グリーングリーン |
発売日:2001.10.05 / GROOVER |
◇ あらすじ
山奥にある全寮制の男子校、鐘ノ音学園に在籍する主人公「高崎 祐介」。
学園のまわりは森と山しかなく、近くの町まで徒歩で数時間掛かるという辺境に存在するため、主人公やその仲間達は常に女に飢えた生活を送っていた。
ところが夏休みまであと1ヵ月という時期にさしかかった頃、男子校である鐘ノ音学園に共学化の話が持ち上がり、その試験編入という形で女子が入ってくることになった。
1ヵ月という試験期間だが、入学からずっと女子と会話すら交わしたことの無かった主人公達に春はやってくるのだろうか。
◇ ゲーム概要
選択肢と場所移動によって進行・分岐するオーソドックスなADV。
場所移動に関しては移動先に誰が居るのかが一目で判るようにキャラ絵が表示されているので、お目当てのヒロインを追いかけていくプレイスタイルを取っていればエンディングを迎えることは難しくありません。
選択肢の方は後半になるとバッドエンドになる選択肢が含まれるものの、基本的にはどの選択をしても後の展開やエンディングにあまり影響しないものが殆どです。
ただこれらのやり取りの中でも好感度の変動はあるらしく、Hシーンが若干変わってくることがあるので注意が必要。
登場するヒロインは5人。ゲーム期間は6月下旬から8月上旬までの約40日間。
◇ システム
インストール容量は約990MB程。ゲームを起動するにはDISC-1が必要です。
画面サイズは640×480の窓とフルスクリーンの二通り。
メッセージは表示速度の変更や既読・未読スキップ、文字の自動送りなどが装備されていて悪くはないです。
ただ今時のゲームでテキスト履歴が見れないのはややマイナスかな。
セーブやロードは移動画面以外でなら可能。
通常はテキスト枠の横にあるSAVE用のスイッチからセーブできるんですが、選択肢が出ている時はそのSAVEスイッチが効かないのが少々不便ですね。
いちおう右クリックから表示されるメニューでセーブは可能ですけど。
セーブ領域は100ヶ所用意されていて、保存時にアイコンやコメントが入力できる点はマル。
あとこのゲームはDirectX8が必須です。
8以前だとDINPUT8.DLLが無いって怒られますのでご注意ください。
それ以外では私の環境では特に目立った現象はありあませんでした。
◇ グラフィック
原画は「片倉真二」さん。
キャラ絵はシーンにごとに微妙にデザインが違うような感じがしてイマイチ特徴掴み難いんですが…個人的には気に入ってます。
男キャラも含めて表情パターンが豊富なのも良いですね、ややオーバーアクションに感じるものもありましたけど。
CGは人物などはアニメのセル画っぽい塗りなので、なんとなくのっぺりとした印象を受けます。
ただし背景は描き込み・塗りともに高レベルではないかと。
CG枚数は多すぎず、少なすぎずの無難なとこかな。
CGモードは無し……って今時CGモード無いのか!? 煤i ̄□ ̄;)
CG取りこぼしの確認が出来ないのは不便ですねぇ…これは私的に大きなマイナスです。
Hシーンの回想モードはありました。
※現在ではCGモード追加のパッチが公開されています。あとDVD版にはデフォルトでCGモードはあるようです。
◇ サウンド
PCM再生で曲数は約40曲ほどでしょうか。
音楽は凄く効果的に使われててるなぁという印象を受けました。
やっぱりプロデューサーが音楽担当兼任だからでしょうかね。
シーンに合った曲というのはもちろん、同じイベントでもキャラの盛りあがりに合わせて段々と激しい曲になっていったりして面白いです。
特にバッチグーのデートイベントは秀逸。時には無音で効果を出してたりしますが、私的にはこの無音状態がちょっと多すぎな気もしました。
音声は主人公以外はフルボイス。
サブキャラも含めて凄い個性のあるメンツが揃っているんですけど、どのキャラもよく合っていたし演技も申し分ない出来だったと思います。
ただ立ち絵すらない教師の声がもろに素人なのには萎えました。
こういうところで変にケチると他が良いだけに目立ってしまって損だと思う。
あと音声に関しては演技力の他にもステレオ効果が素晴らしかった。
これはヘッドホンでプレイしないと判り難いと思いますけど主人公の後ろから名前を呼ばれるとホントに後ろのほうから声がするんですよ。
音楽モードは一度誰かのエンディングを迎えるとトップに追加されますけど、オープニングとエンディングのボーカル曲しか鑑賞できません。
これもちょっと勿体無いですね。音楽データはoggファイルだから鑑賞はできるんですけど、ボーカル曲はショート版しかないので出来ればフル版も入れておいて欲しかった。
ショップ特典のCDでエンド曲のフル版が聴けるようになってるんですけど、こういうのは勘弁して欲しいですよ。
しかも6種類もあるんで、全部集めるにはかなりの出費を覚悟しないとならんし…。
※現在はサントラが発売されていて主題歌も当然フル版が収録されています。
◇ 感想まとめ
このゲーム、プレイ開始から20〜30分はひたすら濃い男キャラしか登場しません。
エロゲとしてはかなり珍しい出だしで始まるんですけど、これが逆にプレイヤーを上手く作中の世界に入り込ませる事に成功してると思いました。
だって私も最初に女子が編入してきたシーンを見たときは「お、女あぁぁぁ!!!」っとゲーム中のキャラ達とシンクロしてしまいましたからね……てへり。
なんか一人暮らしで幼なじみの女の子が朝迎えにきたり、義理の妹と同居してるような恵まれた環境でぬくぬくと過してる多くのエロゲ主人公達とはハングリーさが違います(笑)。
そんな訳で主人公はさぞかし精力的に女の子を追いかけていくのかと思いきや、女に興味があるくせに表面上は無関心を装ってる風なむっつり系なので拍子抜け。
しかも若葉や早苗・千種シナリオでは積極的に行動するくせに、みどりや双葉などの同級生キャラのシナリオでは凄い朴念仁っぷりを発揮するなどシナリオによって行動に一貫性がないのでイマイチ感情移入できません。
そのかわりと言ってはなんですが、主人公以外の男キャラは凄い個性があって見ているだけで楽しいです。
中でも最も優遇(?)されてるであろうバッチグー(本名失念)は、後半になると某キャラと付き合うようになるんですが、そのデートシーンを覗くイベントは素で大笑いしました。
しっかりHシーンまであって半ケツ出しながらの某キャラとのHシーンは爆笑もの。
絶頂を迎えるときに「バ、バッチグ〜〜!」という雄叫びと共に「ちゅど〜〜ん」と爆発音がしてその後に汽笛が響く流れの後、主人公達を哀れむバッチグーを見ると本気でこのイベントだけでこのゲームの元を取った気分になりましたよ(笑)。
肝心のヒロインキャラに関してですが、各ヒロインとも他の一般的なゲーム同様ある程度キャラが立っていて個性もあるんですが、先に書いたように男キャラが強烈なこともあって印象は薄くなりがちかも。
メインヒロインの千歳みどりを始め、どのキャラも設定や先の展開が容易に読めてしまうクセに、いつまでも気がつかない鈍い主人公にイライラしましたし、文章による演出も弱めでエンディングで感慨に耽るようなこともあまりありませんでした。
どのキャラも物語の内容は決して悪くないだけにちょっと勿体無いかな…と感じます。
あと、特定ヒロインのシナリオに入ってしまうと他のキャラが思いっきり忘れられがちになるのはどうかと。
具体的に言うと序盤で出会う謎の少女の事なんですけど、彼女は某ヒロインのシナリオ以外ではその存在自体が不憫に感じてしまう程なので、どうせなら謎の少女はヒロインルートが確定した後に登場させるようにしたほうが良かったんじゃないかなぁと思いました。
朝晩の会話は楽しいんですけどね…。
エロシーンは基本的に終盤に一回、双葉だけはニ回発生します。
概要で書いたようにゲーム中に選んできた選択肢の内容によって例えば顔射があったり無かったりします。
実用可能かどうかに関しては、あのアニメ風ののっぺりとした塗りのキャラに抵抗を感じないことが第一関門になるかと。
シーン自体もそれほど濃くはありませんでしたが声優さんの演技は良好です。
結論として纏めると、このゲームは「バッチグー(他男キャラ)で笑うゲーム」というところでしょうかね。
何度も書いてしまいますけどホントに男キャラのやり取りは楽しいんですよ。
この男キャラ達がもっとヒロインのシナリオに絡んで単なる当て馬ではなく主人公との取り合いになるようだったら良かったんですけどね。
ヒロインのシナリオを始めとしたゲームとしての出来は決して低くはないんですけど、各項目で挙げた不満点とか「CGモードが無いのが不満なら原画集を買えや」、「ボーカル曲のフル版が欲しけりゃサントラ買えや」と感じる態度がゲームの長所を殺すのに十分な効果を発揮してるのが惜しまれます。
そんな訳で局所的に満足度は8くらい行くんですが、全体的な満足度は少々低めにしてしまいました。
◇ お気に入りキャラ
ヒロインキャラはどれもポイントは押さえてあって悪くないんですが、純粋に気に入ったキャラというと「バッチグー」ですな(笑)
女性キャラでは「謎の少女」。
攻略は不可ですけど、このキャラって声が可愛いんですよ。
特に「朝まで天神」というイベントで水を3リットル飲むと言う天神に向って「がんば!」と声を掛けるシーンがあるんですけど、そのイントネーションが妙に気に入りました。
何気ない一言に可愛らしさを感じる演技って大好きです。
◇ 備考
所要時間: 1プレイ約2〜6時間。全エンド達成まで約16時間
私的満足度: ★★★★★ ★★☆☆☆
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