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神曲奏界ポリフォニカ 1&2話BOXエディション
発売日:2006.04.28 / ocelot
 2005年8月にDL販売された第一話に第二話とサントラが追加されたパッケージ版。 キネティックノベルということで選択肢などは出てきません。 1話あたり大体3時間半くらい掛かったので全部読み終えるまではプロローグ(第0話)含めて8時間前後と言ったところでしょうか。


 世界観的には文明レベルは現代と大差ない(バスとか戦車とか出てくる)が精霊の存在が人々の生活に深く関わってる世界。 精霊達は“神曲”と呼ばれる音楽を糧にしていて、その神曲を奏でて精霊の力を行使する者は“神曲楽士(ダンティスト)”として敬われている。 そんな神曲楽士を目指す若者が集う学園を舞台にした物語。

 主人公は温厚な性格で人当たりも良い好青年だが要領の悪い所謂おちこぼれ生徒。 だが潜在能力はかなり高い上に、後輩の双子姉妹との出会いや幼き頃に契約を交わした精霊「コーティカルテ」との再会を経て少しずつ成長していく様子が良く描かれていてヘタレ感は薄め。
 主人公以外の主要キャラクター達もかなり魅力的に描かれてたと思います。 コーティカルテなんかは主人公に対して普段は傍若無人な振る舞いをしてますが、時折見せるテレや動揺っぷりがなかなかに可愛いし、あからさまに主人公に好意を寄せる双子姉妹(特にペルセルテ)との主人公争奪戦も微笑ましい。
 双子姉妹に関しても主人公と出会ったときの心理描写や双子に纏わる過去のエピソードなどが詳しく語られるので、もう一方の主人公視点という感じで思い入れ度が高かったです。

 この話は二話完結という訳では無くまだまだ続くものですが、一話・二話共に終盤の盛り上げ方が凄く良かった。 一話はおちこぼれ主人公が神曲楽士として一つ壁を越える話なので大部分を主人公が苦悩する展開に割かれていて段々とストレスが溜まっていきましたが、終盤の見せ場はそんなストレスを一気に吹き飛ばしてくれる盛り上がりを見せてくれてスッキリ爽快(笑)。
 二話になると大きく物語が動き出し、過去に起きた<嘆きの異邦人>と呼ばれる者達のテロ事件やそれに関わる双子のエピソード、そして過去のテロ組織と繋がりのありそうな者のバトル描写など終始目を話せない展開が目白押しでしたが、その中にあっても終盤の見せ場の盛り上がり様は群を抜いていたと思います。 個人的には双子の姉ペルセルテとの急展開&同衾イベントも萌えイベントとして印象深かった。 エロゲじゃないのが口惜しいと感じる程に(笑)。 バトルは主に精霊同士で行うもので、ぶっちゃけサーヴァ(ry

 そしてイベントの盛り上がりに大きく貢献していたのが音楽的な演出。 精霊を行使する際には“神曲”を奏でるという設定もあって一話・二話共に一番の見せ場には神曲が使われるのですけど、その挿入タイミングが見事で鳥肌ものでした。 神曲には決まった旋律というのは無くて神曲楽士それぞれで異なる上、戦闘用などの用途によっても使い分ける必要があるのですが、どの曲もそのキャラやシーンに合っていて大満足。 今回のパッケージ版にはサントラが付いていて、これがかなり嬉しかった。

 ちょっと気になったのがテキスト。 いや文章は変に難しい単語も無く読み易いのですが、状況説明などがくどい印象を受けました。 ライターがライトノベル作家さんという事もあるのでしょうけど、一つの状況に対して理由や設定情報を一から十まで文章で説明してくれるのですよ。 日頃から紙媒体のノベルを読んでる人には問題ないと思いますが、会話メインのゲームに慣れきってると違和感を感じるかも。 ちなみにライターさんは「すてプリ」などを書いた榊一郎氏。


 システムまわりはビジュアルアーツのアレ。 一話を読了時にCGモードとBGMモードが開放。 二話を読了で二話のCG閲覧とレビュー投稿が可能になります。
 CG枚数は値段を考慮すればまずまず。 個人的にはキャラデザインが割と気に入ったし、学園制服のデザインも黒スト好きな私としてはグッドです(笑)。 エロ描写はありませんが、ペルセルテの着替えや逆光パジャマなどのお色気CGが数枚ありました。


 展開がややスロースタートなので盛り上がってくるまでに間がありましたが、一度のめり込めば先の展開が気になって止められなくなり最終的な満足度は高め。 一話・二話で張られた伏線も気になって仕方ないので早いとこ続編を出して欲しいところです。


私的満足度: ★★★★★ ★★+☆☆☆

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