Rascal・改 − Game Impression
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青の扉 白の鍵
発売日:2000.06.09 / cyc

◇ あらすじ

 大学生の主人公「庄野 拓己」は周りの失笑も省みずに日々真面目に勉強に打込んでいた。 そんなある日、大学の帰り道で車を運転中に足の古傷が痛み出し、それに気を取られたために事故を起こして入院する破目になってしまう。
 そして入院生活を送っている中で様々な人達と触れ合ううちに主人公は「自分が何の為に努力していたか」そして「何をしたかったのか」を再認識させられることになる。 再び「夢」に向かって努力しようとする主人公。だが…。


◇ ゲーム概要

 病院内を移動しつつヒロイン達とのコミュニケーションによって進行していく場所移動型の恋愛ADVです。 移動は1日に朝、昼、夕、夜の4回行うことになりますが、移動先には誰が居るのかが一目でわかるような全体Mapが表示されるのでお目当てキャラを追いかけていくのは楽です。
 会話はプレイヤーが「食べ物」「音楽」「趣味」といった話題を選択するのですが、序盤は選択できる話題も一度に会話できる回数も少な目。しかし好感度が上がってくると「恋愛」や「家族」といった一歩踏み込んだ話題も選択できるようになり、一度の出会いで何度も話題を降ることが可能になってきます。

 それと面白いのが「お調子者プレイはNG」ということ。 例えばある猫好きなヒロインとの会話で「僕も猫が好きなんだ〜」といった会話をした後、別の猫嫌いのヒロインに対して「僕も猫は苦手でさぁ〜(へらへら)」といった行動を取るとかなり嫌われるようです(笑)。

 ゲーム期間は入院初日の5/22から約一ヶ月間ですが6/11までにお目当てのヒロインから“鍵”となる会話を聞いていないと一ヶ月経たずにBadEndになります。
 攻略可能なヒロインは5人。 しかしお目当てのキャラだけでなく、別ヒロインの境遇とかがシナリオに関わってくる場合があるので他の娘達ともある程度は親しくなっておく必要があったりと難易度は少し高めかもしれません。


◇ システム

 インストールは標準の200MBと完全の750MBの二通りから選択でき、完全インストールの場合はメディアレスで起動可能。
 画面はデフォルトで640×480の窓で、他にフルスクリーンにも切り替え可。 メッセージは「CTRL」or「SHIFT」キーでスキップができます。 但し既読・未読のチェックはしていません。 それとゲームとは別のconfig.exeを実行すると「走馬灯モード」にチェックを入れる事ができ、これをONにするとテキストログ閲覧機能も備わります(但しサポート外)。 config.exeは他にもメッセージ枠やカーソル形状、メッセージスピードの調整、etc…が設定可能なので色々とカスタマイズしてみるのも良いかもしれませんね。

 セーブやロードはゲーム中にいつでも可能で計48ヶ所まで登録することができますし、保存したときの画面状態やゲーム中の日付、セーブした時刻も表示してくれるので非常に有り難いです。


◇ グラフィック

 原画・キャラクターデザインは「如月 かん奈」さん。 キャラデザインは結構気に入りました。 立ち絵パターンが数種類あるのもマル。 初回特典に付いてるポストカードの絵柄も良かったです。

 CGもかなり綺麗です、特にエロシーンはスクロールする大CGも数枚あるし、枚数も若干多めに使用しているので満足。 フィニッシュ時の効果はちょっと苦笑ものでしたけど…。 あと背景は絵画タッチ(?)で面白いと思います。

 CGモードは最初から「おまけ」メニューがあり、そこから入れます。 CGは各キャラ毎にサムネイル表示されエロシーンの回想モードもありました。


◇ サウンド

 BGMはMIDIで曲数は16曲。 最近はCD-DAとかOP主題歌とかが多いのでインパクトの点では若干弱いですけど「オープニング」などの静か目な曲がなかなかよさげでした。

 CVはヒロイン5人がフルボイスでどの声もキャラに合ってたし演技の方も良い感じだったと思います。 BGM鑑賞はCGと同様に最初からある「おまけ」メニューより入れました。


◇ 感想まとめ

 プレイし終わってまず感じたのは「堅実な出来」という言葉がよく当てはまるゲームということ。 扱っているテーマ、シナリオ展開、ゲームシステム、CG、BGM全てに良い意味での生真面目さを感じる…というかプレイする人の立場での遊び易さとか要望をよく研究してるなぁという印象を受けます。 スタッフの方達にベテランが多いからという理由だけではこれほどの物は出来ないんじゃないでしょうかね。 とにかく色々な意味で手堅い作りになってると思います。

 シナリオはどのヒロインでも「目標(夢)を実現させる為に頑張ってた筈の主人公が、いつの間にか努力することだけが目的になり本来の夢を忘れかけていた。そんな中、病院内で出会ったヒロインの境遇や生き様を垣間見ることで主人公は本来の目標を取り戻し、ヒロインと共に歩んで行こうとする。」という基本的な流れは同じで、夢を取り戻す経緯やその後の展開がヒロイン毎に異なってきます。
 こういう作りの場合、最初の数回は良くても後半は飽きてくることがありますね。 このゲームも2nd以降はラストの展開が判ってしまうのでやや冷めた感じでのプレイになってしまいましたけど、それぞれのシナリオでの他ヒロインのシナリオとの絡ませ方とか展開が工夫してあるし、どのシナリオを見ても各キャラの設定が矛盾していないのは高評価できると思います。

 ただ演出面は若干弱めかも。 似たような病院物での『Treating 2U』(BLUE GALE)ではボーカル曲を入れたり幼い少年などのサブキャラ達を上手く絡ませたりして盛り上がるシーンがありましたけど、このゲームは重い話でも淡々と進んで行ってしまう印象を受けてしまい少し残念でした。 あとラストの展開もご都合主義的なものは無いので人によって納得いかないと感じるかも知れません。

 エロシーンは1ヒロインに対して2回あります。 どちらも薄すぎず、濃すぎずの無難なとこですけどCGの処でも書いたようにCG枚数が多めですし声優さんの演技も良いので個人的には満足。

 決して難易度は低くないですが、会話システムなど良く出来ていますし、スキップを使えば1プレイ1〜2時間くらいなので繰り返しプレイもあまり苦にならないかと。 ちょっと「痛い」系のシナリオが好きなら尚更楽しめると思います。


◇ お気に入りキャラ

 「橘 史絵」かな。 最初は病弱お嬢様かと思ったら陸上選手だったのね(笑)。 キャラ的に気に入ったというのももちろんありますが、エロシーンへの入り方も一番自然に感じましたし、 安易にハッピーエンドとしない展開だったのも高評価してます。


私的満足度: ★★★★★ ★★★☆☆

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