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ぼくの巫女神さま
発売日:2000.12.23 / TRABULANCE

◇ あらすじ

 大学生の身でありながら宮司代行として萌葱神社へとやってきた主人公「葉月 亨」。 まもなく10年に一度の祭りである「海祭り」が行われるのだが、本来の宮司が入院してしまった為、主人公が宮司として祭りを仕切ることになっていた。
 そして萌葱神社の美人三姉妹との共同生活に心躍らせる主人公の前に、神社の氏神である「萌葱」が現れる。 彼女は強い霊力を持つ主人公がやってきたことで姿を現すことができたらしい…。
 海祭りが行われるまでの数日間、主人公はこの萌葱神社の住人達とどのような生活を過ごしていくのだろうか。


◇ ゲーム概要

 ゲームは2〜3択の選択肢を選んでいくことで進行していくオーソドックスなADV。 攻略可能なヒロインは6人。 終盤まではどのヒロインでもほぼ共通で進んでいくのですが、各ヒロインともエンディングを迎えるためのフラグが厳しくて同時攻略は不可能です。
 更にお目当てのヒロインのフラグイベントは他のヒロインに冷たく接した後に発生するものが多く、八方美人プレイをするとイベントの存在自体を知らずにバッドエンドへ…という事が結構ありますので難易度は比較的高めだと思います。


◇ システム

 インストール容量は約290MB固定です。ゲーム起動時にはCD-ROMが必要。

 画面サイズはデフォルトではフルスクリーンになってますが、640×480の窓にも切り換え可能。 メッセージは表示速度の調整や既読スキップを完備。 更にテキストログの閲覧も可能になっていて中々の充実ぶりです。 ただキーボードでの操作ができないのが若干不満でした。

 セーブやロードはゲーム中ならいつでも可能で、9×3の計27ヶ所まで登録できるようになってます。 基本的な機能はほぼ揃っているのでシステム面での不満は特に感じませんでした。


◇ グラフィック

 原画は「天織龍樹(あまおりたつき)」さん。 キャラの目がでかいっす(笑)。 人によっては若干抵抗を感じる絵柄かも知れませんが、私的には少々ウエストが細すぎる気がしたものの許容範囲かな。 ただゲーム中の立ち絵は背景との境界線がやたらと目立ってしまっているのが終始気になりました。

 CGの塗りに関してはまずまずの出来。 ただデフォルメ調の一枚絵がいくつかあるのですが、テキスト自体にギャグがてんこ盛りという訳ではないので何となく違和感を感じてしまいました。 枚数はそれなりにありますし、スクロールする大CGなどもあって悪くはないと思うのですが、やはりキャラデザインが受け付けるかどうかが鍵のような気がします。
 余談ですが、話の区切りの時に表示されるアイキャッチが各キャラの4コマ漫画になっていて地味に面白い。 どのキャラが表示されるのかはランダムのようです。

 CGモード及びエロシーンの回想モードは一度誰かのエンディングを迎えた後にトップメニューの「おたのしみ」より入れるようになります。 更におたのしみメニューには前2作のデモと次回作の予告も入ってました。


◇ サウンド

 CD-DA再生の全16曲(アイキャッチの時の曲は除く)。 私がトラヴュランスのゲームを多くプレイする理由の一つが「何気にBGMが良い」というのがあるくらいなんですが、今回は期待したほどでは無かったかな(苦笑)。 もちろん悪くはないんですけどね。

 OPとEDではボーカル曲「巫女神ロック」が再生されます。 前から思ってましたが、ボーカルの斎藤紀子さんって結構上手いです。 元気に唄う人なので聴いていて気分がいいのですよ。

 音声は無し。これはもうこのメーカーの「こだわり」なんでしょうかね。 音楽モードはCGと同様に一度誰かのエンディングを迎えた後に入れるようになります。


◇ 感想まとめ

 う〜ん、なんというか淡々と進むゲームです。 話の流れとしては…出会いから日常生活を通して互いに意識しはじめ、やがてちょっとしたすれ違いが起きるものの見事乗り越えて最後はハッピーエンド…という感じで、一応「起承転結」の基本パターンになってるんですけど、どうも各描写とも薄くてプレイヤーを惹き込ませるには今一つな気がします。

 序盤から中盤までの日常シーンに関してはイベントの前後に関連性が全く無いような単発のものが多くてどうしても淡々とした印象を受けてしまうし、キャラの魅力も活かしきれてないのが惜しまれます。 構成的にはRAMの『ねがい』や『恋ごころ』と似ているのですがイベントで受けるインパクトは明らかに劣ってますね。
 そして終盤の展開ではヒロインがある日突然主人公を避け始めたり、逆に主人公が突然ヒロインを鬱陶しく感じるようになったりと不可解な行動をし始め、その唐突な言動に戸惑ってしまいした(同社の『思い出アルバム』もそうだったなぁ…)。
 まぁヒロインの不可解な言動に関しては後にちゃんと説明がされていて(主に主人公の言動が原因だったりするのですが)主人公は「あぁぁ!そうとも知らずに俺ってヤツぁぁ!」と猛反省する展開なのですけど、この過程の描写が下手…というか都合の良すぎる展開な上にやっぱり淡々と進むので、プレイヤーである私はすっかり取り残されてました。

 エロシーンに関しては結構頑張ってる方だと思います。 何人かのキャラは巫女衣装でのHシーンがありますし、属性の人には満足いくシーンがあるかも知れません。 エロシーンへの入り方が少々難でしたが、使用してるCG枚数はそこそこあり、それなりに満足はしました。

 このメーカーは過去作品なんかをプレイしてみても着眼点とか発想は良いんですけど、どうも話のもっていき方とか描写の薄さが致命的になってるように思えます。 話の内容自体は各ヒロインに合ったものになっていて悪くは無かったんですけどね。 逆に過去のトラヴュランス作品をプレイされた上で同メーカーが好きな方なら、恐らくお馴染みのノリになってますので満足できると思います。


◇ お気に入りキャラ

 「如月 葵」かな。 主人公が他のヒロイン達と楽しそうに談笑してるのを見て嫉妬した葵が持っていた竹箒を「バキッ!」と折ってしまうイベントがなかなか可愛くて良かったです(笑)。


◇ 備考

 所要時間: 1プレイ1時間〜1.5時間。コンプリートまで約6時間


私的満足度: ★★★★★ ★☆☆☆☆

Copyright(c) 2007 SHEO