Rascal・改 − Game Impression
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愛しの言霊
発売日:2001.07.27 / Silky's

◇ あらすじ

 卒業を間近にしながらも特にやりたいことが見つからずに進路を決め兼ねている主人公「重麿」。 ある日、友人達に誘われて幽霊が出ると噂されている海岸へ噂を確かめに赴き、そこで自縛霊の「佐々木 蓉子」に憑かれてしまった。
 実家が寺という特殊な環境からか、主人公は蓉子と会話することが出来るようになり、後になって更に二人の自縛霊とも接触するようになる。 最初は戸惑っていた主人公だったが、何度か会話を交わすうちに彼女達の心残りを解決させるために奔走することになるのだった。


◇ ゲーム概要

 場所移動とゲーム中の選択肢を選んでいくことで進行するADV。 移動できる場所は7ヶ所で、一日に6回まで移動可能になってます。
 登場するヒロインは5人で、そのうちの3人が幽霊(笑)。 幽霊のヒロインは最初は人魂が浮いてるだけですが、何度も会っているとやがてぼんやりと姿が見えるようになってきて、最後には完全に実体化します。

 ゲーム期間は約25日ほどで、その間に各ヒロインのエンド条件を満たさないとバッドエンドとなる訳ですが…出現箇所が固定のヒロインはともかく、あちこち出現ポイントが変化するヒロインが居ますし、イベントの条件が場所だけでなく時間帯も関係しているので難易度は結構高いと思います。 ちなみにエロシーンまでは他のヒロインとの同時進行が可能です。


◇ システム

 インストール容量は標準で380MB。最大で570MBほど必要になります。 最大インストールをしてもゲーム起動には「GAME DISC」が必要。
 画面サイズはフルスクリーンと640×480の窓の二通り。 メッセージは速度調整はできませんでしたが、既読・強制スキップ、及びテキスト履歴の閲覧が可能なのでとりあえず問題はありませんでした。
セーブやロードは移動画面で「自宅」を選び自室に戻ることで行えます。 イベント中にセーブ&ロードができないので、このあたりは不便でした。

 ウチの環境では特に目立った不具合はありませんでしたが、環境によってはバグがあるようなのでSilky'sのサイトから修正ファイルをDLしておくことをお薦めします。


◇ グラフィック

 原画・キャラクターデザインは「九条 笛子」さん。 キャラデザインは前髪を上げてるキャラが少々おでこが広く感じましたけど結構気に入ってます。 表情パターンはそれほど多くはないんですけど、人魂のときでも感情によって色が変化するのは面白いかも。
 あと妖怪達(落武者とか河童とか)もなかなか味があって良かったですよ。 特に塗りに関しては気合入っていて、私は人物絵よりも気に入ってたりします(笑)。

 CG枚数はゲームのボリュームを考慮すると多いほうかも知れません。 ただ通常イベントのCGはもう少しは欲しかったところです。 CGの質に関しては特に不満なし。
 おまけとしてCGモードとイベントシーンの回想モードがあり。 共にキャラ別にサムネイル表示されるので見やすいです。


◇ サウンド

 PCM再生の全25曲。 最初に「Opening Theme」を聴いたときは「『Kanon』の朝影か?」と思いましたけど、まぁ悪くはないと思います。 正直言うと期待度が高すぎた為か、少々期待外れかなぁと感じましたけど「潮騒」「Shining Days」あたりは結構お気に入り。
 ボーカル曲は無し。 BGMモードはCGと同様におまけメニューより入れるようになってました。 あと、ゲームの特典としてBGM数曲を癒し系にアレンジしたBGM CDが同梱されています。

 音声は男性キャラや妖怪達も含めて主人公以外はフルボイス。 演技力はどのキャラも及第点は軽く越えてると思います。 特に妖怪さん達はみんな迫真の演技です(笑)。 声自体にもエコーがかかっていて雰囲気出てましたしね。


◇ 感想まとめ

 幽霊なヒロインというのは他のゲームにも色々登場してますけど、人魂から段々と姿が見えてくる…という設定はなかなか面白いなぁと、ただそれだけで興味を持ったゲームでした(笑)。

 実際にプレイしてみて感じたことは、予想に反して軽いノリだった…というか物語の内容とゲームの雰囲気が噛み合っていない…ということでしょうか。 もう少し全体的に悲壮感が漂う雰囲気なのかと思ってたんですけどね。
 シナリオ展開はツッコミどころが満載で、ざっと挙げるだけでも幽霊のクセに物に触れられたり、携帯電話でメール出したり、都合の良すぎるアイテムが散らばってたり、魑魅魍魎が不自然なくらいウヨウヨしてたりしますが、この辺りに目を瞑ることができれば話の内容自体は悪くないと思うんですよ。
 ただ、幽霊のヒロインたちはこの世に心残りがあって、主人公は彼女達を成仏させるために奔走してる訳で、その先に待っているのは確実な別れ…の筈なんですけど、友人やそのお姉さんとの会話や女の子型の妖怪が変にコミカル路線に偏っていたので強い違和感を感じました。 明らかにウケを狙う個所を間違えていて雰囲気をぶち壊して失敗していると思います。

 それとゲームデザインにも不満あり。 基本的にこのゲームはお目当てのキャラを追いかける分には一日に一度会えばOK…というか一日に一度しかイベントがないので残りの場所移動は無意味なんですけど、それでもイチイチ移動先を指定して時間を潰さないといけないのが非常に鬱陶しい。 一応自室で「夜まで時間を潰す」ことはできますけど、どうせなら一日分を潰して欲しかったです。

 エロシーンは一人を除いて終盤に一回。 「なんで幽霊に触れられるんだ〜」というツッコミは空しいのでしませんけど、使用してるCGは多めなのに何故かあっさりとした印象を受けました。 こうやって、次はこうして、その後はこう…という感じで淡々と処理をこなして行ってるだけで萎えてしまいます。
 それとお姉さんキャラは何度もエロシーンが発生しますけど本番は最後までお預けなので「そこまでヤらせておいて、なんて仕打ちをするんだ、このアマァ!」って感じでムカつきました(笑)。

 全体的に場所移動タイプのゲームによくある問題点を抱えていたり、ツッコミどころが満載のゲームなんですけど、やはり一番の不満点は雰囲気作りの失敗につきますね。 例えコミカル系がメインだったとしてもセンスがあれば良かったんですけど、作中の会話を見た限りでは寒さが増すだけでしょうし…。
 パッケージ横に記述されてるコピーの「私達をいかせてください…」を見たときは非凡なセンスを感じたものですがヾ(^^;残念ながら作中ではこのキレを拝見することは出来ませんでした。


◇ お気に入りキャラ

 「橘 亜樹」


◇ 備考

 所要時間: 1プレイ約2時間。コンプリートまで約8時間


私的満足度: ★★★★★ ☆☆☆☆☆

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