Rascal・改 − Game Impression
[メニュー枠OFF]

Scarlett 〜スカーレット〜
発売日:2006.05.26 / ねこねこソフト
 全CGを埋めてコンプ。 まぁ一回プレイすればCGは埋まるんですけどね(笑)。 所要時間は8時間半くらい掛かったと思います。

 高校を休学して全国を巡っていた「大野明人」は沖縄で一人の少女と出会い、非日常な世界の片鱗を垣間見る。 その世界に憧れつつもやがて実家に戻って復学し、平凡な日常を送ることになった主人公。 だが復学先の学校で数日前に沖縄で出会ったはずの少女「しずか」と再会し、諦めかけていた非日常への願望が再び強くなっていくのだった…というあらすじ。


 平凡な少年「明人」と、非日常な世界の住人「九郎」などの複数視点で物語が進んでいく一本道シナリオのADV。 選択肢は稀に出てきますが、それによって後の展開が変わるような事は無いと思います。
 ゲームは構成としては全四章立てで、各章は更にいくつかの細かいchapterで区切られています。 1つのchapter終了時には大まかな流れを纏めてテキスト表示してくれるので物語の流れが理解し易い上、プレイ時間に区切りを付けるきっかけにもなるので有難い機能だとは思います。 ただその反面かなり細かくchapterが区切られるため、早く物語を進めたい場合には鬱陶しさを感じたりしますけどね。


 ゲームの雰囲気はややサスペンスっぽいノリ。 シナリオは複数人の視点から語られるので感情移入度はちと低めでしたが、テキストは読み易くて設定や展開を把握し易く、クドさを感じることも無ければ説明不足に感じることも無い丁度良いバランスだったのが個人的にはかなりの好印象を抱きました。 加えてキャラ同士の会話も心地良く、感情移入度の低い傍観者的な立場であっても物語への吸引力は高かったと思います。

 ただ、サスペンス系の話の割には緊迫感や緊張感を感じることがほとんど無かったのが少々物足りないかな。 と言うのも主人公の一人として語られる九郎の一族があまりにも絶大な権力を有している為、この世界の設定的に命を狙われる危険が低い上に米軍兵器を自分の所有物の如く扱ったり国家絡みの情報を取り引き材料にしたりと圧倒的優位な立場でやりたい放題の展開が多いのですよ…。 このスケールの大きさや、あり得ない権力を惜し気もなく披露してくれる展開には清々しさを感じますけど、「俺はテメエら一般人と違ってこんな事も出来るんだぜ」というのを只管見せ付けられてるだけ…という感じも無きにしも非ずでした。 ピンチな状況すら特権階級者達の掌の上で転がされてるような感じがして、例え危機的状況になっても「それでも親父なら…。親父ならきっと何とかしてくれる」という思いがあり、あまりハラハラドキドキしないのが不満です。

 それともう一つ、しずかの心理描写をもう少し描いて欲しかった。 もともと彼女は明人の事を日常の世界の人間として接していた筈で、その明人が非日常の世界に入り込んできた事に対する心情がほとんど描かれていないのは物足りないです。 頼りなかった少年が変わっていく様を見て逞しく感じたり寂しく思ったり…といった描写を入れてくれれば最終章の展開がもっと盛り上がったんじゃないかなぁと感じます。


 エロシーンは一応4人分、それぞれ一回ずつ存在します。 しずかや美月なんかは入れようと思えばもっと入れられたと思えるだけに物足りないですね。 内容的にもあっさり風味なので実用度は低いと思われます。


 まぁ色々と展開に突っ込みを入れつつも、世界観の説明がしっかりしていた事もあってかプレイ中は時間も忘れて物語に没入できました。 プレイ後に強く心に残るものは無かったけど、終わった後に一抹の寂しさを感じるくらいプレイ中の居心地が良かった佳作だったと思います。


キャラ別雑感は軽く…。


別当・和泉しずか・スカーレット
 九郎の妹、明人より年は一つ下。戦闘機の類は一通り操縦できるらしい。 彼女自身については先に言いたいことを書いてしまいましたが、三章の展開はなかなか良い感じでした。 出来ればエピローグあたりで明人と墓参りに赴くシーンなども欲しかったかな。 微乳キャラであることや籐野らんさんの演技とかが良い味出していて割とお気に入り。

葉山 美月
 陸幕調査部の三佐(作中で二佐になる)。 三章では九郎に一途な様子が描かれていて私的には萌え度高め。 あと酔っ払ったときに年齢暴露後「セーフ。ぎりセーフ」のセリフや九郎とのデート時の格好がなんか婚期的に追い詰められてる感じが出ていて微笑ましいです(笑)。

アメリア・ウィークス
 スイスの田舎で十年間、八郎(九郎の父)に育てられた娘。 有名な数学者の娘で自身は暗号解読が得意。 私的にこの能力はかなり都合のいい使われ方をされてると感じられました。 キャラ的には登場時点で14歳だけど炉キャラではないのが新鮮というか残念と言うか…(苦笑)。 一章での九郎側視点と明人側視点が交わるところは彼女も交えてもっと盛り上げて欲しかったです。


お気に入り順は
 しずか ≧ 美月 > アメリア


 ねこねこソフトもこのゲームで解散とのことで、『White』から楽しませて貰ったいちゲーマーとしては残念ですが、スタッフの方々がねこねこソフトに携わっていた事がこれからの人生にプラスとなるよう願っています。


私的満足度: ★★★★★ ★★☆☆☆

Copyright(c) 2007 SHEO