Rascal・改 − Game Impression
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好きだよっ!
発売日:2000.07.14 / Ather

◇ あらすじ

 「痴漢電車誤爆」。 新学期、始業式に出るために使用する電車内で主人公「神田 淳」は痴漢と間違えられ取り押さえられるという散々な幕開けとなった。 やがて気を取りなおした主人公は学校内で昔近所に住んでいた「新橋 玲奈」と出会い、ひょんな事から彼女の所属するサークルに入ることとなった。
 そして次の日、先日の痴漢を取り押さえた主人公は誤爆した張本人である女子校生の誤解を解く事に成功したのだが、彼女は昨日出会った玲奈の妹の「美奈」である事を知ることになる。 痴漢電車誤爆という最悪の再開を果した主人公と美奈の今後の関係はどのように変化していくのだろうか。


◇ ゲーム概要

 場所移動時の移動先指定と選択肢で進行するオーソドックスなタイプの恋愛ADVです。 このゲームは他の部活からの依頼を受けていくことになるんですが、その際「どの部の依頼を受けるか」と「誰と組むか」によって展開が異なってきます。 ヒロインの好感度によって依頼してくる部が異なったり、場合によっては強制的に発生する依頼もありました。 場所移動はお目当てのヒロインの好感度を上げるのがメインで、移動先にマウスカーソルを持っていくことで誰が居るのかは判るようになっているので苦労することは無いと思います。

 ゲーム期間は1年強とかなり長めですけど、イベントの無い日は飛ばして進行されるのでプレイ時間はそれほどかかりません(スキップ駆使して1〜2時間くらい)。
 一応エンディングが用意されているヒロインは7人ですが、メインの新橋三姉妹以外はほとんどおまけっぽいですね。 エンディングを迎える為の難易度はそれほど高くないです。 ただイベントCGは好感度の調整が必要なものもあったりして全CGを補完するのは苦労するかと。

 あと一寸変わったおまけ機能として「コスプレHモード」という物が存在します。 これはゲーム中で見た衣装(例えばレオタードとか水着とか)でHシーンが楽しめる(?)もので、これを見るにはゲーム中でその衣装を見ていることと関連するカードを入手している事が条件になります。 カードは依頼を受けた時に貰えることがあります。


◇ システム

 インストールに必要なHD容量は最大インストール時で約520MB(最小と標準はメモし忘れたので不明)。 システムはアセンブラージュ標準のものでインストール時にDirectX版とノーマル版から選んでインストールできます。 ただ、DirectX版は色々と不具合報告が挙がってるようなのでノーマル版でインストールした方が良いかもしれません。
 幸い私は過去のASMゲームからDirectX版は危険というのが判っていたので強制終了などの目には遭いませんでしたけど、ゲーム中からタイトル画面に戻れない等のかなり不満な点が見うけられました。

 画面サイズは800×600の窓とフルスクリーンから選択可能。 でも表示されるCGは640×480くらいなんですけどね。 メッセージの表示速度設定やスキップは完備されています。

 セーブやロードはゲーム中にいつでもでき、最大30ヶ所まで保存可能となってました。 セーブファイル一覧ではイベントタイトルも表示してくれるので再プレーの時は楽ですね。


◇ グラフィック

 原画は「きみづか葵」さん。 線の細い可愛いキャラを描く方でお気に入り原画さんの一人です。 今回のゲームでは色々な衣装が用意されていて、その点は良いのですけど、表情変化の時にポーズがそのままで顔だけ変化するのが何となく違和感ありました。

 CGは塗りに関しては文句無し。 残念なのはゲーム期間とイベント数の割に枚数が圧倒的に少ないことですね。 CGの総数は決して少ないとは思いませんが、コスプレHのおまけ的なCGが多いので、その分本編のCG枚数に皺寄せが出た感じがしました。

 あとゲーム中に取得できるカードの絵柄は色々な方が原画担当されています。 個人的に気に入ってる方では「ちょも」さん、「こ〜ちゃ」さん、「CARNELIAN」さんと言ったあたりかな。
 CGモードやHシーン回想モード、そしてコスプレHモードは最初からトップメニューにあって、条件を満たせば随時登録されていくようです。


◇ サウンド

 BGMはCD-DAとWAVから選択可能で曲数は全17曲。 正直言ってあまり気に入ってません。 中には「想いが還える場所」のようにシーンを盛り上げてる曲もありましたけど、ほとんど印象薄いしコスプレHモードでかかる曲などは正直言って耳障り以外の何物でもなかった。 OPとEDはそれぞれボーカル曲が流れます。 最初はあまり印象に残りませんでしたが、曲自体は悪くないし何度も聴いてるうちにこれはこれで良いかもとか思えてきました。

 音声は特定のイベントの時に女性キャラのみ入ってます。 他のASMゲームでもお馴染みの方が居るようですが演技の方は無難…ってところかな。 音楽モードは最初からトップメニューにありました。


◇ 感想まとめ

 アセンブラージュ系のゲームを若干贔屓目に見る私ですが、今回はシナリオ云々の前に「どう見ても未完成品だろ?」としか感じられなかったです。 システムまわりのお粗末さもさることながら、玲奈シナリオのラストで音声とテキストが合っていなかったり、エンディング前に再生されてた曲とED曲が重なって再生されたり、コスプレHモードで無限ループに陥ったりとか、もうボロボロです。 特に前の二つは雰囲気ぶち壊し。 場所移動時にワンパターンの会話を何度もするはめになるのも仕様っぽいけど鬱陶しくて完成度としては良いとこ90%ってところじゃないでしょうか。

 で、肝心の中身ですけど、前半は比較的普通の学園恋愛物っぽく進みます(仮面の生徒会長は難ですが)。 しかし後半は一部を除いて非現実的な展開(クローンとか幽霊とか)が出てきたり、主人公と新橋三姉妹が親の再婚で家族になってしまったりと急展開なのでちょっと困惑してしまいました。 とは言え純粋に物語として見ると三姉妹+1に関してはほどよく纏まってると思いますよ。 まぁ粗は色々とあると思うけど、これを考え出したらきっと楽しめずに損をすると思うし(苦笑)。

 個人的に一番気に入ってるシナリオは梨奈シナリオで、彼女は非現実な展開ではなく、家族となったが故に発生する問題とか心理描写とかで楽しめました。 …ってコレは玲奈や美奈でも当てはまると思うんだけど、何故梨奈だけなんでしょうね。 私的にはシナリオ担当の御子石さんって無理に非現実な展開にするよりも、こういった思いこみからくる行動を描かせたら素晴らしいものがあると思うんですけどね。 『CampuS』の優夏とか智里とか…。

 キャラの設定は「ふみゅぅ」等の口癖や大食いのヒロインや盲目の先輩など、多くのユーザーに受けそうなものになってて、それにシナリオとの関わりを持たせて形だけの設定になってない点は良いですね。 ただ私が捻くれてる為だと思うけど、どうしても「ユーザーウケ狙い」を感じてしまうし、新鮮味も感じなかったので私的には好印象は抱けませんでした。

 エロシーンは最後に一発あるのみです。 中身も薄いし期待しない方が吉でしょう。 コスプレHモードも「きみづか葵さんのHCG集」くらいの気持ちで見た方がダメージ少ないと思います。

 色々と書きましたが結論としてはやっぱり「惜しい」と感じるゲームですね。 エーテル解散に伴い、ASM内でも色々と問題があったと思いますが、ユーザーからして見ればそんな事は知った事ではないし、仮にも8800円の商品として出すんだからもう少し完成度を上げてから出して欲しかったところです。


◇ お気に入りキャラ

 メインヒロインの「新橋 美奈」かな。 もっともこれはゲーム本編で美奈をクリアした後に出る「美奈モード」に寄るところがあると思いますけど。


私的満足度: ★★★★★ ★☆☆☆☆

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