという設定が発覚し、終盤ではこの設定が悪化する展開になるのですが…エンドでも問題解決とならなかったのは少々意外でした。 他ヒロインは都合の良いハッピーエンドばかりなのに謎です。


お気に入り順は
 真央 > 千鶴 > 七海 > 美羽 > 陽菜


私的満足度: ★★★★★ ★☆☆☆☆

Copyright(c) 2007 SHEO