戦女神U 〜失われし記憶への鎮魂歌〜 |
発売日:2002.10.25 / Eushully
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アイテムの取り残しはありますが一通りのイベントとCGは見たので終了。
所用時間は1stプレイ80時間強、CGコンプまでは98時間と言ったところでした。
大艦巨砲主義のブランドらしく、かなりのボリュームに圧倒されましたよ。
アイテムコンプには更にあと何周か必要なようですが、のんびりと補完していくつもりです。
かつて世界を震撼させた伝説の七魔神。
その一柱を封印しているレウィニア神権国の封鎖地で何者かが魔神の封印を解いてしまった。
その事をいち早く察知したレウィニアの水の巫女は“神殺し”であるセリカ・シルフィルへ魔神の探索を依頼するのだった…というあらすじ。
前作『戦女神』から半年後の世界が舞台となっているRPG。
前作を踏まえた上でのやり取りが結構あるので、前作未プレイなら同梱されてるノベル「風蝶草の微笑」を一読してから始めた方が良いかも。
BGMなどは前作のまま使用されていているので前作プレイ済でも懐かしめるんじゃないでしょうかね。
選択肢などは無く、大体4〜5時間くらいで読み終えます。
ただ、一部のキャライベント(カウラとの火竜退治など)が割と端折られているので少々物足りなさも感じました。
まぁそれでも前作の流れを知る分には問題無いと思います。
ゲームシステムは通常イベントなどはADV形式。
そこで迷宮などの情報を得られると全体マップ上に迷宮の場所が表示され、マップ画面から移動先を選択することで任意の場所へ移動できるようになります。
迷宮内に入ると斜め見下ろしのフィールド移動タイプになりますが、それ以外は移動先を選択するという構成で、このあたりは前作と同じ。
前作は1つの街とその周辺という行動範囲の狭さもあって問題ありませんでしたけど、今回は周辺諸国を全て巻き込むほどの広範囲を飛び回るので少々無理があります。
例えば船で一週間はかかるという距離もゲーム中では一瞬で移動できてしまうため、広大な世界を旅してるという臨場感を感じ難いのが残念なところ。
もっとも世界各所を好きな時に移動できるという自由さがこのゲームの長所にもなっていると思うので仕方ない面もあるんですけど。
ストーリー展開は基本的に一本道。
全13章で構成され、いくつかのイベントやCGが排他関係になっているものがありますけど大筋の展開は変わりません。
序盤は影で暗躍する七魔神と、その魔神対策を講じる各国の思惑などが主人公と別視点で挿入されて全体の流れが把握しやすいのが好印象。
単純に“七魔神=敵キャラ”ではなく、七魔神の中でも色々とあって展開に意外性を感じられたのも良かった。
更に主人公陣営ではセリカを欠いたメンバー構成(場合によっては1〜2人だけ)で探索する場合が随所にあり、サブキャラ達が活躍する場面が多くてマンネリ化しないのもポイント高いです。
そして終盤はセリカ自身の過去(感情が欠落ぎみな事や“神殺し”となった経緯など)が語られ、個人的には前作から不明だった点がいくつか解決してすっきりしたのも良かったかな。
セリカの感情が希薄なのはRPG主人公というのを意識しての事だと思っていたのですが、ちゃんと意味があったのですね(笑)。
そんな訳でストーリー展開自体は悪くない(個人的には良かった)のですが、これらの流れを楽しむための「世界観の説明」が少々不足している気がしました。
世界観を共有する『幻燐の姫将軍』シリーズなどを見ればしっかりとした設定の上での展開だというのは解るのですが、このゲーム単体だと魔神や神格者の特異性なんかで都合の良さや強引さを感じてしまうのが勿体無く思えます。
それともう一つ、私的にはこちらの方が深刻なのですが、ヒロイン級のキャラ達に今ひとつ魅力を感じられなかったのです。
気に入ったキャラといえばハイシェラ、レシェンテ…あとはシェンナとシェスタくらいかな。
どのキャラも個性は良く描けていたと思うのですけど、メイド4人組は使徒という立場故に主人公に対して忠実過ぎる言動が逆に引いてしまうし、他のヒロイン達もどこか一歩引いて(遠慮して)接してる感じがします。
加えて主人公の感情が希薄という設定のせいで淡々とした社交辞令のようなやり取りが多かったのがキャラ描写としては結構なマイナス要素になってしまった…と言うところでしょうか。
で、RPGでは一番長く接することになるダンジョン探索と戦闘に関してですが…結論から書くと悪くはなかったです。
ほとんどのダンジョンは初挑戦でも途中離脱することなく、程よい緊張感を保ちながら最後まで探索できます。
ダンジョン内部の仕掛けや敵のエンカウント率や強さ調整など「ゲームバランスは見事」と言って良い出来でした。
戦闘は半リアルタイムのコマンド選択型。
戦闘には最大5人までしか参加できませんが、戦闘中でも割と簡単に入れ替えは可能。
また戦闘中に行う行動は全てフレーム数を消費することになり、基本的に動きの早い者は必要フレームが少なく、遅い者は多くのフレームを消費します。
このゲームの場合は多少攻撃力が弱くても少ないフレーム数で沢山行動できるキャラの方が何かと重宝しますが、遅いキャラは攻撃力・防御力が共に大きめなので細かく敵の戦力を削るか、多少ダメージを食らってでも一発ドカンと大ダメージを与えるかと言うような駆け引きの幅が結構あって個人的には悪くなかったですね。
パーティメンバーは能力的な差別化は出来ていたと思います。
ただ、魔法使い系のキャラは使い勝手が今ひとつな上に終盤ではほとんど活躍できないのが難点でしょうか。
レベルアップは前作同様に経験値をパラメータに割り振る事で行います。
このパラメータ割り振り方式によって好みの能力値を伸ばせるのでプレイヤーの育成的な自由度が高いのは嬉しいところ。
素早さを上げまくって重い装備を外し、神速部隊を編成すると殆ど無敵となるのも前作同様(笑)。
装備品の種類ごとに熟練度があるのも面白い。
更に本編のストーリーを進行させる事以外でのやり込み要素も豊富。
ラスボス級の強さを誇る“はぐれ魔神”や地下100階までひたすらボス級の敵を倒しまくる“セバスの門”、合成儀式やレアドロップによってのみ入手可能なアイテム収集など、やり込み派にとては嵌る要素が多くて嬉しいところです。
とにかくエロゲRPGとしてはかなり“遊べる”作品に仕上がっていて、この手のゲームが好きな自分にとって本来なら名作と言っても差し支えないのですが…残念なことに人によっては全てを台無しにもし兼ねない致命的な問題が一つありました。
もうね、とにかく「操作性が劣悪」。
特にメニュー画面からの操作がガチガチに階層化されていて一つのアクションを行う為に膨大なマウスクリック回数を要求してきます。
例えばキャラ同士でアイテムの交換を行うだけで実に13回の左右クリックが必要になるのですよ。
まさかコマンド選択型のゲームでARPGの『DIABLO』や『XANADU NEXT』に匹敵する程マウスを酷使するとは思わなんだ。
やり込み要素としてアイテム収集があることは先にも書きましたが、この操作性の悪さがかなり足を引っ張ります。
店で未所持アイテムを購入しようとしても購入画面では未所持アイテムの確認が不可能なので自分でリスト作成して逐一確認する破目に陥りました。
他にも細かいところではダンジョンで入手したアイテムの種類が解り難いのも微妙に不満。
例えば「儀式の剣」を入手して、どの程度の攻撃力なのかワクワクしながらマウス乱打して確認してみたら実は消耗アイテムだった…なんてこともありました。
アイテム名の前に識別アイコンを表示させるだけでも大分違うと思うんですけどねぇ。
これらの操作性の悪さと融通の利かなさに何処まで耐えられるかに寄ってゲームの評価も大きく変化する可能性があります。
内容に関しては個人的に問題ないレベルだっただけに非常に勿体無いなぁと感じました。
エロシーンは数は多め。
ヒロイン達には愛情度というパラメータがあり、これが一定値を超えると夜伽に呼ぶことが可能(例外あり)。
最も多いキャラで5回ほどですが夜伽に呼べるキャラは計11人ほどになるので総数はかなり多いですね。
他にもイベントとして何人かのキャラとのエロシーンが発生します…というか基本的に声ありの女性キャラはほとんどエロシーンありますね。
例外は水の巫女と一部の使い魔くらい。
主人公とのHは基本的に和姦ですが当の主人公はあくまで性魔術の儀式という感じなので甘ったるい会話などが無く、淡々としていて尺も短いです。
他にはダンジョン探索中に輪姦シーンなどに遭遇することがありますけど、これもやっぱり短め。
ハーレムプレイは双子姉妹の丼プレイがある程度かな。
割とオーソドックスなものが多く、ファンタジーならではの凝ったシチュエーションは特に無かったかと。
それと約2名ほど敵に拉致されて犯られてしまうという寝取られ風味な展開もありました。
直接描写は無かったですけどアンチNTRの人はキツく感じるかも知れません(笑)。
とりあえず1シーンで使用されるCGも少ないので実用は厳しいと思われます。
一部の喘ぎ声がループ再生されるのは良い感じなので、もう少し盛り上げ方に気を使って尺も十分に用意して欲しかったところですね。
声優さんの演技は一部でかなり微妙。
七魔神の筆頭であるランジェリーなんか「風邪ですか?」と聞きたくなるくらい鼻詰まりな声でちょっと萎えました。
というか舌が回ってないのかな。
BGMは前作の「戦士」のようなノリの良い曲がもっと欲しかったところではありますが全体的には良好だったのではないでしょうか。
主題歌の「魂の記憶」は前作の「戦女神」のアレンジボーカル版となっていてなかなか良さげ。
歌詞はネタバレですけどね(笑)。
まとめとしてはヒロインキャラの魅力は今ひとつな感はするものの、物語的にもやり込みRPGとしても高水準な事は確か。
ただし全てを台無しにし兼ねない操作性の悪さが最大の泣き所…と言ったところですね。
以下は自パーティメンバーの雑感。
エクリア・フェミリンス
セリカの第一使徒。
セリカとはテレパシーのようなもので会話ができるほど最も繋がりが深いキャラ。
ただセリカからエクリアの思考を読むことは出来ない模様(笑)。
『幻燐の姫将軍』シリーズの姫将軍その人だが今作ではちょっと引いてしまうくらいセリカに忠実な様子ばかりが描かれるので、個人的にはあまりヒロインキャラとは感じられなかったのが残念。
幻燐をプレイ済みだと例の仮面やイリーナなどで「お!」と思わせるシーンがいくつかありますね。
戦闘では多彩な魔法を操れるのですが…このゲームでは魔法はそれほど活躍できないので終盤は補欠に回ってしまいました。
マリーニャ・クルップ
セリカの第二使徒。
元盗賊なのでお宝に目が無いが家事全般が得意な家庭的なキャラ。
ゲーム中ではセリカとの出会いや使徒となった経緯がほとんど語られないが少々物足りないですね。
戦闘では使い勝手が良く、前衛でかなり活躍してくれます。最終的にはセリカに次ぐレベルになりましたし。
シュリ・レイツェン
前作の冒険でも同行していたセリカの第三使徒。
セリカとの付き合いはマリーニャより長い。
セリカとの出会いの回想とか両親(の幽霊)との邂逅などのイベントが多く、かなり優遇されてる印象。
戦闘では回復要員としてゲーム全般に渡って活躍できました。
サリア・レイツェン
前作でセリカに身請けされた第四使徒。
ただし使徒化の儀式はまだ行っていない模様。
「うーー」という口癖がかなり鬱陶しい上に色々と足りてないのに会話の参加率が高いので私的にはウザキャラという印象しかありませんでした(苦笑)。
戦闘でも中盤まではひたすらパーティのお荷物。
召還魔法を覚えればボス戦でそれなりに使えるが、召還するまで時間がかかるのが難点ですね。
レヴィア・ローグライア
前作でも登場したレウィニアの将軍。
セリカとは子供の頃から接していて“神殺し”に対する畏怖は無し。
普段は強気な態度を取っているがHのときはしおらしくなるギャップが良いですな。
将軍になったのもセリカの立場に近付くという思惑があったようだし本来なら結構なお気に入りキャラになると思うのですが何故かそれほど萌えませんでした。
正義感が強すぎて何事にも筋を通したがる言動に付き合わされるのがネックだったのかも。
正直言ってレフィンとくっ付いて欲しいと思いましたし(笑)。
戦闘では前衛として割と活躍するし、中盤から水の巫女の加護を受けて回復もこなせるので地味に重宝します。
そのうち神格も授かるんでしょうかね。
ロカ・ルースコート
前作でも登場した軍神マーズテリアの司祭。
ロカに関しては本人云々以前に聖女クリアとの関わりや大司祭プレイアデスの言動など謎な事が多いですね。
しかもゲーム中にその謎はほとんど明かされないですし。
高慢な態度を取っていたプレイアデスが凄く小物臭いのも拍子抜け。
戦闘では物理攻撃・魔法・回復・魔導鎧と万能型だが、逆に言うと全てが中途半端なので使い勝手は今ひとつと言ったところでした。
シェンナ & シェスタ
エルフの双子姉妹。
関連イベントは少ないけどキャラ立ては割りと良かったんじゃないかと。
サリア、レシェンテとの幼女カルテットはそれなりに微笑ましくはありました(笑)。
戦闘ではシェンナが風+精霊魔法、シェスタが弓攻撃でそれぞれ使い勝手は悪く無い。
特にシェスタの弓はなかなか強力でした。
マウア・フィズ=メルキアーナ
メルキアーナ帝国の皇女で同国の将軍。
皇族らしく礼儀正しい言動はするものの、セリカの隕石招来イベントでは「神殺しなんだから何とかして」的な態度で萎えた(苦笑)。
エロシーンはレヴィアと排他ということもあって思い入れもそれほどありませんでした。
戦闘ではロカより強力な魔導鎧攻撃がかなり使えます。
特にセバスの門の下層エリアでは重宝した。
カウラ・グレイジー
前作でも登場したミルフェの自衛団長。
縄で髪をツインテールにしてるが、温泉イベントを見る限りでは髪を下ろした方が可愛いですね。
攻撃力・防御力共にかなり高く、ボス戦やセバスの門の下層エリアで前衛キャラとして使えました。
ウェンディス・プラーナ
前作でも登場した女魔道士。
前作でセリカに敵対できない呪いをかけられている。
服の役割を果たしてない衣装とか言動とかでお笑い要員的に扱われていて割りと楽しいキャラではありますが、個人的にはちと属性外でした(笑)。
女性上位のスティンルーラ出身で、故国の体制に疑念を抱いている。
個人的にはこのあたりのイベントをもっと良く描いて欲しかった気もします。
戦闘では魔法要員ですが、物理攻撃が効き難い敵の時くらいしか活躍の場はありませんでした。
レシェンテ
七魔神の一人「紅雪のレシェンテ」。
ゲーム終盤近くでセリカの使途となる。
声優さんの演技はちょっと危うい感じがしたけど、幼い外見と婆さん口調とのギャップがなかなか良かった(笑)。
七魔神の中ではイオとこのレシェンテだけが“真の女神”らしい。
関係ないけどレアの設定だけはイマイチ良く解りませんでした。
元は人間らしいけど、セリカの肉体である古神アストライアの姉でもあるらしく、このあたりの設定が理解できずにいます。
単に女神になった際に記憶を引き継いだだけかも知れませんけど。
で、レシェンテですが、戦闘では敵対してた時のあの圧倒的な強さは何だったんだろってくらい弱いです。
ただ魔法系が主だけど体力が意外に高くてそれなりに使えました。
イーリッシュは省略(笑)。お気に入り順は
レシェンテ > シェスタ > シェンナ > マリーニャ > ロカ > レヴィア > カウラ > シュリ > ウェンディス > エクリア > マウア > サリア
しかし…リンシャ姐さんも言ってたけど、見事な女所帯だよな…。
私的満足度: ★★★★★ ★★★☆☆
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