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智代アフター 〜It’s a Wonderful Life〜
発売日:2005.11.25 / Key
 『クラナド』ヒロインの一人「坂上智代」がメインのアナザーストーリー。 智代はもとより舞台となる町も『クナラド』と同じですが、公式では本作と『クラナド』は何の関係も無いらしいです(苦笑)。

 廃品業者に就職した主人公「朋也」は一人暮らしを始め、智代との蜜月の日々を送っていた。 そこに智代の弟である鷹文が父親の隠し子「とも」を連れてきて暫く保護することになる。 さらに鷹文の昔の彼女「河南子」までがやってきて共に過ごすことになるのだった…というあらすじ。


 ゲームは二部構成になっているオーソドックスな選択肢タイプのADV。 基本的にシナリオは1本道で、選択肢によってイベント内容が変化したりバッドエンドになったりします。
 第一部が終わるとそのままアフターシナリオへと突入する流れで難易度は低め。 プレイ時間は第一部が4〜5時間、アフターシナリオが2〜3時間と言ったところでした。

 シナリオ展開は一言で書くと「智代の成長物語」という感じでしょうか。 もちろん幼女の智代を育成していくとかじゃなくて(それもいいけどな)、主人公をはじめ、とも、鷹文、河南子らとの関わりを経て精神的に成長していく…という全体的な流れが印象的で、最終的にはかなり「メッセージ性の強い作品」になっていたと感じました。

 序盤は登場キャラ達の掛け合いがなかなか楽しく雰囲気は良好。 特に鷹文が良い味を出していて、智代とのHを鷹文が覗いていた時の反応とか、『クラナド』の「それと便座カバー」的なノリのやり取りが笑えます。
 そして中盤あたりから各キャラの設定に深く入り込んでいき、ともの母親、鷹文の過去などの話の中で家族の絆とか幸福観、そして永遠の愛といった『クナラド』にも通じるテーマが語られていく展開。 このあたりも皆でサポートし合いながら乗り越えていく流れが心地よく、盛り上がりには欠けるもののプレイ感は良好でした。

 ところがアフターシナリオはそれまでと雰囲気が一転。 主人公達の置かれてる状況を理解した時はかなり凹みました。 それまでの居心地の良い展開や、とも関連のイベントがアフターでの流れに関わってるから余計重いんですよね…。 だからこそ最後のメッセージにも説得力があったと思うし理解もできるのですが、ファン心理的には納得できねーっすよ。

 エロシーンは智代のみ存在します。 近年では普通の恋愛系エロゲでもそれなりの濃いエロが展開されたりしますが、この作品はホント久しぶりに薄味のエロシーンを見たなぁという感覚がしました(苦笑)。
 一応序盤に数パターン、それと終盤にバッドルートも含めて数パターン存在しますけど実用は難しいと思います。 一色ヒカルさんという実力派声優さんを当てておきながら嬌声もほとんど無く、「なんてこったい」と思わず頭抱えたくなるくらい薄かったですよ。
 ま、個人的にフミオさんの絵は好きですし、枚数も以前のKeyタイトルと比べれば相対的に多くはなっているので期待外れという訳では無いんですけど、もうちょっとエロ描写方面も頑張って欲しいですね。

 システム的には必要な機能は揃っていて不満無し。 二周目にRPGがプレイできるようになるのですが、こちらも操作面での不満は無いですね。 RPGはクリアするのに結構時間かかるけど(と言っても4〜5時間…かな)、おまけにしておくのが勿体無いくらい良く出来ていたと思いますよ。

 CGは枚数的には少なめ。 立ち絵パターンも従来のkey作品と比べて少ないように感じました。 ただ先にも書いたようにフミオさんの絵は好きだし、塗りの方も質が高いので値段を考えると満足度は低くないです。
 サウンド方面はかなり満足。 OP・EDのボーカル曲は頭にくるくらい良い感じですし、BGMも夏影っぽいピアノ曲「old summer day」なんかは暫くプレイ中断してしまうくらい聴き入ってしまいましたよ。 他にも「rivulet」(これもピアノ曲)も良い感じでした。

 正直『クラナド』で智代が気に入った人にとってはアフターシナリオがキツいんじゃないかと思うし、従来のkey作品にくらべ小粒な感は拭えませんけど、全体的なクオリティは高く、個人的には良作と言えるくらいには満足できたと思います。


私的満足度: ★★★★★ ★★☆☆☆

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