Rascal・改 − Game Impression
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MOON.
発売日:1997.11.21 / Tactics

◇ あらすじ

 六年ぶりに「郁未」の元に母親が戻ってきた。 それまで一人で暮らしてきた郁未にとって夢の様な時間が過ぎる。 しかし幸せな時間は「母親の変死」という結末であっけなく終わりを告げることになった。
 母親が六年もの間、自分を捨ててまで身を置いていた教団「FARGO」に母親の変死の理由があると悟った郁未は単身FARGOの隔離施設へと乗り込むのだった。


◇ ゲーム概要

 ゲーム進行は午前・正午・午後・夕刻・夜で一日が構成され、各時間帯で決まったイベントをこなせば時間が進みます。 ストーリーの流れとしては一本道なのですが、会話等の選択肢や移動先を誤るとBadEnd、もしくは少し内容が異なるノーマルエンドとなります(これらのエンドの場合、終了後にヒントが出ます)。


◇ システム

 セーブポイントは32個所ありゲーム中の時間と場所、それとリアル日時も表示されるので非常にあり難かったです。 メッセージスキップもあり、割と親切な作りになってますね。
 ただ画像表示ウインドウとテキストウインドウがそれぞれ別々になっているのが少々鬱陶しかった。


◇ グラフィック

 キャラクターデザインは「樋上いたる」さん。かなり癖のある絵ですけど慣れればこれはこれで味があって悪くない…かな? 立ち絵は会話に合わせてコロコロと表情やポーズが変わるので見ていて楽しいですね。
 画面モードはハイカラー以上を推奨していますけどフルカラーモードでプレイすると背景とキャラの境界線がおかしくなる現象が発生しました。 描画処理も若干重めなのでPCスペックが貧弱だとキツイかも知れません。


◇ サウンド

 BGMはCD-DA再生です。 このゲームの音楽担当に『雫』のBGMも幾つか担当された折戸伸治氏もいたりして中々に質は高いのではないでしょうか。


◇ 感想まとめ

 事前情報なしでパッケージの雰囲気に惹かれて購入したのですが、プレイ開始したら閉鎖的なカルト教団施設が舞台となっていて中々に挑戦的なゲームだなぁと感じました。 この頃はまだ某教団が引き起こした事件の記憶も新しく、カルト教団をネタにする事は暗黙的にタブー視する風潮があったのでゲーム内で普通に洗脳行為を行ってるのを見て他人事ながら「大丈夫なのか?」と思ったものです。

 物語は基本的に天沢郁未の視点で描かれますが、偶にゲーム冒頭で知り合った「巳間晴香」や「名倉由依」の状況も描写されます。 教団に到着と同時に彼女らはA・B・Cにランク分けされ、それぞれのランク毎に待遇の異なる様子が語られていく訳ですけど、郁未よりも晴香や由依の境遇が悲惨すぎてかなりキツかった。
 郁未は過去の恥ずかしい思い出を掘り起こされて悶々としてるだけでしたが、晴香など不衛生な場所で輪姦されまくった挙句にあの惨劇…。 由依もその過去にやるせなさを感じずには居られません。
 そんな訳でこのゲームのテーマである「精神(こころ)の痛み」に関しては製作者側の思惑通りの状況に陥ってしまいました。 でも色々と満足しています。 このゲームのおかげで輪姦シーンを始めとした鬼畜系描写にかなりの耐性が出来ましたしね。

 ただ、物語の展開にはどうも不明点が幾つか存在しました。 「通風口に穴を開けたのは誰?」とか「地下の花畑」や「カードを使って入る部屋にあった死体は誰?」とか「最後のアレって?」などなど…。 これらの不明点をストーリ上に伏線としてもう少し分かり易く配置しておいて欲しかった。 現状では手掛かりが少なすぎて私には分かりません。

 …とまあ最後に不満点も書きましたが私にとっては色々と衝撃的な内容でしたから良くも悪くも「忘れられない作品」になりました。


私的満足度: ★★★★★ ★★★☆☆

Copyright(c) 2007 SHEO