Rascal・改 − Game Impression
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SHE is...
発売日:2000.08.04 / BELL-DA

◇ あらすじ

 私立探偵「雨宮 虎太郎」はクライアントの「三沢 みずほ」の依頼を聞くために「桜ヶ丘病院」を訪れる。 ここは二年前に製薬会社との汚職で騒がれたいわく付きの病院で、しかも現在の院長は何かと黒い噂が耐えないらしい…。
 反院長派のみずほの依頼内容は案の定、院長のスキャンダルを探って欲しいというものだった。 主人公はターゲットの身辺を探り易いように検査という名目で入院することとなる。 医者、看護婦、患者…と様々な人から情報を得て、主人公は無事に依頼を達成することができるだろうか。


◇ ゲーム概要

 病院を舞台にした探偵物のADVで、基本的には病院内を歩き回り手掛かりになる情報を集めてクライアントに報告する…という流れで進行していきます。 何やら「Detective Fileing System(通称DFS)」とか言うカッチョイイ名前が付いてますが、ようするに誰かと会話し、その時に参考になりそうな内容だと「ファイリングしますか?」と聞いてくるので「はい」と選ぶとファイルに保存され、1日の終了時にクライアントである「みずほ」へ報告できるようになるというものです。 ちなみに期間は10日間。

 重要な鍵となる情報を報告すると翌日へ進める仕組みになってます。 1日でファイリングできる情報は最大5つですが、殆どは役に立たない物で重要なのは1〜2個くらい。 移動できる回数に制限はありませんし、移動できる場所を総当りで何度も巡回してれば自ずと必要な情報は揃うので難易度は低いです。 だいたい5日目を境に事件解決の仕方やエンディングを迎えるヒロインが決まるようになってました。 ちなみにエンディングのあるヒロインは私が確認したものでは5人です。


◇ システム

 インストールは標準で約250MB。音声ファイルもインストすると約450MBほどになります。 フルインストすればゲーム起動にCD-ROMが不要。

 画面サイズは640×480の窓とフルスクリーンの二通り。 デフォルトではウインドウモードで、一度フルスクリーンにしても次回の起動時にはまたデフォルトに戻ってます(泣)。 テキストは速度調整が不可。スキップはCTRLキー、又はメニューバーにある「選択肢までスキップ」を押下することで可能になってます。

 セーブは移動マップが出ていない時ならいつでも、ロードはゲーム中にいつでも可能です。 出来れば移動マップでもセーブさせて欲しかった。保存領域は20ヶ所です。


◇ グラフィック

 原画は「穂積貴志」さん。 やや前髪やおでこが長い気がしたし、表情変化時にポーズが変化しない等の細かい気になる点はありますが、なかなか綺麗で可愛いく描かれてると思います。 照れた時の表情なんかは個人的に結構気に入りました。

 CGも綺麗ですね。背景も丁寧に描き込まれてますし。 枚数は若干少なめですけど特に不満には感じませんでした。
 CGモードやエロシーン回想モードはトップメニューの「おまけ」から入れます。 でもCGの方はエロシーン以外のイベントの物しか無いのが残念。 回想モードとは別にエロシーンのCGも見れるようにして欲しかったです。


◇ サウンド

 BGMはMIDIでGMと88Proから選択できます。 ただデフォルトではGMになっていて、一度88Proに変更しても次回起動時にはGMに戻ってしまいます(泣)。 曲数は主題歌を含めて7曲…ちょい少なすぎですよね。 でも曲の方はなかなか良かったです。 お気に入りはタイトル画面の「Comforter」って曲なんですが「WalkWalkWalk」も探偵物っぽい曲で雰囲気が出てて良いかも。 エンドではボーカル曲がWAVで再生され、これも良い感じの曲でした。 できればCD-DAでフルコーラス版を入れて欲しかったところです。

 音声はヒロインキャラのみフルボイス。演技の方はかなり良いですね。 特に「新村 美羽」は口調がキャラに合っていてお気に入りです。
 音楽モードはトップメニューの「おまけ」から入れます。


◇ 感想まとめ

 ゲームシステムはともかくキャラの設定やイベントの端々で、かの名作『野々村病院の人々』のイメージが重なりました(笑)。 ただ『野々村〜』や他の探偵物のゲームにあるような「常に危険と隣り合わせ」という雰囲気は全くなく、選択肢一つに緊張が走るような緊迫感がないのが個人的には少々残念。

 そんな訳でこのゲームは探偵物というよりも、むしろ恋愛ゲームの色の方が強いかもしれませんね。 なにせ主人公は「自称」名探偵のくせにゲーム中に多数貼られた伏線にほとんど気がつかずに土壇場まで引っ張ってくれてヤキモキしますし、捜査手帳を持ち忘れたりと結構マヌケな面もあって「一体どこが名探偵やねん」とか思います。
 ただこれは好意的に解釈すると敢えてプレイヤーに優越感を持たせようとしたのかもしれません。 ほら、探偵物の主人公ってプレイヤー無視で突っ走るキャラ多いですし(これが良いキャラもいますが)、この辺りで他と差別化をはかったとしたら…成功して…は…いない…か(ぉぃ

 肝心のシナリオの方は…結論から言うと結構良かったです。 後でお気に入りキャラの項でも挙げてますがプレイヤーに先が読める展開がほとんどですけど、各シナリオ…というよりシナリオに関わるヒロインと事件との関わりが良く描かれていて面白い。 加えて特に捻ったり難解な謎や伏線を残したりしないので非常にわかり易かったですしね。
 それと、このゲームは1人のエンディングだけでは全ての謎が解明されない作りになっています。 全ての謎を知るには全エンドを見る必要があるんですけど、各シナリオで解明される謎は明確だし、その時のエピローグで「○○と××についてはまたの機会に調べよう」というような事を言うので、他シナリオをプレイする意欲にも繋がって良かったです。 実際、私は時間を忘れてプレイしちゃいましたし。

 エロシーンは攻略対象キャラ以外でもHできたり、H専用キャラ(笑)が居たりして数はそれなりにあります。 シーン自体は「胸を揉む」とかのコマンドを駆使してヤルものでしたが、特に鬱陶しいとかは感じませんでした。 中身もそんなに薄く無いですよ、実用可能かは知りませんけど。

 実はこのゲーム、あまり期待してませんでしたが思ったよりは楽しめました。 もちろん期待度が低かったというのも要因だと思いますけどね。 でもまぁ探偵物を期待すると少々厳しいかもしれませんが、「探偵をしてる男が主人公の恋愛ADV」と割り切ればそれなりに行けるんじゃないかと。


◇ お気に入りキャラ

 病院の新人事務員という設定になってる「新村 美羽」ですね。 本当の肩書きはもちろん別で、プレイヤーにはすぐに正体が判る(但し主人公は気付かない)んですが、プレイヤーに正体を判らせた上で彼女自身が必死で隠そうとしてる様が微笑ましくて、これが魅力を引き出してることに成功してると思います。 シナリオによっては主人公に惹かれるんですけど変にベタベタしないのも良いですね。


◇ 備考

 所要時間: 1'st Play 3.5時間、2nd以降は1.5〜2時間。総Play 9時間。


私的満足度: ★★★★★ ★☆☆☆☆

Copyright(c) 2007 SHEO