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スピたん Spirits Expedition ―in the Phantasmagoria―
発売日:2006.03.03 / Xuse【本醸造】
 CGの抜けはありますけどエンドは全て見たので一応終了。 所要時間は1stプレイで約18時間。 ただし第三節の途中からは戦闘回避の極楽モードを適用してのものです。 もし全て戦闘も行っていたら40〜50時間くらいはかかったかも知れません。 詳しくは後述しますが、とにかく時間がかかりました。

 先の大戦で大陸を統一したラキオスはガロ・リキュアと名を改め、レスティーナ王女の統治の元で繁栄していた。 だが人々の生活を潤していたエーテル技術を全面廃止したため、向こう数十年で発生するであろう問題も多数抱えており、それらの解決の糸口を探すため大陸北東にある“龍の爪痕”の向こうへ探検隊を派遣することとなった。 探検隊には先の大戦で活躍したラキオスのスピリット達が選ばれ、主人公「ロティ・エイブリス」はその隊長を務めることになるのだった…というあらすじ。


 『永遠のアセリア』の続編にあたるSRPG。 前作の誰のエンド後の世界なのかは明確にされておらず、前作のヒロイン達は名前すら出てきません(例外はレスティーナ)。 今回のヒロインとなるのはアセリアでは目無しの汎用スピリットとして登場したキャラ達ですが、見た目とか性格はEXPANSIONやPS2版のものがベースとなっている(セリアがポニーテールじゃなくなってる等、微妙にキャラデザインは異なる)ので可能ならEXPANSIONかPS2版…もしくは予約特典のダイジェスト版をプレイしてから始めた方が良いでしょう。 ちなみにダイジェスト版はアセリアエンドの流れになってました。


 ゲームは全七節で構成されています。 一節毎に戦闘ステージが複数用意されていていますが選べるのはその中の一箇所だけ。 例えば青マナが豊富なステージを選べば青スピリットであるネリー&シアー絡みのイベントが発生するような仕組みなのでエンドを迎えたいヒロインに合わせてステージを選択していく感じになります。
 ただしエンディングの存在するヒロインは6人(5通り)だけ。 スピリット隊では幼年組の4人(3通り)だけで成人系キャラは全て対象外という理不尽な仕様になってますのでハリオンの豊満なオッパイとかナナルゥのクールっぷりに惹かれて購入しちゃった人は暴れても良いんじゃないかな。 一応エロシーンはありましたけど。
 ちなみに師匠であるミュラーは2nd以降、Trueエンドにあたる(と思われる)ツェナはミュラーのエンドを見た後でないと個別ルートに入れないようになっていました。 つまりTrueエンドを見るためには最低でも3周プレイする必要があります。

 ヒロインが複数人いる以上、周回プレイ必須になるのは(前作も同様だったし)構わないのですけど、このゲームの場合は1周どころか1ステージを終えるだけでも相当な時間と忍耐が必要になり、非常にかったるいのが致命的。

 まず何と言ってもこのゲームの肝であろう戦闘システムに難ありです。 1ターン毎に決められた時間分の行動予定を入力していくのですけど、敵キャラが残り一体で残HPも一桁という…誰が攻撃しても一撃で倒せるような状況でも全員の行動予定を入力させられるのが非常に面倒臭い。 で、逐一入力するのが面倒だからとAIに入力を任せると体力回復や防御力アップの魔法をかけまくって全く攻撃しないというAIの馬鹿さ加減にげんなり。 一度入力した行動はキャンセル不可というのも微妙にストレスが溜まります。

 そしてその面倒な戦闘の回数が多すぎ。 ステージマップ上に徘徊してる敵キャラは目視できるのですが、1画面の中に5〜6体もウロウロしてる過密っぷりを見ると戦闘前から疲れた気分になって自然と溜息が出てきます。 なにせ1回の戦闘にリアル時間で10分前後かかるので6体相手にすればそれだけで1時間経過してしまう訳ですからね。 まぁ何体かは避けて通れるのですけどそれでも多すぎです。

 ゲームバランスもお世辞にも良いとは言えません。 最初の1〜2ステージくらいまでは順調に行けても第三節あたりになると敵キャラのインフレっぷりが凄まじく、こちらの成長が追いつかなくなります。 主力キャラを決めて重点的に成長させたとしても1キャラあたり大体3〜4回も戦闘するとスキルポイントが尽きて唯の木偶となりますし、体力やSP回復薬を用意するには金が必要で、金を得るには戦闘をこなすしかない…という感じで結局はしばらくステージマップと街を行き来しつつ戦闘を繰り返す作業を強いられるのです。
 得られる経験値(マナ)は少なく、特定の敵以外ではアイテムもドロップしないので、費やした時間と労力に見合うだけの見返り(成長や収集物)も乏しく、プレイを続ければ続けるほどモチベーションが下がってきます。 もっと爽快感に気を配って欲しかった。


 シナリオ展開はヒロインとの恋愛過程に描写不足を感じたものの全体的には悪くないと思います。 スピリットの4人(3組)は敵幹部との戦闘を何度か経て戦闘力・精神力共に成長していく感じのオーソドックスな流れでしたが、師匠のミュラールートでは舞台背景や主要キャラ達の設定が明かされていく展開になっていて所々で意外性があって楽しめました。 最後のツェナルートではツェナ自身の青臭い主張がちょっと鬱陶しい上に色々と都合良すぎな感じはしましたけど言いたいことは理解できるしエンド後の後味も悪くなかったです。


 エロシーンは個別ルートのあるキャラで2〜3回程度、その他は各1回ずつ。 回数的に少な目な上にザウス特有の効果音も今回は入っていないので些か味気なさを感じました。 まぁキャラ立ては割と良い感じなのでキャラに思い入れがあれば実用は可能なんじゃない?という感じ。 個人的にはヘリオンで満たされたので満足はしています。


 システムまわりではメッセージスキップの遅さと画面サイズがVGAと小さめなこと、それと必要性を全く感じない街中のマップ移動が不満点として挙げられます。 街中の移動に関しては恐らく住民と会話したり何らかのイベントが用意される予定だったのだと思いますが…何も発生しない現状ではただの余計なモノでしかありません。
 CGはやや少なめですね。 ただ通常のイベント絵の他にキャラがSD化した状態のCGがいくつかあるので、それを合わせれば何とか許容範囲かなと言ったところ。 立ち絵もそれなりにパターンがあり、キャラに合った表情やポーズになっていて悪くないのですが…テキスト欄の横に表示されるフェイスウインドウの表情が固定なのが謎です。 はっきり言ってフェイスウインドウの必要性なし…というか逆にキャラの感情表現の足枷にすらなっていたと思います。 なんでこんな中途半端なもの入れてるんだか…。
 移動時のドットキャラは吹き出しで感情を表現するなどコミカルさを演出していて良い感じでしたが、欲を言えばもう少し頭身を低くしてSD化したCGと同じような感じにして欲しかったところです。


 そんな訳でまとめとしては「全てにおいて作り込みの中途半端さが漂うゲーム」という感じ。 街中のマップ移動とか変化しないフェイスCGなども何らかの都合で「ま、いいか」と中途半端に投げた名残のように見受けられるのですよ。
 とりあえず新しいアイデアを模索して取り入れる姿勢は評価したいところですけど、なんとなく出たアイデアをあまり熟成させずに取り入れてしまった事で、ユーザビリティを考慮しない中途半端なゲームになってしまったんじゃないかなという印象を受けたゲームでした。 ぶっちゃけ「『永遠のアセリア ダイジェスト』を買ったら特典に『スピたん』が付いてきた」と割り切った方が精神衛生上は良いかも(苦笑)。


キャラのお気に入り順は
 ヘリオン > シアー > ネリー > ファーレーン > ニムントール > ツェナ > ナナルゥ > ハリオン > ミュラー > セリア > ヒミカ
キャラ別雑感は今回は無し


私的満足度: ★★★★☆ ☆☆☆☆☆

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