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鐘ノ音ダイナティック
発売日:2006.02.24 / GROOVER
 全CGと回想が埋まったのでコンプ。 所要時間は1stプレイ3〜4時間、コンプまでは10時間弱と言ったところでしょうか。 ちなみに同梱されてるライブDVDの視聴時間は含まれません。

 山奥の僻地にある私立鐘ノ音学園。 全寮制の男子校であったが突然共学化の話が持ち上がり、試験編入という形で一ヶ月の間だけ女生徒達と共に学園生活を送ることとなった…というあらすじ。


 初代『グリーングリーン』と同設定ですが、今回のヒロイン達はPS2に移植された際に追加されたキャラだけが攻略対象となってます。 PS2版は『鐘ノ音ダイナミック』『鐘ノ音ロマンティック』の2種類がリリースされ、それぞれ追加キャラが異なるという暴挙仕様でしたけど今回はダイナミックとロマンティックの両方の追加ヒロイン達が攻略対象となってます。 まぁ要するにPS2版追加キャラのみの逆移植ですな。 主人公は当然「高崎 祐介」です。

 ゲーム構成は場所移動でお目当てのキャラを選んでいくだけなので難易度は低め。 ただし初代を始めとした既存シリーズのイベントを踏まえた上での流れになっているので、最低でも初代をプレイしていないと意味不明だったり唐突感を感じる箇所が多数ありますので注意。 2や3絡みの話も少しですが出てきます。


 シナリオ展開は序盤はヒロインとのコミュニケーションが描かれ、中盤以降になると設定に深く踏み込んだ山場を乗り越えてハッピーエンド…というオーソドックスな流れ。 今回のヒロイン達も「くノ一」「自称古代王国の姫」「さすらいのギャンブラー(違」など癖の強いキャラが多く、しかも主人公はどのヒロインとも最初の出会いから好印象を抱かれていて彼女らのペースにひたすら流されていくだけという展開でした(苦笑)。
 ただし今回の主人公はかなり行動的。 ヒロインとの山場と思えるシーンでは颯爽と現れてヒロインをしっかりと支える展開が多く、『グリグリ3』でのヘタレっぷりが記憶に新しい私としてはもうほとんど別人としか思えませんでしたよ。 もちろんヘタレられるより数百倍はマシですし、そのお陰でエンドもすっきりと後味の良いものになっていたと思います。

 不満点としては…まず全体的にボリューム不足かなと感じました。 プレイ中にストレスを感じなかった事もあるのでしょうけど展開がかなり速く、正直言ってヒロインキャラに愛着が沸く前にエンディングに到達してしまったので、せっかく読後感良いのにちょっと勿体無く思いました。
 で、ボリューム不足に感じる一番の原因は三馬鹿達との共通イベントが非常に少ない事が挙げられます。 このシリーズの魅力はヒロインキャラよりも三馬鹿との下品な掛け合いだと(個人的には)思っているのですけど、今回は川下りと宝探しイベントくらいしか無くて物足りなかったです。 旧作であったような覗きイベントや轟との追いかけっこや総長の愛情など、旧作と被ってもいいからもっと入れて欲しかったところ。
 それともう一つ、今回のヒロイン達の話に旧作のヒロインが全く絡んでこないのも不満。 一応バッドルートで初代ヒロイン5人のエピソードを見ることができ、中でも双葉などは『グリグリ3』をプレイ済だと中々感慨深いものがあるのですが…それはそれとして、例え攻略対象でなくともサブキャラとして登場させて欲しかったですよ。 小みどりだけは何故か登場してるのも謎です。 その小みどりも登場シーンとかは思いっきり端折られていて初代グリグリが未プレイだと訳わからなそうですが(苦笑)。


 エロシーンは一人あたり1〜2回。 数は少ないですけど、このシリーズとしては結構頑張ってる印象を受けました。 少なくとも初代や2に比べれば圧倒的に尺は長めです(笑)。 ただしねちっこい描写は無く、行為の状況を淡々と描写しているだけという感じで、個人的にはちと実用的では無かったですね。 CG的にもあまりエロ向けという感じじゃなかったですし。


 システムまわりはセーブ&ロードを移動MAP画面上で行えないという嫌がらせ仕様なのが不満でした。 スキップ速度は快適だし既読テキストは色違いで表示してくれるなどの配慮は良かっただけにセーブポイントの件だけが惜しいです。
 CG枚数は決して多くはありませんけどシナリオボリュームと比較すれば十分かも知れません。 一応旧作ヒロインのCGも数枚存在します。 立ち絵は旧作のままでしたけど(笑)。
 BGMは旧作からの流用ですね。新規の曲はOPとEDのボーカル曲くらいしか気付きませんでした。 今まではヒロイン毎にED曲が用意されてましたけど今回は1パターンのみ。 本来なら特に不満は無いのですが、てっきりヒロイン毎に異なると思っていたので微妙に不満かも。 OPムービーはかなり良い感じで流石でした。


 まとめとしては全体的にボリューム不足を感じる作品。 旧作未プレイだと意味不明に感じそうなシーンが多くて新規ユーザーに対する配慮に欠けているし、本来の魅力であった男キャラ達との濃いやり取りも不足ぎみで「ここが見所!」と言えるものが無くなっているのが何よりも厳しいですね。 ヒロインシナリオはボリューム的には不足ぎみなものの、読後感は悪くなかったので惜しいです。


以下、ヒロイン毎の雑感(ネタバレあり)。


山咲 枝理
 家事が趣味で控えめな性格だが極地方並に寒いギャグを連発する。 何か重い設定を背負ってるんだろうなと言うのは予想できましたが、あの設定はちと予想外で意表を付かれましたよ。 めぞん一刻を思い出した(笑)。 立ち絵とイベント絵で印象が違う気がするのが難でしたが、個人的には一番気に入ったキャラ…かな。

月森 こずえ
 自称「古代王国の姫の生まれ変わり」な後輩。 ぬいぐるみのイブリートが火を吐く仕組みが気になって仕方ないんですが、それは置いておいて…ホントに姫だったのね。 ラストなんかはもう何がなんだか(苦笑)。 キャラ的には木から落ちてきたところをお姫様だっこした時の表情がなんか可愛いくって良かった。 小みどりとのやり取りはもっと描いて欲しかったところ。

楠木 かおり
 くノ一の少女。 棟梁である親が決めた許婚から逃げるために鐘ノ音へやってきた。 いきなり主人公を許婚に指名したのは顔が好みだからという非常に解り易い理由からでした(笑)。 元許婚の忍者が馬鹿なのは割とどうでもいいけど、ラストの「両親に弟を生ませる」というオチは結構好きです。 キャラ的には声優さんの演技が思いっきり棒読みなのが難ですね。 あれはそういう演技だよね?まさか素の演技じゃないよね?

伊吹 美菜
 教員免許がないのに鐘ノ音の教師として振舞う風来坊。 物凄い強運の持ち主で私はてっきり「お前達に運を教えにきたのよ」的な梨本小鉄@アカテン教師な展開を予想してましたが…全然違いましたね(笑)。 シナリオ展開は少々クサイですが、ラストは割と好きです。


お気に入りキャラ順は
 枝理 > こずえ > かおり = 美菜
と言ったところか…。まぁほとんど差はありませんけど。


ちなみに下記の満足度はライブDVDも含めた上でのものです。
私的満足度: ★★★★★ ★☆☆☆☆

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