Rascal・改 − Game Impression
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クリーク・クリーク 〜先生、私も戦います!〜
発売日:2005.08.19 / cyc
 CGの抜けは結構ありますけどエンドは一通り見たと思うので終了。 所用時間は1stプレイで約8時間。その後、計20時間ほどプレイした段階での感想です。

 五つの学園が統合されていた巨大学園都市「備波市」。 そこの各学園のまとめ役である教頭達は自己の保身のみに執着するようになった為、若き教頭「天ヶ瀬 彫」は教育環境の保護を名目に学園内のいくつかの施設を占領してしまう。 それをきっかけに学園内施設の占領をかけて五つの派閥に別れて争うことになった。 これに対し学園の統合局は「黒川 和泉」を新任教頭として派遣し、事態の収拾を図るのだった…というあらすじ。


 学園都市の統一を目的とした戦略SLGで、一定期間内(一年間)に全てのエリアを統一することが最終目的。 ゲームは1ターンが一週間単位になっていて、以下のフェイズをこなしていくことで進行します。
 ・準備フェイズ   = 施設の建設
 ・交渉フェイズ   = 人材訪問または登用、忠誠度調整
 ・コマンドフェイズ = 戦闘準備と戦闘

 全部で18に区切られたエリアを六つの勢力が争うことになりますが、プレイヤーが選べるのは二人の主人公のうちのどちらかだけ。 初期段階ではどちらの主人公も難易度的には大差なく、黒川和泉のほうが若干ヒロインキャラを仲間にするのが楽な程度。
 エンディングはどちらの主人公でもノーマルエンドとTrueエンドが存在します。 前者は普通に全エリアを統一すれば見れますが、後者は条件となる特定のイベントを全て見た後に統一する必要があります。 普通に統一するだけなら5ヶ月もあれば余裕ですけど、True条件を満たすには特定キャラを仲間にする必要があったりと結構苦労しました。 他に時間切れエンドと、後はバッドエンドもあるのかな?

 戦闘シーンは最大3人編成のリアルタイム形式で進行し、「攻撃」「防御」「特殊」の各コマンドを実行していく仕様。 ユニットの能力に加えて率いてる学生数なども要素として関わってくるのですけど、色々と細かい要素まで書くと大変…というか面倒なので、私が感じた印象を率直に言わせて貰いますが…ハッキリ言って「つまらん」の一言に尽きます。
 確かに細かい要素によって攻撃力や防御力に差が出ますけど…そんな要素をイチイチ確認するよりもジェットストリームアタックよろしく三人の波状攻撃をひたすら繰り返すという“力技”だけでクリア可能な戦略性の無さが拍子抜けでしたわ。
 そんな単調な戦闘を17回も繰り返すことを強いられても面白さを感じる訳もなく、個人的には嫌がらせ以外の何者でもなかったです。

 ヒロインキャラ…というかエロシーンの存在するキャラは全部で15人。 このヒロイン達は二人の主人公のどちらでプレイしても全員仲間にすることは可能です。 この他にも目が描かれていない汎用キャラが沢山存在するのですが、能力的にはヒロイン達と差は無いものの、どんなに報酬額を上げても忠誠度が毎ターン下がっていき終いには去ってしまうので使い勝手が悪い印象を受けました。

 ヒロインを仲間に引き込む手段はいくつかあって、最も簡単なのは未所属のキャラを交渉フェイズで登用する…というものですが、この場合は汎用キャラとほとんど同じ扱いになってしまいヒロインとしてのメリットがないのでエロゲ的にはNG。

 エロゲらしい方法としては、戦闘に勝った場合に負けた女性キャラを“契約”という名目でHして無理矢理従わせる…という展開があります。 主人公を慕ってるヒロインに対して別の主人公でプレイした時にこのイベントを発生させると「寝取ってやったぜ!」という達成感を感じられてなかなかグッド(笑)。 全ヒロインにそれ用のCGが用意されているのでCGコンプを目指すなら必須と言えるのですけど、これを見る為にはお目当てのヒロインを戦闘後に捕らえる事が条件となるため、9割以上は“運”の要素が必要になるのが難点。 私がCGコンプを断念した理由はまさにコレで、戦闘に勝利しても十中八九逃げられるので徒にストレスが溜まるだけでした。

 あとはヒロイン自らの意思で仲間になるイベントが全員分用意されているので、各ヒロインとのやり取りや和姦系Hを楽しみたい場合はこの方法になるかと。 発生条件は特定ヒロインが既に仲間であることや所属してる勢力や特定の施設を保持してることなど…色々な条件が複雑に絡み合って難易度は高め。 ただ初回特典で攻略情報の入ったCD-ROMが付いてたりするので、それを見れば何とかなるかと。 ちなみにイベントや“契約”で仲間になったヒロイン達は忠誠度が下がりません。
 ただ、この登用イベントはヒロイン一人あたり複数ターン必要になる上に、1ターンに1回しかイベントが発生しないのでイライラしてきます。 つまり複数ヒロインの登用条件が揃っていてもイベントが発生するのは常に1人だけで、ようやく1人の登用イベントが終わった頃には残りのヒロイン達は条件を満たさなくなっている…なんてことが何度もありました。 一応1プレイで全ヒロインを仲間にすることは可能でしたが、あまりにも時間が掛かりすぎた為にTrueエンドの条件を満たす時間が取れませんでした。 なんか、根本的にゲームデザインに難ありなんじゃないかなぁと感じます。

 イベント内容やシナリオ展開に関しても正直言って期待外れ。 天ヶ瀬彫ルートだと主人公の価値観がヒロイン達によって段々と変わっていく様がなかなか良かったと思いますけどイベント自体がかなり淡々としているし、1ターン毎にぶつ切りで発生していくので非常にテンポが悪いのです。 メインストーリー的なイベントとヒロイン個別のイベントを別々に発生させるようにして、更に1ターンで複数ヒロインのイベントが発生するような仕様だったらここまでダレることは無かったんじゃないかと思いますけどね。 各ヒロインの設定や掘り下げ描写はそれほど悪くは無かったので、やっぱりローテンポなのが最大の難点のような気がします。
 後は…個人的な趣味嗜好に寄るところも大きいのですが、ヒロインキャラに魅力を感じなかったのも痛かった。 どちらの主人公でも眼鏡キャラの「市比野なくる」に入れ込んでいてイベント発生率も高いのですけど、私的にはかなりどうでもいいキャラだったので見ていても楽しめなかったのです(苦笑)。

 また、他勢力の教頭達は好き勝手にエリア拡大を行っているだけで、そこに物語的な要素は皆無。 他社のタイトルと比較すのも難ですけど例えばアリスの『大悪司』のように一定ターン経過でイベントや敵勢力の侵攻がはじまると言った展開は全くありません。 まぁこのあたりはプレイヤーのペースでプレイ出来るというメリットがありますけど、ライバルに相当するキャラが失脚しても何のイベントも発生しないのは寂しすぎです。 かと思えばヒロインイベントにさり気なく失脚したはずの教頭が登場したりと、ゲーム展開とシナリオの整合性が全く取れていないのも難点でした。

 エロシーンは各ヒロイン毎にイベントHと戦闘で捕虜にした時の契約Hの2種類。 それが二人の主人公別にあるので最も多いキャラで計4種類と言ったところでしょうか。 ただ前戯だけとか、レズシーンの絡みを眺めてるだけと言ったものもあるので全員とHできるという訳ではありません。 つーか、何故シスター・ノエルと杖立夜早歌に挿入シーンが無いのかと(ry
 シーン内容は薄味で尺も短め。 使用CGも1枚+差分という物がほとんどなので実用度は低いと思います。 数だけはそれなりにあってシチュエーションが割と豊富な事と、一部声優さんの演技が良かったことが好評価ポイントと言ったところでしょうか。

 システムまわりも少々扱い難い印象を受けます。 イベント発生中にセーブ不可…はまだ良いとして、セーブリストの選択はもう少し何とかならなかったのでしょうか。 あとはキャラ毎の立ち絵の比率が変じゃないかと。 ごつい男キャラよりヒロインの方が顔がでかく描かれていて凄く気になりました(苦笑)。

 サイクはかつて一般PCゲームでそれなりの知名度を誇った某ゲームの製作スタッフが立ち上げたブランドなのでこのゲームも結構期待していたんですが、いざプレイしてみると良かったところを探すのに凄く苦労するくらいトホホな出来で、正直「やっちまった」と感じましたよ。 まぁ製作自体は外注(?)のようですが、期待が大きかっただけに満足度は低めです。


私的満足度: ★★★★☆ ☆☆☆☆☆

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