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はぴねす! −happiness−
発売日:2005.10.21 / ういんどみる
 Trueエンドを終えてコンプリート。CG・回想共にALL100%。 所用時間は1stプレイで約6時間、コンプまでは16時間前後と言ったところです。

 全国でも珍しい魔法科のある瑞穂坂学園。 そこに通う主人公「小日向 雄真」は幼い頃は魔法が使えたものの今は普通科の生徒として在籍していた。 その瑞穂坂学園の魔法科校舎が新学期前に爆破されるという事件が発生したことで一時的に普通科と魔法科の生徒がクラスメイトとして過ごすことになるのだった…というあらすじ。


 魔法が当たり前に存在するという独特の世界観が舞台になっている恋愛ADV。 ゲーム自体は選択肢を選んでいくだけで進行するオーソドックスなタイプですが一応クリア順規制があり、初回プレイ時では春姫か杏璃のエンドしか見れません。 エンド総数は4+Trueエンドの計5種類で、Trueルートへは他の4つのエンドを全て見た後に入れるようになっていました。 選択肢の数は少なく難易度は低めです。


 独特な世界観に対しての掘り下げ描写はほとんどありませんけど、前半はほのぼの、中盤はヒロインとのイチャつき展開、後半は割とシリアス…という同社の『結い橋』と似たような感じで、ういんどみるらしいゲームと言った感じ。

 シナリオはヒロイン個別の4つとTrueの計5つが存在しますが、どのシナリオでも各キャラの思惑や目的、それに伴う行動は大体統一されていています。 とは言っても既読スキップしまくりの同展開という訳ではなく、主人公が依存するヒロインによって違った視点から同じような流れが語られるという感じなのが思いの他楽しめました。
 例えば春姫ルートだと主人公と春姫は仲間達には内緒である事件の調査をする流れがあるのですが、杏璃ルートだとその調査は春姫一人で行っていて、理由を知らない主人公と杏璃は春姫を不審に感じて尾行する…という具合に大まかな流れは一緒だけど微妙に異なる展開になっていて、しかも他ルートでは語られなかった(知らなかった)キャラの思惑なども知ることができたりと、ある程度事情を知ってるプレイヤーにも飽きさせない工夫がされていたのも高評価。

 そして最後のTrueルートでは、それまで断片的に描かれてた各キャラの思惑や行動が一つのルートとして纏められた集大成という感じになっています。 んで、全員の思惑や行動が見れるということは各ヒロイン達のフラグもビシバシ立っていく訳で、ヒロイン達の主人公への想いとか他ヒロインを警戒する様とかが垣間見れる「プチハーレム」的な展開なのも個人的には高ポイント(笑)。 まぁエロシーンは特定ヒロインしかありませんけど、最後のオチなんかは結構ツボでした。 もし『はぴねす!P・R・O』とか出るんならTrueエンド後の展開になるんじゃないでしょうか(笑)。

 ただ、大まかなシナリオ展開や構成は良かったけど、細かいところでは色々と不満もありました。 いくつか挙げていくと、
 ・序盤の日常描写は欠伸が出るほど退屈なこと。
 ・伏線になっていない伏線のせいで先の展開が容易に読めてしまうこと(特に春姫)。
 ・衝撃の事実を知るシーンがあっさりしてること。
 ・魔法戦闘はエフェクトが派手なだけで戦闘描写としてはお粗末なこと。
 ・ラストがご都合主義かつ青臭くて見てるこっちが恥ずかしかったこと。
などでしょうかね。
最後のは個人的な嗜好が多分に含まれてますけど、三番目のは特に主人公の実母の件などで「なんか今さらりと凄く衝撃的なこと言わなかったか?」って感じでうっかり読み流すとこでしたわ。 これはこれで印象に残ったので恐らく狙ってやったのだと思いますけど。

 まぁ個人的にこのゲームは萌えゲーだと認識しているのでシナリオ的な不満はあまりマイナスにはなっていません。 逆に大まかな構成が予想よりずっと良かったので期待以上の出来だったとも言えるかも。

 で、萌えゲーとして最重要なキャラ描写に関しては…一言で書くなら…無難?
こーちゃ氏のほんわかしたキャラ絵やういんどみるお得意の立ち絵の動きは相変わらず良い感じでした。 キャラの性格や設定も少々型通りで面白みに欠ける感じを受けましたが、それだけに安定感はあったと思います。
 ただ安定し過ぎていて個人的には物足りなさも若干感じたかなぁと。 先述したように先の展開が容易に読めてしまえるのも微妙にキャラ的な物足りなさを助長している感じでしたが、あまり高望みするのも贅沢かも知れませんね。 客観的に見て萌えゲーに恥じないラインナップになっていたと思うし、主人公もなかなか積極的に行動してくれるタイプなので居心地よくキャラとのやりとりを楽しめると思います。
 ちなみに、このゲームで一番キャラが立っていたのはヒロイン達ではなく、主人公の友人キャラでオカマでもある「渡良瀬 準」でした。 非常に美味しいポジションで主人公やヒロイン達への気配りも非常に良く、彼(?)が居なければ主人公は誰のエンドも迎えられなかったでしょうね(笑)。 今回は残念ながら個別ルートはありませんでしたが、FDが出るならきっと…。性転換なんてしなくていいから…。男のままで良いから…。どうか…。


 エロシーンは1ヒロインあたり3回発生します(Trueルート除く)。 全員処女なのはもうこの手の萌えゲーのお約束ですな。 ヒロインが快楽に喘ぐ様もなかなか良いですが、萌えゲーらしく恥ずかしがる仕草や主人公とHすることに感極まる描写もあって萌えイベントの一つとしても良い感じじゃないでしょうかね。
 全ヒロイン共に正常位、後背位、フェラが実装されていてヒロイン毎の差はあまりありません。 またフェラ→射精→正常位→射精とほとんどシーンで2回戦以上を実装しているのも若さ溢れていて良いのではないでしょうか。 ただシーン描写は喘ぎ声メインであまりテキスト的なエロ描写や卑語の乱発という展開ではありませんし、複数Hに関してはTrueルートでは当てはまりません。


 とりあえず細かい不満点はいくつかありましたが、気楽にプレイできて萌え分も補充できるこのメーカーらしいゲームでした。 『結い橋』が気に入っている人になら満足できると思いますし、客観的に見ても萌えゲーとしてなら十分楽しめるんじゃないかと思います。


以下、キャラごとの雑感(ネタバレあり)。


神坂 春姫
 瑞穂坂の才媛と言われるほど容姿端麗・成績優秀・品行方正な魔法科の優等生。 主人公とは幼い頃に出会っていて春姫が魔法を志したのも当時の主人公の影響。 シナリオ展開はその過去を春姫が気付いたあたりからが見所…だと思うけど、伏線になってない伏線のおかげで予定調和で進んでるようにしか見えないのが難ですね。 それと個人的には優等生すぎる感じがしたので、もう少し可愛らしい弱点とかあった方が良かったかも。

柊 杏璃
 春姫をライバル視している魔法科の生徒。なかなか良いツンデレでした。 Oasisバイトの先輩として主人公を指導するシーンとか結構お気に入り。 転倒しそうな主人公を魔法で助けたり、先輩と呼ばれて迂路たえたりと言った仕草が良い感じで普段の強気な性格とのギャップになっていて素直に萌えられます。 オヤヂっぽいくしゃみ「ぶえっくしょん!…ってかぁ!!」がなんか妙に気に入った(笑)。

高峰 小雪
 不幸な占いがよく当たる魔法科の先輩。四次元ポケットの持ち主。 デートしたときに主人公の袖を掴む仕草が素で萌えますな。 ただ、他のヒロインにも少なからず言えることですが、小雪の場合は特に主人公を好きになった経緯が不明でした。 どうもゲーム開始時点で既に気がある感じですが、このあたりの描写はほとんど無いのが不満かな。

小日向 すもも
 主人公の義妹。 魔法は使えず、全ルートで唯一魔法戦闘とは無縁の展開で恋愛色が強いのが特徴でしょうか。 他ルートではそれほどでもないのに、すももルートだと独占欲がかなり強い娘になってしまってちょっと戸惑いました。 ただ春姫も後で話が拗れるのが判りそうなのに何故そこで主人公に弁当を渡すかなぁ…って感じで先の展開が容易に読めてしまうので、物語への吸引力はあまり無かったです。

式守 伊吹
 古風な口調と尊大な態度の一年。すももの親友(?)。 全ルートに絡むキャラで何気に真のヒロインだったりするのでしょうかね。 もうちょっと主人公にいぢられる様とか、エピローグ前のデレ期を多めに描いて欲しかったです。

上条 沙耶
 古風な大和撫子(絶滅危惧種)。おまけでシスコンの兄付き。 このキャラも全ルートに絡むのになんか扱いは少々不憫に感じました。 できれば個別ルートが欲しかったところです。


キャラのお気に入り順は
 杏璃 > 小雪 = 沙耶 >> 春姫 > すもも > 伊吹 かな。

 ただ、主人公の実母(鈴莉)やすももの母(音羽)を加えるとまた大きく違ってきますけどね。 つーか鈴莉はともかく音羽さんは個人的に準に匹敵するほど美味しいキャラなので、えちぃシーン…という贅沢は言いませんが、せめてなんらかのCGイベントくらいは欲しかったですよ…。


私的満足度: ★★★★★ ★☆☆☆☆

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