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The Lost One −Last chapter of EVE−
発売日:1998.10.09 / C’s ware

◇ あらすじ

 内閣調査室の新人調査員「桐野杏子」は数ヶ月の研修期間を終え、初出勤を明日に控えていた。 杏子は最後の休暇をショッピングで過ごす為にブティックへ立ち寄ったが、そこで謎の爆破事件に巻き込まれてしまう。 怪我をおして調査室本部へ出勤した杏子の初仕事は謎の他殺死体で発見された研究員の死因を解明する為に望月生物学研究所で行われている研究を調査するというものだった。 やがて事件の全貌が見えてくるにつれ、杏子は更なる巨大な陰謀に巻き込まれていくことになる…。
 同じ頃、謎の爆破魔「SNAKE」はネットで得た知識を基に作成した爆弾の威力を試す為に、とあるショッピングセンターに赴く。 少し脅かす程度の軽い気持ちで仕掛けた爆弾だったが、爆破の威力は想像以上に凄まじく、ショッピングセンターの一角を丸ごと吹き飛ばしてしまう。 しかもその爆破現場を「ADONIS」という謎の人物に目撃され、彼は更なる犯罪に手を染めていく事になるのだった。


◇ ゲーム概要

 同社からリリースされてる『EVE burst error』の続編にあたる作品。 とはいえシナリオ担当者は別の人なのですけど。 前作のように複数のキャラの視点で物語を追う「マルチサイトシステム」を今回も採用していますが、主人公の1人であるSNAKEは初期段階で名前、年齢、職業、性別などが一切の謎になっています。
 前作で出てきたキャラも何人か登場しますので『burst error』を先にやった方が物語に入り易いのは確かです。 ちなみにこのゲームはR指定(15禁)となっています。


◇ システム

 インストールの最小容量は10MB程ですが、ムービーなどもインストールしようとすると2GBほどの空き容量が必要なようです。 でかすぎるっての。 標準のインストールだと偶に動作が重くなる(キーの反応が鈍くなる)ことがしばしばありましたが、とりあえずは我慢できる範囲。

 画面解像度などの変更は出来ません。 セーブは10ヶ所まで登録可能で杏子編とSNAKE編で共有して保存します。 ゲーム中はテキスト表示欄の上部にある「MENU」スイッチがクリック可能な状態の時にいつでもセーブ/ロードが可能になっています。

 おまけは一度エンディングを迎えた後で、CGモード、音楽モード、ムービーモードが出てきました。 が、これらはDisk-4からでしか入る事が出来ません。 しかもムービーは更にそこから該当するDiskに交換してやる必要があります。 つまりDisk-1に入ってるムービーを見る為には一度Disk-4でおまけモードへ入り、その後指示に従ってDisk-1を再度読み込む…という非常に面倒臭い仕様。 まぁおまけモードを快適にみたければ2GBをフルインストールしろって事ですね。


◇ グラフィック

 原画は「野口征恒」さん。 CG枚数は特に少ないと感じる事はなかったですがムービーの数は結構あった印象があります。 「ルシッドモーション2」なるアニメーションシステムで見るムービーはなかなかに奇麗でした。


◇ サウンド

 なんか偶に「ザー」という雑音になる時がありました(同じくSirectX使用の『Diablo』でも偶になるので音源ボードかドライバが問題なのだと思いますけど)。
 曲数は全40曲あり、そのうちの8曲ほどは前作『burst error』で使われてた曲でした。 「安らぎ」があったのは嬉しかった。 オリジナルの方は…う〜ん、一応雰囲気とかは出てると思いますが、これといって印象に残るような曲は無かったですね。

 CVは主人公以外フルボイスで入ってますが…下手ではないけどキャラに合ってない声が結構あったと個人的に思います。 ADONISなんかは凄くはまってて良かったんですけどね。


◇ 感想まとめ

 先行発売されたSS版をリメイクし、更にまりなシナリオを追加したと聞いたので購入しましたが…基本的なシナリオはSS版とまったく同じで、あまりリメイクという感じはないですね。 まりな編が追加された事とラスト付近の展開が若干異なる程度でしょうか。 もっと大幅なシナリオ変更があると思ってたので些か肩透かしを食らった感じです。 まぁラストの展開が変わってるあたり、やっぱりSS版のあの展開は非難轟々だったんだろうなぁ…。

 シナリオも、どうも前半は「どうぞ、この人物を怪しんで下さい」というのが見えみえで、本来なら意表をつかれる展開であろう場面でも「あぁ、やっぱりね」って感じで、どうもストーリに引き込まれていくような感じがしないんですよね。 まぁイルカの泣き声をFAX信号化して画像出力したり、主人公の一人である杏子が前作の主人公まりなに比べて余りにもマヌケだったりと違う意味では色々と意表を付かれましたけど。
 このWindows版ではその杏子編の途中から、まりなの視点に切り替わり、小次郎と共に活躍(?)しますが、なんか今までの事件のおさらいをしてるだけのような感じもしました。 でもこのまりな編によって「奴」の暴走までの過程がわかりやすくなっているとは思います。
 相変わらず訳わからんのはSNAKE。 何故○○が見えたり、人の○が覗けたりするんでしょう? 最後にプレイヤーが分離するのも意味不明でした。

 それと、CD4枚組ってちょっと多いような気がします。 正直、CDの入れ替えが面倒でした。 確かに随所に挿入されてるムービーとか奇麗だし、力を入れるのは良いのですが、そればっかりが売りになるのもどうかなぁ…と思うのですよ…と大容量HDDを所持していない私は思うのでした。

 とりあえずこの作品は『EVE』を冠してしまったのがそもそも誤りだったと思います。 比較対象が個人的には名作級だった為にどうしても酷評になってしまいますね。 剣乃氏が書いたらもっと違う展開なんだろうなぁ…なんてつい考えて素直にストーリーを楽しんでいないのは否定出来ないので、この私の評価はあまりアテにしないで下さいませ。


私的満足度: ★★★★☆ ☆☆☆☆☆

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