Rascal・改 − Game Impression
[メニュー枠OFF]

みずいろ
発売日:2001.04.13 / ねこねこソフト

◇ あらすじ

 普通の学園生活を送っている主人公「片瀬健二」。 彼と幼年時代を共有した少女達との過去から現在、そして未来へと続いていく恋愛物語。


◇ ゲーム概要

 “普通”の学園モノを意識して作られたADVらしいです。 ここで言う“普通”とはあくまでギャルゲ世界においての普通であって決して現実での普通ではない…ということ。 「何だそれ?」と思うかも知れませんが、要するにお約束の設定(親不在で義妹と二人暮らし)とお約束のヒロイン達(幼なじみや喧嘩友達)で展開していくお約束なゲームです(笑)。 ちなみに攻略可能なヒロインは5人。

 ゲームは選択肢を選んでいくお馴染みのタイプで構成的には幼年時代の「過去パート」と設定上18歳以上の「現代パート」の2部構成となっています。 過去編でのストーリー展開によって現代編の初期設定が若干変化する作りなんですが、はっきり言ってしまえば過去編のみで攻略キャラが決定してしまい、現代編は攻略対象キャラの物語がほぼ1本道で進行する感じになってました。 過去編は短いし選択肢の数も少ないので難易度は低いです。

 あと各キャラ毎にAfterStoryとしてエンディング後に追加のエロシーンが見れるようになってます。 ねこねこソフトお馴染みの「おまけシナリオ」も健在(笑)。


◇ システム

 フルインストール時の容量は約1.3GB…となかなかのボリュームです。 一応通常インストールも用意されてましたけど、うっかりメモし忘れたのでサイズは不明です(笑)。 なお、最大インストールすればメディアレスで起動可能(但しBGMは無し)。

 画面サイズはフルスクリーンと640×480の窓の両対応。 メッセージ速度は低速・普通・高速から選択可能。 スキップは未読の判定はしてませんが、一応「次の選択肢まで進む」ことはできました。 セーブやロードはゲーム中にいつでも可能で、計20ヶ所まで登録できます。 ちなみに使用されてるシステムはScripterという某所からDLできるアレ。
 それとこのゲームは発売日前から修正ファイルがメーカーサイトにアップされてましたので、プレイ前に当てておくことを強くおすすめします。 当ててないと某シナリオ後半で落ちる上に修正前のセーブデータとの互換性がなくなりますので。

 余談ですがこのゲームのプログラマーである「高橋直樹」さんは同社の『White』や『銀色』もプログラム担当されていますが、『Moe』や『innocent Eye's』(ユニゾンシフト)のシナリオさんでもあったんですね。 最近気がつきました(苦笑)。


◇ グラフィック

 原画は「秋乃武彦」さん。 キャラデザインはともかく目の塗りに特徴があります。個人的には気になる程でもないけど、気になる人は多いようです(笑)。 あと表情パターンがある程度あるのはマル。

 CGは幾つか線が気になるものがあって、なんとなく質にバラつきがあるように感じました。 背景なんかは丁寧に塗られてますし、イベントCGでも構図は中々よさげだし(パンチラはともかく、脚の部分にそそるものが)、それに枚数も少なくはないのでそれほど不満は無かったですけどね。
 CGモードとイベント回想モードはトップメニューの「おまけ」より入れるようになってます。


◇ サウンド

 CD-DA再生の計25曲。 ピアノがメインの浸れる曲が多いです。 BGMのメインスタッフは前の2作から変わってますが、前作に決して劣らない良い曲が多くて満足です。 お気に入りは「みずいろ」「スカーレット」など幾つかありますけど…主に各ヒロインのテーマ曲がどれも気に入りました。

 ボーカル曲は2曲。 OPの「みずいろ」と某シナリオの後半でかかる挿入歌「ごめんね」があり、どちらもかなり良かったです。 ちなみにボーカルは佐藤裕美さん。 あとBGMモードはトップメニューの「おまけ」から入れます。

 音声は女性キャラのみありますが、過去パート等では声なしでした。 演技の方は概ね満足……かな。


◇ 感想まとめ

 物語は一部を除いて「何気ない日常のやり取り」がメインとなっています。 冒頭の過去編での進め方によって現代編の設定が変化するというのは先に書いた通りで、これだけならよくある2部構成のADVなんですけど、このゲームは過去に起こった(起こした)出来事と、現代で展開していくシナリオやイベントが巧く噛み合っていて良かったと思います。

 上手く説明するのは難しいんですけど、1つ例を出すなら某ヒロインが嫉妬するイベントが挙げられます。 このヒロインは主人公のことが好きなんですけど、特定のルート以外は若干の感情の違いはあれど他ヒロインと結ばれるのを祝福してくれます。 それが特定のシナリオでのみ嫉妬するのは、そのシナリオに入る前に体験する過去の出来事の中で主人公から貰った「あるアイテム」とその時の感情…具体的には嫉妬の対象キャラに対する後ろめたさ…が嫉妬に至る要因として描かれているからなんですね。 他シナリオではその過去を体験しないので、「なんで他のシナリオ&キャラには嫉妬しないの?」というツッコミは出来なくなっています。
 こうした矛盾点を極力無くすよう心掛けているようで、この辺りはパッケージ裏で売り文句にもなってましたが実際にプレイしてみて「なるほど」と感心させられました。

 そしてもう1つわかり易くて面白いのが、主人公が過去に関わった場合と関わらなかった場合で性格が正反対になってしまうヒロインがいたこと。 まぁ「これはちょと極端すぎだろ」とは思いましたが、人が生きていく上で他人の影響って大きいよなぁ…などとしみじみ感じましたよ。

 そんな訳でシナリオ展開やイベントはその1つ1つに発生するべき理由というのが明確になっていますし、各シナリオ毎に設定が異なっているので「何度も同じテキストを読まずに済む」というのも評価できると思います。
 ただ…この作りの為に各ヒロイン毎に最初からプレイすることになるので、時間的に余裕がない人はちょっと辛いかも知れません。 加えて物語の展開は「普通」を意識しているようなので、どうにもインパクトの薄い日常シーンが多いし、先の展開も読み易いのでゲーム中に退屈さを感じてしまう事が度々あったのが惜しいです。 まぁ約1名、どう考えても普通じゃない展開がありましたけどね。 『Kanon』や『鈴がうたう日』が普通と言うならコレも普通でしょうけど、個人的には普通というより「お約束な展開」って印象の方が強いです(笑)。 あとテキストなんかも分かり易くて丁寧なんですが、やや冗長に感じてしまいました。

 一部で異様に評価の高いキャラ萌えに関してですが…お約束な設定でいかにも狙ってますという感じなので、些か新鮮味には欠ける印象を受けました。 ただイベントなどは各キャラの魅力を良く出してるので、特定キャラの特徴ある言動さえ気にならなければ逝けると思います。

 エロシーンは、恋愛系のゲームとしては結構頑張っている方じゃないでしょうか。 キャラに萌えられればある程度は満足の行くものになってると思われます。 更にAfterStoryの方はエンディング後の設定での少し濃い目のHが堪能できますし、CG枚数もそれなりにあるので本編が不満でもこっちは満足行くかも知れません。

 なんか長くなったので無理矢理まとめますが、個人的には長所と短所がくっきりと別れてしまったゲームと言ったところですね。 それでもなかなか良質の学園恋愛ものとして十分おすすめできる作品だと感じました。


◇ お気に入りキャラ

 義妹の「片瀬雪希」と幼なじみの「早坂日和」が印象に残ってます。 特に雪希シナリオなんかは二人の魅力が満載で、なかなか良い感じの三角関係だったと思います。


◇ 備考

 所要時間: 1'stプレイ約4時間。コンプリートまで約16時間


私的満足度: ★★★★★ ★★☆☆☆

Copyright(c) 2007 SHEO