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神語 〜かんがたり〜
発売日:2000.06.30 / EuphonyProduction

◇ あらすじ

 主人公「神崎 愁」は私立大和川学院に通う二年生。 三年前から両親が行方不明のため、一人暮しをしているが、近所に住む幼なじみの姉妹と共に比較的平凡な生活を送っていた。
 やがて季節も秋が終わりに近づいてきた頃、主人公の通う学院で魂が抜けたように意識不明になるという奇病が相次いで発生しはじめる。 いつもと変わらぬ生活を送っていた主人公もその奇病を目の当りにすることになり、その事件に関わるうちに 今では架空の存在と成り果てた神々の名を聞き、同時に大きな陰謀に巻き込まれていくことになるのだった。


◇ ゲーム概要

 メーカー曰く「学園神奇AVG」らしいです。 ゲーム開始時にプレイヤーは幾つかの質問をされ、主に好みの女の子の設定や性格を答えてからの本編突入になります。 ゲーム自体は「〜をする/しない」といった2〜3択の選択肢を選んでいくことで進行していくもので選択肢の数はそれほど多いものではありません。

 ゲーム期間は49日。攻略対象ヒロインは多めでレギュラー扱いの娘だけだと8人…かな。 はっきりとした事は確認してませんが、ゲーム開始時の質問の回答によってヒロイン達の初期好感度が変化するようで、ゲーム中の選択肢が同じでも攻略できるキャラに違いが出る感じを受けました。 開始前の最後の質問は結構重要で、この回答によって恋愛ルートと鬼畜ルート、そして特定の(若干特殊な)キャラを攻略するルートに別れるようです。


◇ システム

 DirectX版とNormal版のどちらでプレイするを選択可能。 インストールは最小10MB、最大300MBの二通り。 画面サイズは640×480の窓とフルスクリーンから選べ、デフォルトではフルスクリーンです。

 メッセージ速度は標準と高速がありますが、今回は会話の時のメッセージ枠が上下二箇所で表示されるため高速でノーウエイト表示になると どちらのメッセージ枠のテキストが変化したか判り辛いいのが難点かな。 標準の速度だと今度は遅すぎてイライラするんで、もう少し工夫して欲しかったです。 メッセージ枠分割は個人的に好きですけどね。

 セーブやロードはゲーム中の好きな時に計8ヶ所まで登録可能。 登場するヒロインの数を考慮すれば圧倒的に少ないんで、この辺もなんとかならんかったんでしょうかね。


◇ グラフィック

 原画は「神崎直哉」さん。キャラデザイン、CGの塗り共に「地味」という印象を受けます。 特に立ち絵はパターンも少なく、背景も実写を加工したっぽいものなので、ゲームの雰囲気が損なわれない程度にもう少し映える配色にしてもよかった気がしました。 あとゲーム期間の割にイベントCGも少ないのが残念です。

 CGモードやHシーンの回想は最初から入れます。 キャラ毎にサムネイル表示されるんですけど未見CGでもフィルタや黒ベタで隠されてなく「閲覧不可」の文字が被せてあるだけなので思いっきりネタバレなんですけど…加えて細かいバグもちらほら見受けました。


◇ サウンド

 BGMはMIDI(GM・GS)とCD-DAから音源を選択可能で曲数は18曲。 私はずっとCD-DAでプレイしていました。 ゲーム中に偶に再生されないシーンがあったものの曲自体は結構良いと思います。 エンディングではボーカル曲がかかり、これもなかなか良いですね。

 音声は無し。今までアセンブラージュ系では音声入りが殆どで、演技の方も良い感じだったので非常に残念。 音楽モードはCGと同様に最初から入れるようになってます。


◇ 感想まとめ

 まず一言いわせてくれい…「主人公、あんたモテすぎ!」。 一人暮し。授業中はいつも寝てるというお約束な設定で、勉強しなくても知識は豊富。 喧嘩もやたら強くて街の不良どもは名前を出せば道を開けるほどの有名人。 容姿端麗で包容力もある上に恋愛沙汰に鈍くてぶっきらぼうな性格という“最低野郎”なんですけどねぇ(ヒガミ度1024%)。 まぁこんな主人公なんで「いつの間に好かれてたの?」という問題は強引に解決されてますけど(笑)。

 シナリオは「日本書紀」とか「古事記」などの素材が使用されていて「八百万神」の難しい漢字を使った単語がそれはもう大量に出てきます。 まぁゲーム中は丁寧に解説してくれるので極端に拒絶反応を起こさない人ならまず大丈夫ですし、私的にはよく調べてるなぁと感心することしきりでした。

 展開はかなり「熱血臭さ」を感じて読んでるこっちが恥ずかしくなるシーンも有りましたが、各キャラの個性はよく出ていたし物語の組み立て方もなかなか良いですよ。 最終イベントの他に中盤にも大きなイベントを用意していて、序盤はその中盤イベントにプレイヤーの目を向けさせておいてから、「実は…」と更なる展開を見せるパターンなんですけど、予想してたよりも大分ボリュームがあったので中盤以降も続きがあったのは意外でした。

 そして何より嬉しい誤算だったのが、お気に入りキャラにもなってる「照」シナリオ。 他シナリオでの照は思いっきり忘れられてる存在なのが残念ですけど、この手の話と展開はかなり好きです。 すっかり時間を忘れて読みふけってしまいました。 ネタバレになるので詳しくは省きますが、照がラスト付近で「照の妹」に対して叫んだ台詞と憎悪、そしてその状況を作ってしまった「照の妹」の心情とかが凄く印象に残ってます。 オチに関しては賛否あるようですが、私は特に白けることはなかったです。

 不満点はシナリオよりもゲームシステムですね。 「照」以外のシナリオは殆ど同じような展開で進むので繰り返しやってると飽きてきます。 もちろん若干はキャラによって異なるのですが、メッセージスキップを多用してるとうっかり読み飛ばしてしまうことが多々ありました。 それとレギュラーキャラ以外のハッピーエンドは蛇足だったと思います。 あまりに突然に心変わりして思いっきりプレイヤー置き去り状態でした。
 他にもテキストと表示キャラが一致してないとか、最初の質問に答えた女の子の好みがゲーム中の主人公の台詞に反映されてないとか、遭遇してないイベントのことが語られたりと結構な粗が目立ったのが惜しいです。

 エロシーンは登場するヒロインの殆どが処女で和姦Hでも痛がる描写が多めなので、鬼畜・純愛ルートとも痛々しさを感じます。 鬼畜ルートはハーレム系エンド多数なので、本編とは別のおまけシナリオ感覚でプレイすれば結構楽しめるかも知れません。 また、バッドルートではヒロインが主人公以外に輪姦されたりするシーンがあり、輪姦シーンもその後の展開もかなりキツい描写になっているので、萌えエロゲーマーやアンチ寝取られな方はご注意を。

 先にも書いた通り少し物語が長くてプレイ時間は結構かかってしまいますけど、プレイされたら少なくとも「光」「神楽」「照」の3シナリオだけは終わらせる事をお薦めします。 他キャラは…お気に入り処をちょこちょこで良いんじゃないかな。


◇ お気に入りキャラ

 無口でどこか影のあるクラスメイトという設定になってる「天上 照」です。 彼女のシナリオは少し特殊なんですけど他が似たり寄ったりな展開なだけに新鮮だったし、ラストの展開はかなり気に入ってます。 小技イベントでも男物Yシャツ1枚姿とか一緒に温泉とか上目遣いに主人公を見つつスープを啜るCGとかなかなかツボを心得てます(笑)。
 幼なじみの「光」や、その義妹の「神楽」も結構よさげでした。


私的満足度: ★★★★★ ★★★☆☆

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