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夏色小町
発売日:2003.02.28 / Purple Software
 全CGを補完してコンプ。 所要時間は1stプレイで約3時間、コンプまでは8時間前後…と言ったところだと思います。

 小さな村の学園で水泳部の主将を務める主人公「中田友也」。 彼の幼なじみである有賀美琴は弓道の大会で全国二連覇を果たしTV取材も受けるほどの有名人。 それに対し水泳でのタイトルもなくタイムも伸び悩んでいる主人公は引け目を感じて最近は美琴と疎遠となっていた。 そんなある日、夏季大会に向けての各部の結団式に美琴と二人で宣誓を行う事になり、二人の距離に変化が訪れる…というあらすじ。


 ゲームは選択肢を選んでいくだけのオーソドックスなADV。 選択肢の数は少な目で、お目当てのヒロインを贔屓するように選んでいけばエンド到達は容易です。 ヒロインは計5人ですが一部のキャラはCG付きのバッドエンドルートも存在し、エンド総数は7種類となっていました。

 序盤は海水浴とか肝試しと言ったヒロイン達とのコミュニケーションがメインの展開。 季節感や田舎のまったりとした雰囲気は悪くなかったですが、話の展開はかなり淡々としていている上にイベントの数も少なく、どうにもボリューム不足と言った印象を受けました。 その数少ないイベントも会話やテキスト描写に面白みがなくて盛り上がりに欠けるのも残念なところ。

 一応このゲームの特徴としては上記のコミュニケーションの中で幼なじみの美琴から告白され、更に彼女はその数日後に交通事故で入院する…というかなりヘビーな展開があります。 つまり共通ルートでメインヒロインから告られて入院した後にシナリオが分岐するので、他のヒロインルートへ進む際はその美琴の告白をどう扱ってケリを付けるのかが見所となると思ったのですが…残念ながらこのあたりの描写も一部を除いてあっさりと描かれてしまって些か拍子抜け。 せめて美琴の妹にあたる美樹くらいは姉妹間のやり取りとか気持ちの整理を付けるイベント等をもっと良く描いて欲しかったところです。
 静音ルートでは美琴や主人公も含めた各キャラの気持ちの整理の過程が良く描かれ、割と良い感じでした。 ただ、この静音も主人公との仲が進展する流れはかなり不自然なんですよね。 主人公が他ルートでは考えられないくらい積極的に静音にアタックしていて殆ど別人格に感じました。 やってることはストーカーそのものだしねぇ(苦笑)。


 エロシーンは1人あたり1〜2回。 シーン描写はシナリオ展開同様にあっさり味ですね。 CG枚数はそれなりに(と言っても1シーン3枚ほど)ありますが、尺はかなり短いです。
 まぁこのエロシーンの薄さは半ば予想通りではありましたが…エロシーンへの入り方がかなり不自然で「ちょっと待て、ここでいきなり盛るかオマエら?」と感じるものがいくつかあり、もうちょっと自然な流れに出来なかったものかと。
 ただ、弓道袴や浴衣や巫女服などの和服系の半脱ぎHが多かったのは個人的に高評価してます。 それにスレンダー系のキャラが多く、乳のサイズも微妙に小ぶりというのもさりげなく好ポイント(笑)。


 システムまわりは目立った不具合もなく安定していました。 ただメッセージの既読判定で、全く同じテキストなのにルートが異なることで未読とされる箇所がいくつかあったので、同じメッセージは全てスキップするようにして欲しかった。
 あとは音声再生で名前を発音しないのがマイナス。 しかも「〜くん」の部分だけは声ありなので凄く不自然に感じてしまいます。 こんな不自然に再生されるよりは全てカットしてくれた方がマシ。 理想としてはデフォルト名の場合には名前も発音してくれることですけどね。

 CGの方はかなり良質。 個人的に気に入ったキャラデザインという事もあるでしょうが、全体的に綺麗に描かれていてかなり満足できました。 枚数の方もボリュームを考慮すれば及第点かと。
 BGMは特に印象に残ったものは無かったですが、OPとEDのボーカル曲はかなり良かった。 OPムービーも悪く無かったですけど本編と関係無いカットばかりというのはどうなんだろう? 静音が般若面を付けて舞ってるカットとか何事かと思いましたし(笑)。


 苦言ばかり書いてしまいましたが、とりあえず一番の不満点は「描写の淡白さ」に尽きます。 これさえもう少し…せめて静音ルートのクオリティで描いてさえくれたら、全体的な流れはそう悪くないしCGは綺麗だし曲もよさげでシステムも安定した良作〜佳作クラスになったんじゃないかと感じられるので、非常に惜しいですね。


以下、キャラ別の雑感(ネタバレあり)。


有賀 美琴
 主人公の幼なじみで弓道で全国二連覇中の有名人。 初期状態で既に主人公への好感度MAXだがゲーム中の扱われ方はひたすら不憫。 個別ルートも一番あっさりしてるし、他ヒロインルートでも癇癪起こして当り散らしたりするマイナスイメージのイベントが多め。 あと両親が既に他界してると言った設定などがほとんど活かされてないのも勿体無い。 まぁ個人的には結構気に入ったキャラではあるんですけどね。

有賀 美樹
 美琴の妹で弓道部所属。 姉の主人公に対する想いに気付きつつも美樹も主人公に好意を抱いてるという設定。 …の割りに主人公が気付かないほど長い間会っていなかったのが何とも不自然ですね。 まぁ主人公が鈍感なだけかも知れませんが。 美樹ルートでは主人公にも美樹にも美琴に対する後ろめたさとか主人公を巡っての姉妹のやり取りが無くって拍子抜けしました。 一番見せ場的に盛り上がりそうなのにねぇ。

柊なぎさ
 主人公のクラスメイト。 やっぱり主人公に最初から好意を抱いていて水泳部もよく見学していたらしいが主人公はゲーム中になぎさのフルネームを知るというくらい相手にされてなかったヒロイン。 なぎさの自信の無さはそれなりに描けてたけど美琴と親友という設定をもう少し上手く描いて欲しかった気がします。 個別ルートでは眼鏡のあり無しを選べるのが有難い。 眼鏡の無いなぎさは結構可愛いです。

中田 鈴愛
 主人公の義妹。やっぱり初期状態で主人公を異性として意識している。 スズメの兄妹とかビスケットの件とかイマイチ設定を上手く活かしきれてない気がしますが、幼い頃の看病イベントなんかは鬱陶しいくらいに詳しく描かれているのが謎。 更に主人公は美琴に未練たらたら状態で鈴愛とHしちゃうのもなんだかなぁと言った感じです。 ラストの微笑ましさが怖いよ。

護国 静音
 他校の生徒で美琴の弓道でのライバル。 神社で住み込みで巫女をしていて唯一主人公とは面識の無いキャラ。 けど先にも書いたように主人公の静音への執着っぷりが凄く不自然に感じました。 個別ルートでの美琴とのガチ修羅場はこのゲームで数少ない見せ場だと思います。 あと関係ないけどマニュアルには制服姿の静音が描かれてるけど本編でこの立ち絵って無かった気がするのですが…私が見逃しただけかな?


お気に入り順は
美琴 = 静音 > 美樹 > なぎさ > 鈴愛


私的満足度: ★★★★★+ ☆☆☆☆☆

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