Rascal・改 − Game Impression
[メニュー枠OFF]

White 〜セツナサのカケラ〜
発売日:2000.01.28 / ねこねこソフト・胡桃

◇ あらすじ

 季節は12月の冬。 いつも通りに幼なじみに朝起こされ、いつも通りに学園に通い、いつも通りの生活を送る主人公「健一」。 もう何年も続いてきた退屈で平凡で変り映えしない日常がこれからも続いていくと思っていた…。


◇ ゲーム概要

 家に親が不在がちで幼なじみの娘に毎朝起こされ朝食を作ってもらう生活のどこが平凡なんだ?という個人的意見はこの際置いておいて、ゲーム自体は序盤の選択内容によって中盤以降にキャラ別のシナリオに切り替わるオーソドックスな学園恋愛ADVです。 ちなみに主人公は大学生。

 ゲーム期間は12月6日からクリスマスまで。 攻略対象は5人ですが、幼なじみの「宮原和泉」以外はゲームの物語の中で初めて知り合うようになってます。
 選択肢の数はそれほど多くなく、難易度は低め。 1プレイ時間は約2時間程度でしょうか。 ちなみに一度某キャラのエンドを迎えたらおまけシナリオに入れるようになってました。


◇ システム

 インストール容量は240MB。 画面はフルスクリーンと窓モードの切換え可。 メッセージは速度切換えが3段階ででき、「次の選択肢まで進む」によってスキップも完備(ただし未読チェック無し)で更に「回想」によって少し前までのテキストなら読み返す事も可能になってました。

 セーブやロードもゲーム中にいつでもでき、計20ヶ所まで登録可能…とゲーム中に特に不満に感じた事は無かったですね。 動作も比較的軽めですし…。 唯一残念というか鬱陶しかったのがCDを挿入する度にインストール画面が起動してしまう事でしょうか。


◇ グラフィック

 原画は「秋乃 武彦」さん。 個人的に特に気に入ったという訳じゃないけどキャラは皆かわいく描かれていて良いと思います。 立ち絵は一般的なものより大きめで、キャラの表情パターンも結構多くて好印象でした。

 イベント等の一枚絵も割といい感じだと思います。 枚数は1キャラあたり14枚くらいで、ゲーム期間が短めなので少ないと感じる事もなく、まあ満足してます。
 CGモードは一度ハッピーエンドを迎えるとTOPメニューに追加されました。 ただ…なんかめちゃくちゃ重いんですけど?


◇ サウンド

 BGMはCD-DA再生の全18曲。 ネット上のMIDI系サイトをよく巡回してる方や同人系音楽サークルに詳しい方ならご存知と思いますが、443氏やTactics系ゲームでお馴染みSoundUnionのえび氏やSIMO氏が作曲されてる曲があり、結構いい感じでした。 一番のお気に入りはOP曲かな。 ちなみにハッピーエンド時にはボーカル曲「Dream like stories」が再生されます。 この曲は最初こそ印象薄かったものの聴けば聴くほど味が増してきたスルメのような曲でした(笑)。

 CVは特定のイベントの時のみ喋るようになってました。 あーでもエロシーンは全て声無しです。 私は全然構わないけど演技は一定水準以上いってると思うので、一枚絵の表示されるイベントは全て声付けるとかもう少し使用頻度が多くても良かったかなぁなんて思いますね。
 音楽モードはCG同様に一度ハッピーエンドを迎えた後にTOPメニューに追加されます。 こちらの方も結構重いんですが、それよりもせめて曲名くらいは付けて表示させて欲しかったかな。


◇ 感想まとめ

 このゲーム、はっきり言ってしまえば主人公周辺の初期設定(親が不在がち+犬ちっく幼なじみ+存在理由のよくわからん野郎友達など)はまんま『To Heart』。 画面構成とか分岐の構成とかは『Kanon』ですな。
 主人公の言動などにも多分に色んなネタのパロディが入ってますが、それほど濃くないので元ネタ知ってるならウケるって程度でしょうか。 元々がLeaf/Tactics/Key系の同人ソフトを出してる某サークルさんが母体になってるようなので、全体的に同人っぽさが漂ってます。 この辺りで合わない人も居そうですが私的には許容範囲…というか結構笑えて良かったですよ。 「ちょっとパロ入ってるが気にするな」とゲーム中の主人公が言ってるあたりからも製作者側でも開き直ってるようで、これが逆に受けたのかも知れませんけど(まあ今回限りならですが)。

 とは言え、パロってるのはあくまで設定や会話のみで各ヒロイン毎に展開するシナリオはオリジナルでなかなかに魅せてくれます。 やや展開が急かなぁと感じる場面も多々あったり(但し説明不足といった感じは無かったです) 約1名のシナリオがやたらと濃くて引いたりもしましたが、各シナリオとも終盤の展開は結構引き付けられる物があったし、ラストのオチの付け方も一工夫してあって好感触でした。 サブタイトル通りほのかなセツナサを感じます。

 まあ主人公の性格がやたら粗忽だったり(特に幼なじみの和泉に対して)、各シナリオに入ってしまうと千波を除いて他キャラとの絡みが殆ど無くなってしまったり…と不満点や粗は探せば沢山出てくるんですけど、それらを差し引いても光るものがあるゲームだと思います。 個人的にはこの手の恋愛ゲームは巷に溢れかえってて、いささか飽きがきてるので次回作は是非ゲーム構成からオリジナルな物を出して欲しいものですね。


◇ お気に入りキャラ

 「杉嵩千波」。 幸薄く、純真な娘にも弱いみたいですねぇ私(笑)。 そんな設定に加え、ハッピーエンドルートではエロシーンが無く、EDも恋愛系のゲームにしては珍しい展開で構気に入りました。 「よかったね、よかったね…」という最後の言葉が最も合ってるキャラだと思います。
 シナリオ的に一番気に入ったのが「仁科まどか」。 キャラ的にもかなりお気に入ですけどね。


私的満足度: ★★★★★ ★☆☆☆☆

Copyright(c) 2007 SHEO