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はぁとでネットワーク
発売日:2000.12.08 / EuphonyProduction

◇ あらすじ

 近未来のネットワーク社会。主人公「狭山孝介」は転勤の多い両親の仕事の関係で一つの場所に落ちついて生活したことがなく、幼い頃から転校を繰り返していた。
 そんな主人公が幼年時代を過ごした街に引っ越してきたのは2年ほど前。 滞在期間としては長めで、友達付合いの悪い主人公にも数人の友人が出来始めたのだが…そんな折にまたもや両親から転勤の話を聞かされるのだった。
 引越しは約一月後。 それまで主人公はどのような学園生活を送ることになるのだろうか?


◇ ゲーム概要

 ネットワーク学園恋愛SLGということで、昼は主に学園生活、夜は主人公の両親が開発したオペレータの人工人格プログラム「無能ちゃん」と共にチャットやWebでの情報収集がメインで進行していきます。

 攻略対象キャラは5人。 それぞれにエンド1とエンド2の二通りのシナリオが用意されているのですが、無能ちゃんを除く全員のエンド1を見た後でないとエンド2は見れないようになっていました。 雰囲気的にエンド1はほのぼの恋愛物、エンド2は各キャラの設定にかなり深入りする切ない系のストーリーになっていました。

 難易度はゲームのコツを掴んでしまえば低めですね。 はっきり言ってしまえば初日の行動でエンドを迎えられるキャラが決まってしまうので、それに気がつかないとバッドエンドばかり…という状況になるかも知れません。 気がつけばイベントなんかは自動的に発生していきますし、エンド1と2の分岐も比較的容易に判るようになってると思います。


◇ システム

 インストールはDirectX版とノーマル版を選択した後、最小10MB、標準200MB、最大640MBの三通りから選んでインストールできます。

 画面サイズは640×480の窓とフルスクリーンの二通りから選択可能。 メッセージ速度は標準と高速の二通りから選択可。 スキップは未読チェックしてくれる他、メッセージの巻き戻し機能も完備されてます。

 セーブやロードはゲーム中にいつでも出来、計36ヶ所まで登録できるようになってました。 更にセーブした時の画面状態も保存してくれるので、再開時にわかり易くて良いと思います。


◇ グラフィック

 原画は「鬼頭えん」さん。 キャラの描き分けとかしっかりしてるし、個人的にはなかなか気に入ってる絵柄です。 立ち絵も表情パターンが豊富で良いですね。 『好きだよっ!』のときも表情パターンは多かったんですけど、ポーズがそのままで違和感を感じたものですが…このゲームではちゃんとポーズも表情によって変化するのがマル。

 CGの質もほぼ満足。 枚数的にも少ないとは感じなかったので特に不満は感じてません。
 CGモードはトップメニューからだけでなく、ゲーム中にもいつでも入れるようになってました。 エロシーンの回想モードもありますが、こちらはトップメニューからしか入れないようです。


◇ サウンド

 MIDIとCD-DAがあります。 MIDIはXGとGMから選べるようになってました。 私はずっとCD-DAでプレイしていたのでMIDIの方の音質は判りませんが、BGMは悪くなかったと思います。 それとOPとEDではそれぞれヴォーカル曲が再生されます。 EDの方はあまり印象に残ってないんですけど、文章書き中のBGMとして結構気に入ってますしOPの「はぁとでネットワーク」もよさげに感じてます。

 音声は攻略可能な女性キャラのみフルボイス。 ここのメーカーは声優さんの質は安定していますし、実際安心して聞いていられるレベルだと感じました。
 音楽モードはCG同様トップメニュー以外でもゲーム中にいつでも入れるようになってます。


◇ 感想まとめ

 近未来のネットワークを取り入れたゲームということでどんなモンかと期待半分、不安半分でのプレイだったのですが…やってみると「無能ちゃん」というオペレータが居る以外は今まで他社で出たネットを取り入れたゲーム(私のプレイしたものでは『Bless』とか『チャットしようよ』等)とあまり大差がなく、些か拍子抜けしたというのが正直なところです。 各シナリオの鍵となるのは確かにネットの情報なのですけど、物語の進行に関わるものはほんの一握りで後は全てゴミネタ…というのも折角の設定を生かしきれてないようで勿体無いと感じました。

 『はぷにんぐJOURNEY』『MyFriends』に続く恋愛ゲーム第三弾という位置付けで、このゲームのエンド1にあたるシナリオが前二つのゲームのノリ(なんか知らんが主人公モテまくりでお気軽に女のコと仲良くなれてハッピー)を継承しているようですね。 物語の舞台も「港が丘」で定番デートスポットのベルスクエアなどが出てきますし、制服も『Graffiti』や『はぷジャ』に出てくる物の改良版になっていて、知らなくても問題ないけど知ってるとニヤリとするようなモノがいくつかあったのは一ファンとしては嬉しいかな。

 で、今回はそのノリだけではユーザーが満足できないと感じたのか、いわゆる切ない系のお話を別ルートのエンド2として絡めてきました。 内容的には展開が急すぎたり演出が弱かったりして感動で大泣きするようなものでも無いのですが…これがお手軽ハッピー系のエンド1を一通り終わらせた後に続くものだから、予想もしなかった(できなかった)意表を突く形になって上手い演出だなぁと感じました。 …でもこの感想を読んだ後にプレイしたら意味ないですね…(汗)。

 エロシーンはエンド1、エンド2とも終盤に一回のみ。 恋愛ゲームらしく薄めのあっさり味に仕上がってました(苦笑)。 中にはエロシーンに入ることが不自然に感じて興ざめしてする場面もあったので、この辺りはもう一工夫欲しかったところです。

 このゲームは記録的な発売延期回数をマークしましたけど、そのかいあって私の環境では致命的な不具合も特に見当たらず(あったらキレるが)、ゲームの出来も無難〜佳作レベルは行ってると思うのでASMファンの人はもちろん、安心してプレイできる恋愛物としておすすめできると思います。


◇ お気に入りキャラ

 キャラで言えば主人公の従妹という設定の「斐川美奈」ですね。 彼女のエンド2あたりは『好きだよっ!』の某シナリオっぽくてアレなんですけどね…展開も急すぎだし(笑)。
 シナリオでは1番印象に残ったのがやっぱり「無能ちゃん」かなぁ…。


◇ 備考

 所要時間: 1プレイ2〜2.5時間 × 5回


私的満足度: ★★★★★ ★★☆☆☆

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