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Kanon
発売日:1999.06.04 / Key

◇ あらすじ

 季節は新年も明けたばかりの冬。 主人公「相沢祐一」は両親の仕事の都合で住み慣れた街を離れ親戚の家に居候する事になる。 最後にその街を訪れたのは7年前の同じ季節。 久しぶりに再会したいとこの少女、そして新しい生活の中で出会った少女達との物語の中で主人公は自ら閉ざしていたかつての記憶を呼び覚ましていくことになる。 そして雪が溶ける頃にはこの冬の物語もまた思い出に還る…。


◇ ゲーム概要

 選択肢で分岐するオーソドックスなADV。 攻略可能なヒロインは5人で、各シナリオに入るには選択肢で対象ヒロインのフラグを立てたり他ヒロインのフラグを立てないよう配慮していく事になりますが、難易度はかなり低い部類になると思います。


◇ システム

 ビジュアルアーツのアレ。 画面サイズは640×480の窓とフルスクリーンの二通り。 メッセージスキップはもちろん、表示速度やフォント、サウンド設定からウインドウ枠の設定まであり不満は無いと思います。
 セーブやロードはゲーム中にいつでも可能で、最大24ヶ所まで登録できるようになってました。


◇ グラフィック

 原画は「樋上いたる」さん。 キャラデザインの特徴に関しては今更書く事は無いですね。 CGの塗りは綺麗ですね。特に背景が非常に丁寧に描かれてます。 それと今回はキャラの立ち絵も大きめに描かれていて良いと思います。 ただCG枚数が少な目なのは相変わらずのようでちょっと残念でした。
 CGモードは1度誰かのハッピーエンドを迎えた後に入れるようになっていて全体の達成度も表示されます。


◇ サウンド

 CD-DA再生の全22曲で構成されてます。 個人的には後にサウンドモードで聴いて印象に残ってる曲と全く残ってない曲って感じで両極端な印象。 お気に入りは「the fox and the grapes」「木々の声と日々のざわめき」「風の辿り着く場所」でしょうか。
 OPの「Last regrets」とEDの「風の辿り着く場所」はボーカル曲で、エンディングの方は私的ベストボーカル曲集にノミネートされています。

 音楽モードはCGモードと同じで1度誰かのエンディングを見れば入れるようになります。 それと初回限定版にはオリジナルアレンジCDが付いていて非常に嬉しかった。 アレンジも非常に好みでしたし、ボーカル曲がフルコーラスで入っていて最高です。


◇ 感想まとめ

 名作『ONE』を手掛けたスタッフ達が立ち上げたブランドの処女作…という事で、かなり過剰な期待を抱いてしまっていましたけど、結論から書けばしっかりと期待に応えてくれたと思います。

 個性的なキャラ同士によるテンポの良い掛け合いは相変わらず心地良いですし、その楽しい日常シーンの中に散りばめた伏線を使っての終盤の展開も素晴らしく、なかなかに感動させられました。 難易度も低めで何度もプレーしようという気にさせてくれます。

 でもクリアする順番によってはエンディング後も謎が残るところまで相変わらずですね。 鍵となるキャラが月宮あゆなので、彼女のエンディングは最初…もしくは最後に見るようにするといいかも。 でも最初にクリアした場合はあゆ以外のキャラルートに入り難くなる可能性大。 最後にクリア場合でも再度他キャラのエンディングを見ると色々と伏線が分かって楽しめます。

 ヒロイン達は先にも書いたように個性派揃い。 『MOON.』や『ONE』のようにプレイヤーの印象に残る口癖や言動、そして“たいやき”とか“アイスクリーム”といったヒロインの好物を上手く関連付けてプレイヤーに印象付けてますな。

 不満な点を挙げるとするとエロシーンでしょうか。 なんか学生にしては妙にドライですし、正直言ってエロさはほとんど感じませんでした。 まぁこれはコンシューマ移植を意識してかエロシーン後の展開もエロが無くても違和感無いような作りにしている為かも知れませんけど。

 シナリオに関して突っ込んだ話は止めときますが同スタッフの過去作(『MOON.』『ONE』)が好きなら問題無し。 過去作未プレイでも楽しい日常描写と非日常的な設定によるシナリオ展開に興味があればプレイして損のないタイトルではないかと思います。


私的満足度: ★★★★★ ★★★☆☆

Copyright(c) 2007 SHEO