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思い出アルバム
発売日:2000.10.27 / TRABULANCE

◇ あらすじ

 木造校舎の取り壊しが決定した「桐沢商工」。 その最後の卒業生となる主人公「子安 裕一」は、今は無き父親に連れられて遊んだ思い出深いその木造校舎を何とか形に残したいという想いからアルバム製作委員に立候補することになった。
 こうして主人公と同じようにその校舎に愛着のある4人のメンバーとアルバム製作に取りかかるのだった。


◇ ゲーム概要

 昼休みと放課後に何処へ移動するかを指定することでヒロインと出会いコミュニケーションを取っていくタイプのADVです。 移動先の指定は選択肢で行うため、何処に誰が居るかは実際に移動するまで判りませんが、ヒロインは3人で移動先の指定も3ヶ所となっているのでセーブ&ロードの繰り返しでもそれほどストレスは溜まらないと思います。 基本的にはストーカープレイをすればOKのようで、難易度も低めに感じました。


◇ システム

 インストールには固定で231MBほどの容量を消費します。 BGMがCD-DAのためゲーム起動時にはCD-ROMが必要。 余談ですが、インストール時に使用したCDドライブ以外でゲームを起動するとフリーズしますのでご注意下さい(苦笑)。

 画面はフルスクリーンとウインドウモードから選択可能。 メッセージは速度調整やハンズフリーモード、そして通常スキップの他に既読スキップも備わってますが、いちいちメニューウインドウを開かないとスキップできないのは少々煩わしかったです。

 セーブやロードはゲーム中にいつでも可能で10×3の計30ヶ所まで登録できるようになっていました。 数的には十分なんですけど、10ヶ所を超えて保存する場合はTABで切りかえる必要があります。 このTABの位置は保存してくれないのでやや不親切に感じますね。 それと選択肢が出る度に自動的にセーブ画面を出してくれる設定もあって一見便利そうなんですけど…選択肢が出る間隔が比較的短いため鬱陶しくて全然使えませんでした。


◇ グラフィック

 キャラデザイン/原画は「山根正宏」さん。 ZyXの『あめいろの季節』等でも原画担当されてる方で、目が縦長なのが特徴です。 なかなかゲームの雰囲気に合ったキャラデザインになってると思います。

 CG自体も特に手抜きは感じずに好印象。 枚数は68枚と一見少なめに感じますけど、ヒロインが3人のため一人あたりの枚数はそこそこあると思いました。

 CGモード、及びイベント回想モードが一度エンディングを迎えた後に追加されます。 また、このゲームの初回限定版ではイメージ原画集も同梱されています。


◇ サウンド

 CD-DA再生の全17曲。 一日の終了時にアイキャッチが入るんですが、そのBGMを除くと16曲となります。 曲自体は落ち着いた雰囲気のものが多くてなかなか良いと思います。 ただ、どうにも耳に心地良いために眠気を誘われます(笑)。

 お気に入り曲は「おさんぽしましょ」かな。 またOPとEDではヴォーカル曲「思い出アルバム」が再生されます。 こちらの方は特にお気に入りって程ではなかったですね。 それと最初にゲームを起動した時、BGMのヴォリュームが最小になっていて主題歌が聞えなかったのでバグかと思いました。 この辺りもう少し気を使って頂けるとあり難かったかな。

 音楽モードはCGや回想モードと一緒にエンディング後に追加されました。


◇ 感想まとめ

 私は中学時代に校舎の半分が木造だったので、ちょっとノスタルジックな気分に浸れるかな…というのがこのゲーム購入の動機だった訳ですが、CGやBGMなどゲーム全体を通して醸し出される雰囲気は期待通りでなかなか良かったですよ。 言い方を変えると「かなり地味」とも言えるんですけどね。 登場キャラも青や緑やピンクの髪のキャラがキャイキャイと出てくる物ではないので萌えとかノリの良さを期待すると思いっきり外します(笑)。

 そんな訳で雰囲気的には落ち着いた大人の私にはぴったりだったんですが(ェ?、シナリオの展開…というか演出がどうにも私には合わなかったのです。
 卒業を間近に控えて、進路・部活・恋愛と色々と目標や悩み多き時期に突発的に入ったアルバム製作という作業が、それぞれが抱えてる目標や悩みとの両立が思うように行かなくて…という感じで進むんですが、ここまでは良いんです。 悩んでる内容も納得行くものでしたし。素朴な会話も好感持てます。

 問題は悩んでる時のヒロインの態度と悩みが解消するきっかけとその後の展開でしょうか。 ある日突然「私は悩んでるんだ、アルバム製作なんてどうでもいい、勝手にやってくれ、話し掛けないでくれ」という小学生みたいな態度を取るようになるんですが、そうなるまでの描写が不足ぎみで唐突に感じてしまい、なんかムカつきます。 それでもヒロインに話かけなければ進展しない訳で、癇癪を起こされるのを承知で「話し掛ける」を選ばなければならないジレンマがプレイ意欲を削ぐのに十分な効果がありました。 そんな選択肢を選ばせないで勝手に進めてくれって感じです。 これが3人中1人とかならまだ良いんですけど、3人ともこんな感じなので「悩みの表現はこれだけじゃないだろう」とか偉そうな事思いながらプレイしてました。

 そしてこれらの悩みは当然主人公によって解消される訳ですけど、この主人公は単に話を聞いてるだけです。 っていうかこれも描写不足のためにそう感じてしまいます。 そんな訳でいきなり悩んで、いきなり解消され、気がついたら告白されてた…って感じなんでもう勝手にしてください(笑)。

 エロシーンは…なんていうか独特な雰囲気があります。 エロシーンになると主人公はいきなり無口になって、ヒロインが台詞で状況説明をしてくれます。 なんか自慰シーンを見てるみたいでした(笑)。 CG枚数はそこそこ多めですけど私は引きましたね。 この独特のノリはこのメーカーのデビュー作『はるあきふゆにないじかん』に通じるものがあるかと。

 個人的には期待したノスタルジックな雰囲気は出ていたので大外ししたという感じは無いですけど演出面でもう少し工夫して欲しかったなというのが正直なところですね。 私が感じた不満点が気にならない方ならおすすめできますけど自信を持ってはおすすめできる物では無いと感じました。


◇ お気に入りキャラ

 誰か、と言われれば図書委員の「長沢 伶」かな。 でもこのキャラ、実は私の中では1番印象薄いんですよね…。 かと言って他キャラはムカついた印象の方が強いもので、どうも…(苦笑)。


◇ 備考

 所要時間: コンプリートまで5〜6時間


私的満足度: ★★★★★ ☆☆☆☆☆

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