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AYAKASHI アヤカシ
発売日:2005.10.28 / CROSSNET・APRICOT
 全CGを補完をしてコンプ。 発売から一年近く積んでたけど気がつけば『AYAKASHI H』の発売が目前に迫ってしまったので取り急ぎプレイしました(笑)。 所要時間は1stプレイで約9時間くらいでしょうか…コンプまでは20時間を越えたくらいだと思います。

 日々を無気力に過ごしている主人公「久坂 悠」にはスプーンを曲げることができる超能力があり、彼はその特技を活かして小遣い稼ぎをしていた。 だがその現場を学園の不良生徒に見られた事で脅迫されるようになり、そしてその不良生徒もまた主人公と同じ能力「アヤカシ」を使う人間だった。 アヤカシ使いとして覚醒しきっていない主人公は窮地に陥るが、主人公を護るために現れた謎の少女「夜明エイム」によって救われるのだった…というあらすじ。


 天狗とか河童とか日本で言い伝えられてる妖怪の類に寄生され、その妖怪を使役することが出来るようになった人間が「アヤカシ使い」。 今作はそのアヤカシ使い同士の戦いを描いた伝奇バトルADVです。
 ゲーム構成はいくつかの章に分かれていてシナリオ毎に章の数が異なります。 最も長いときで七章まで。 シナリオの数は本筋となるのが4本、他におまけシナリオとして4本ほど存在します。 エンディングは本筋のシナリオ毎にそれぞれTrueエンドとNormalエンドがあり、両方のエンドを見ないとCGはコンプできません。 ただシナリオの分岐点となる選択肢は非常に分かりやすく更におまけメニューの中でチャートまで表示してくれるので難易度は低めです。


 実際にプレイしてみてまず目に付くのは圧倒的なCG差分を使ったバトル描写。 アヤカシ使いってのは要するにスタンド使いみたいなモノなんですが、各アヤカシ毎の攻撃アクションの特徴が非常に分かり易く演出されてる事に驚愕しました。 アヤカシの複雑な移動・攻撃といった各動作をエフェクト処理で見事に表現されているだけでなく、バトル中の人間キャラのカットインも頻繁に挿入され、効果音の質やタイミングも素晴らしくてまるでカットインムービーを鑑賞してるような感覚を抱きます。

 この抜群の臨場感に私はすっかり惹きこまれました…5〜6回目の戦闘シーンくらいまでは。

 と言うのもこのゲーム、バトルシーンの展開がどれも似たり寄ったりなんですよね…。 大体は「敵の猛攻に味方陣がピンチ」→「調子に乗った敵が主人公を挑発(ヒロインが死にそう)」→「主人公ブチギレてパワーアップ」→「なにぃそんなバカな…うわぁぁ!」…ってパターンばかりなので何度か戦闘をこなすと正直「またこのパターンかよ」となるのですよ(苦笑)。 戦闘前に既に主人公達が満身創痍だったり罠に嵌められたりと先ず主人公陣営のピンチありきで、ほぼ全てのシーンがピンチからの脱出…というのは盛り上げる為に必要なのはわかりますが、逆転するシーンに関してははアヤカシのパワーアップよりもヒロイン達との連携で信頼関係とか気持ちが通じ合ってる様子が分かる展開をもっと多く入れて欲しかった気がします。


 シナリオ方面は…こき下ろすほど悪くは無いんですが“深み”があまり無いのが個人的に物足りないというか残念なところでした。 シナリオ毎に刺客が異なったりして展開の幅があるのは良かったけど、その展開に対しての説得力が今ひとつ。 例えばアヤカシ使いはアヤカシに精神や身体機能を食われていく…という設定が色々と都合の良い使われ方をしてるだけに感じられます。 片目の視力が失われつつある某キャラはその後いくらアヤカシを酷使しても視力の件は放置されてましたしねぇ…。 せいぜいアヤカシ使いは自尊心を傷つけられるとほぼ例外なくファビョるという情緒不安定さを描くくらいにしか活かされて無かった気が…(苦笑)。

 他にも細かいツッコミを入れたくなる場面があったり、先の展開が読め易い上にちょっとチープに感じる場面もあってキャラ(特に主人公)に対する感情移入度が今ひとつだったのも残念なところ。
 ただ、戦闘シーンと同様に日常シーンのキャラの動きも良い味出していたのでプレイ中は全く退屈さを感じなかった事は好評価ポイントになるかと。


 エロシーンはヒロイン一人あたり1〜2回。 一晩集中型で2回のシーンを一気に流すルートもあるので回想枠は2つでも感覚的には1回だけに感じるキャラも居ます。 一部のサブヒロインには強姦シーンや意思を操られて強引にHするパターンがありましたけど基本的には和姦。
 処女率は高いけど破瓜描写は無く最初から感じまくり。 また、尺はそれほど長くはない…というか主人公がかなり早漏なのが難でしたが、一応1回のシーンで複数回射精を実装してますし、カットインを含めたCG差分が豊富で理性が飛んでる状態のアヘ顔が割とインパクトあるのでエロ描写や声優さんの嬌声よりも視覚方面でエロ度を上げてる感じです。 そんな訳でキャラ絵が気に入ってる人なら実用性はあるんじゃないでしょうかね。


 まとめとしては「凄いゲームと面白いゲームは別物」だという事を再認識させてくれた作品と言ったところ。 もちろんつまらなくは無かったですけどコンプ後に余韻に浸るような事が無く、圧倒的なCGとエフェクト技術による演出ばかりが印象に残ったゲームでした。


 ヒロイン別雑感はクリア順につらつらと(ネタバレあり)。


夏原 織江
 大切なものを探してるマイペースな娘。 アヤカシ使いではなくアヤカシそのもの。 北都南さんの声の影響もあって割と萌え度は高かったけど、宿主である本家の織江がイワナに食われたため記憶を失い、存在できる期間も限られる…という設定がちと不憫ですな。
 個別ルートは互いの告白シーンが良い味出してました。 織江の告白に対して死んだ幼なじみと重ねて見てるのか織江本人が好きなのかで気持ちの整理を付けた後に主人公が告ってましたし。 ただ個別ルートに入った途端にオチがわかってしまうので、せっかくのラブラブ描写も確実に訪れるはずの不幸展開の方が気になってしまってちょっと勿体無かったです。 水族館でのカタナとのバトルは個人的にイマイチでしたけど、サブヒロインのアンズとの絡ませ方は良い感じですね。 つかアンズって準レギュラーかと思ったら織江ルートでしか出て来なくてがっかり。 その分、Normalエンド後に追加されるアンズシナリオは結構萌え転がりましたけど(苦笑)。 あと織江Trueエンドのエピローグでは何故戻ってこれたのかが理解不能なんですが…説明見逃したのかな…。

薬師寺 陽愛
 主人公の幼なじみ。 もう一人の幼なじみ「和泉」が二年前に死んでから何かと主人公の世話を焼いている。 陽愛の母親が主人公に対して疫病神の如く接する様がなんか新鮮…エロゲの幼なじみは家族ぐるみの付き合い…って印象がありましたから。
 個別ルートは同梱の資料集によると“守る”ことがテーマらしい。 主人公が陽愛を護る為に奮戦するも結局最後はアヤカシ使いとして覚醒した陽愛に護られる…と言う流れが予想通りで苦笑してしまった。 ただアヤカシ使いとしての能力は予想外、てっきり竜に匹敵するアヤカシが来ると思ってたので(だから八咫烏が来たときは捻り無さ過ぎとか思ってました)。 キャラ的には少々扱いが不憫ですね。 他のルートではほとんど出番が無く、数少ない出番も仔犬でトリップしたりと悉く足引っ張る役でしたし(笑)。 あと陽愛Trueエンドのエピローグでは何故戻ってこれたのかが理解不能なんですが…説明見逃したのかな…。

パム・ウェルヌ・アサクラ
 敵側で登場するゴスロリ娘。 主人公のことを気に入ったので殺して自分のモノにしようとするナイスな精神構造をしている。 天井からぶら下げた壊れた人形達もパムの精神を表現する上で良い味出していたと思います。
 個別ルートは個人的に一番のお気に入り。 パムの親がパムに対してどういう立ち位置なのか不明でしたが、仔犬を使ってパムの心境の変化を描いていたのは良い感じでした。 ただ主人公の方がダメすぎ。 パムが仔犬をあっさり飼い主に還した事に対して「なんて冷たいヤツだ、もう勝手にしろ!俺はもう知らん!」とか見当違いの自己解釈で勝手にキレだした時は「何コイツ?」状態でしたよ。 おかげでその後に主人公の解釈が間違ってた事を理解する流れとかはもうめちゃくちゃチープに感じられて凄く勿体無かった。 ラストバトルのシーンは主人公視点とおまけシナリオの前川視点の描かれ方が中々良いですな。

夜明 エイム
 主人公を護るために現れた謎の少女。 “彼”の指示で主人公の幼なじみの「和泉」を倒した際、サトリと共に和泉の魂がエイムと融合した…という設定で、一応最初から主人公に対して好意を抱いてる事に納得は出来ました。 ただエイムが“彼”の元を去ってから主人公に遭うまでの二年の間、何してたのか気になります(苦笑)。
 個別ルートは終盤の主人公達が追い詰められる展開がやたらと大仰でちょっと白け風味。 でもエイム本人は流石にメインヒロインだけあって見せ場の多さと萌え度は圧倒的でした。 普段クールなキャラがテレたりエロエロに喘ぐ様は良いものです(笑)。 あとキジムンに操られていた時、バッドエンドでも良いから強姦される展開も入れて欲しかった気もします。 おまけのアキノシナリオではエイムやアキノの過去が語られ、なかなか良い感じでしたけど出来れば“彼”がアヤカシとの共生を必死に模索する様子とか食われていく事に苦悩する様など「敵側の事情なり正義」を描いて欲しかったです。 現状だと全ての元凶はオロチに食われた“彼”でそれが絶対悪みたいに描かれてしまってるので。


お気に入り順は
 エイム > パム > (アンズ) > 織江 > 陽愛


私的満足度: ★★★★★ ★★☆☆☆

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