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ビ・ヨンド 〜黒大将に見られてる〜
発売日:1996.08.30 / Silky’s

◇ あらすじ

 真っ暗な空間の中で目覚めた主人公は自分の名前以外の以前の記憶を全て失っていた。 目覚めたばかりの重い体を引きずって歩いてるうちに主人公は鏡に写った自分を見て驚愕する。 漆黒の体に凶々しい顔。 その姿は化物以外の何者ではなかった。 そんな折に主人公の事を「マスター」と呼び、自分はマスターのシモベと主張する少女「レン」に出会い、主人公は伝説に出てくる「漆黒の魔王」である事を明かされるのであった。


◇ ゲーム概要

 ゲームはSF風コミカルタッチのADVです。 コマンド選択によって進んで行き、その内容によってエンディングが変化するマルチエンドADVですが、シナリオ自体はほぼ一本道なのでマルチエンドではあってもマルチシナリオではありません。
 物語は全十章で構成されていました。


◇ システム

 3.5”2HD 7枚組。 セーブは10ヶ所に登録可能でシステムメニューが開ける状態の時ならば何時でもセーブ/ロードが可能。 メッセージ速度も変更できて「CTRL」+「SHIFT」でスキップも可能です。 これといった不満はありませんでした。

 おまけは一度エンディングを迎える事で開放。 CGモード、音楽モード、エロシーン回想モード、エンディング閲覧モードと充実していました。


◇ グラフィック

 キャラクターデザインは「磯野 カヲリ」さん、原画は「田島 直」さん。 パッケージに「豪華16色!!」とか書いてあってWindows全盛期に見ると何とも苦笑ものですが、実際16色に見えないほど綺麗なCGでした。 主要人物との会話の時には顔ウインドウが表示されるのですが、その時のキャラの表情も個性があって中々良い味出してました(特にエバやフェイは笑える)。

 CG枚数もそれなりにあって満足。 ただ…終盤のイベントでフラッシュが多用されるのは目が痛くなるので勘弁して欲しかったです。


◇ サウンド

 BGMは26K互換のFM音源のみです。 曲数がいくつあったか忘れましたが曲自体はなかなか良かったです。 曲単体で聴いた時にその曲がかかるシーンの場面が思い浮かぶくらい雰囲気に合っていましたしね。 個人的に特にお気に入りは「時よ……」と「レンの決意」でしょうか。


◇ 感想まとめ

 ゲーム開始から2時間…7章の中盤までノンストップで一気に進めてしまいました。 スピーディな展開とギャグのオンパレードでゲラゲラと大笑いしながらマウスをクリックし続けてたような気がします。
 何と言うか、ギャグの見せ方が非常に上手いのですよ。 CGとBGMが非常に効果的に使われてたし、キャラが吹っ飛ばされた場合などもCG上で吹き飛んでいったと思われる場所に「←このへん」とか矢印でプレイヤーに知らせてくれる親切さ(?)が心地良い。
 中でも私が特に上手いなぁと思ったのはテキスト枠を使って追いかけっこを表現しているあたり。 凝ったアスキーアートでは無く、例えば象に追いかけられてるシーンなら「象」の文字がテキスト枠いっぱいに表示されてドドドド…とスクロールしていくのですよ。なんか思わず「おぉ!?」とか声に出して感心してしまいました。

 ただ、7章あたりからだんだんシリアスな展開になってしまい、これまでギャグで通ってきた頭を切り替えるのに少し苦労しました。 シリアスに行くのは別に良いのですが、それまでにキャライメージが脳内で固まってしまっていたので何かキャラの言動に違和感を感じるというか。
 それと8章では同ライターさんの前作『恋姫』をプレイしてないと置いて行かれる可能性があります…というか置いて行かれました。 それと最終章にあるアクションシーンも個人的には必要性を感じなかったです。

 シナリオ自体も結構良かったですが、このゲームは何よりもギャグで楽しめました。 本当に面白いゲームはPCの性能とか要求スペックなんて関係無いんだという事を改めて感じたタイトルです。


私的満足度: ★★★★★ ★★★★☆

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