Rascal・改 − Game Impression
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ウソツキは天使のはじまり
発売日:2005.03.25 / SAGA PLANETS
 全CGを埋めてコンプ。所用時間は計12時間ほどでした。

 以前から度々命を失いかねない危険な目に合いながらも間一髪で助かってきた主人公。 彼にはその命を狙う悪魔「リリカ」と逆に主人公を守護する天使「アリス」が付いて絶えず争っていて、それが彼の身の回りで起きる危機の原因だった。 そしてその天使と悪魔は力を消耗して姿を消せなくなり、能力が回復するまで主人公の家で暮らすことになるのだった…というあらすじのLOVEエロADV。


 攻略対象ヒロインは5人。ゲームは前半部と後半部に分かれていて前半が共通パート、後半が各ヒロイン毎の個別パートという感じで前半部で条件を満たしたヒロインはメニューから後半部を開始できるようになっています。 エンディングはヒロイン毎といくつかの派生エンドがありました。

 雰囲気は基本的にドタバタラブコメ調で、メインヒロインの二人が力を回復するには主人公とHする…という萌えエロゲらしい展開。 私自身こういう設定は嫌いじゃありません…にも関わらず出だしの印象は“最悪”と言えるものでした。

 もうとにかく序盤から展開されるナンセンスなイベントの連続に辟易しまくり。 理由のない行き当たりばったりな超展開ばかりで見ていて非常に滑稽です。
 中でも唖然としたのがイギリス旅行。 旅立ちの経緯が唐突&意味不明な上にそのイギリスで発生するイベントの悉くがイギリスである必要性が全く無い展開。
 もちろんこれは一例に過ぎず、他にもライターのひとりよがりとも言える意味の無いイベントがだらだらと続くことに加え、キャラ同士のやり取りがパターン化してる上に面白くもない会話の連続でプレイしていて凄く苦痛でした。

 また主人公の言動も大いに難あり。 性格は女好きで軽薄な一昔前のラブコメ物(漫画で言えば「うる星〜」エロゲで言えば『晴れのち〜』あたり)なんかでちょくちょく見かけたタイプで、それ自体は別に構わないのですけど、あまりにも短絡思考すぎです。 その場の感情だけで行動して言動のひとつひとつに説得力がなく、プレイヤーから見たら空回りしまくっていて寒いことこの上なし。
 ま、これはそういうふうにしか主人公を動かせなかったライターの力不足が原因って感じなんですけどね。 ライターが主人公を掴みきれず、強引にシナリオ展開に合わせたような言動になってしまってる印象を受けます。 「ここはヒロインが落ち込んでるところだから明るく励まさなければならない」とか「ここはヒロインが主人公を騙したことが発覚するから罵倒してから落ち込まなければならない」って感じでヒロイン毎のシナリオに強引に合わせて書いた結果、なんとも筋が通ってない主人公が出来上がったような感じがするんですよね。
 主人公は幼い頃に両親を失って楽しい日々は終わりを告げることを理解したから、だから彼は現在を精一杯楽しく生きる為に、そして毎日皆で笑っていられるようにお調子者の言動を取っている…というような言動の理由付けに一本筋を通すようなイベントを一つ入れるだけでも大分印象が変わると思うんですけど。

 後半部の終盤は各ヒロインの過去に踏み込んだシナリオ展開になるのですけど、それまでのイベントがだいぶ足を引っ張ってる感じでどうしても「安易なお涙ちょうだい」的なお話という印象を受けてしまったのが残念です。 設定自体は決して悪くないだけに勿体無い感じがしました。

 エロシーンは先に書いたようにメインの二人が能力回復の手段として主人公とHするので回数だけはそれなりにあります。 もちろん回復手段としてだけでなく、ちゃんと主人公と気持ちが通じ合った状態でのエロシーンもあり、シチュエーションも豊富。 ちなみに各シーンで毎回違う下着を着けているといった気配りは女性スタッフらしいなとふと思った(笑)。
 ただ回数はともかく尺のほうはかなり短い。 はっきり言って絵だけで抜けるという人以外は実用的ではないと思います。 ちなみに私はアリスのタイトスカートから覗く太腿のラインやエロシーンでの構図など、割と好みのものが多かったこともあって絵的にはかなりヒットしたのですが…そんな私でもこのエロシーンは使えませんでした…無念。

 あとこのゲームはメインヒロイン5人の他にもサブキャラが5人ほどいて、ルートによってはH可能です。 ただこのサブキャラ…Hしても名前すら出てこないのが不憫。まさか「怪しげな子」とかの呼称でずっと通すとは思わなかった。名前くらい付けてやれば良いのに…。 しかも前半部で登場するサブキャラはH後には全く登場しなくなるという使い捨て状態だし、何よりエロシーン自体が話の展開として全く意味が無いのがまた哀れです(苦笑)。



最後にキャラごとの雑感(かなりネタバレ)。

アリス
 冷たくて無愛想な守護天使。 個別ルートはとにかく突っ込みどころ満載でした。 そもそも人間と天使は結ばれてはいけないという掟があるのに何故アリスの両親は結ばれて、しかもお咎めなしなのか? 両親に関するイベントはともかく、人間に対する想いはもう少し描いて欲しかったかな。 エピローグの展開は個人的にはアレでも別に良いかな…とは思った。

リリカ
 主人公の命を狙う悪魔。シナリオ内容より主人公の「リリカを一番理解してるのは自分」的な言動が見ていて痛かった。 堕天使というのはかなり早い段階で気付けますけど、その経緯は割と良かったと思います。 ただエピローグがアリスと同じなので少し捻って欲しかった。あの展開で終わりってことはその後の話を描いたファンディスクでも出すつもりなんでしょうかね。

一本槍珠代
 主人公の叔母。 主人公に構ってほしくて仮病(しかもガスマスクまで装着)まで使ってくるのは可愛いと取るか鬱陶しいと取るかで評価は分かれそうですが、先に不満たらたら書いたような“意味の無いイベント”の多くはこいつが端を発してる場合が多いですし、イギリスでの恋人紹介も主人公の両親の事故も全て身勝手さから来ていて個人的印象は最悪です。 終盤の珠代の独白を盗み聞きするシーンは主人公のアホさ加減も相まって白けまくり。

モモ
 主人公の大事にしてるぬいぐるみ。大事にしてる経緯はわかるんですが、食事を一緒にしたり話しかけたりとナチュラルにキモい行動をしていることに対する説明がないので凄く不自然。 そもそもこのキャラを出現させる意味があったのか? アリスにしても無責任に人化させちゃって何考えてんだ? って感じなのでエピローグの展開はまさに「安易なお涙ちょうだい」な印象しかなかった。

熊ノ郷遙
 主人公の友人の弟。 プレイヤーには女だということは登場時点でバレる(笑)。 なんつーかヒロイン主体な展開ですねぇ、主人公も のりお もシナリオに合わせられてる感じで不自然。 ラストは一番はっきりしていたのは良いんですけどね。

 このタイトルは有末つか氏の原画とラブエロな展開に惹かれての購入だった訳ですが、絵のほうは期待通り(まぁ立ち絵とメッセージウインドウ横の絵の服装が合ってないのが気になったけど)、ラブエロ方面に関しては説明不足なイベントと寒いキャラ同士の掛け合いで白けまくって全くの期待外れと言ったところです。


私的満足度: ★★★★☆ ☆☆☆☆☆

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