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冥色の隷姫 〜緩やかに廃滅する青珊瑚の森〜
発売日:2005.09.16 / Eushully
 アイテムの残り一つが出ないけどCG・回想共に100%にしてユニット一覧も全て埋まったのでコンプとします。 所用時間は1stプレイで20時間ほど、コンプまでは…おそらく70時間前後だと思います。とにかく時間がかかりました(苦笑)。

 リガーナル半島のほぼ中央に位置するザルフ=グレイスは人ならざる魔人「イグナート」が治めていた。 そしてエルフ族の治める隣国ルア=グレイスメイルとは長年に渡って争っていたが、最近になってルア=グレイスメイルをほぼ壊滅状態に追いやることに成功する。 イグナートは降伏の条件としてルア=グレイスメイルの姫君「シルフィエッタ」を差し出すよう要求するのだった…というあらすじ。


 『空帝戦騎』に続くエウシュリー2ヵ年計画第二弾にあたる作品。 シルフィエッタ姫を調教して魔力を蓄え、半島統一を目指す戦略級SLGです。 半島には自国を含めて計12カ国が割拠しており、敵対勢力(および中立勢力)が全て無くなればクリア。 エンディングは10種類用意されていて統一したしたときの状態によって変化します。
 ゲームシステムなどの説明はオフィシャルサイトを参照してください。(超手抜き)

 主人公(?)は元は人間だった魔人で彼が率いる軍団はゴブリンやオークといった魔物達。 敵対勢力は人間族やエルフ族の国でエルフは更にいくつかの種族と部族に分かれている…というエウシュリーらしいバリバリのファンタジー世界が舞台になっています。 これを書いている時点で『戦女神2』や『幻燐の姫将軍』は積んでいるのですが、たぶん同じ世界観じゃないかな。 ユニット絵などはクールに描かれていて雰囲気はかなり出ていました。

 物語としては、シルフィエッタ姫という上質の魔力供給源を得た魔人イグナートが、その能力を持って一気に半島制圧に乗り出す…のかと思ったのですけど何もしませんね(笑)。 どうもシルフィエッタを手に入れることが最大の目的だったようで、その後の展開はプレイヤーのご自由に…という感じ。

 いきなり隣国に宣戦布告するもよし、ひたすら調教を続けるもよし…と、ある程度自由にプレイできるのは長所と言えると思いますが、個人的にはイグナートとのシンクロ率が限りなく0に近かったので、せめて何らかの指標は示して欲しかったところ。
 人間を憎んでいるのなら他国を蹂躙しまくるし、より強大な力を欲しているのなら調教やユニット育成などに力を注ぐところですが、何をしたいのかがよく判らない。 つか、はっきり言って自分から何もしなくても、他国のやつらは一定ターン数が経過すれば勝手に宣戦布告して攻め込んでくるので、とりあえず降り掛かる火の粉を払ってたらいつの間にか敵国が無くなってた…という感じで結局最後までイグナートにシンクロする事はなかった。 周辺国に恐れられてる魔人としては覇気が無さすぎです。

 他国の情勢などはターン始めにイベントが挿入される形で語られます。 プレイヤーから見れば無気力極まりない魔人でも周辺国の重鎮達にとっては脅威のようで、魔軍対策を色々と画策する様が良く描かれていて好印象。 中でも勇者のイベントは仲間達との出会いから最後の救いの無い展開まで、人間達の身勝手さが結構印象に残って楽しめた。
 ただ…周辺国イベントの流れは毎回同じなのが残念かな。 欲を言えば周辺国の状態によって、例えば他国同士が争ったり、滅ぼされた国の姫や将軍が他国に亡命して魔人討伐に協力するような流れとかあっても良かったと思います。


 戦闘は風の祝福属性や陣形などが結構影響したりして戦略的要素が高そうですが、正直言って「ぬるい」です。 序盤はユニットの“戦意”を上げておくことでほとんど無敵となってしまうのが拍子抜け。 まさかゴブリンとコボルトのみの1軍隊で1つの国をノーダメージで滅ぼせるとは思いませんでしたよ…。
 中盤以降で敵対する国では結構スキル効果でダメージを食らう場合がありましたけど、その頃には自国にも強力なユニットが登用できるようになっているので、結局最後まで作業感は拭えませんでした。 娘のセオビット(量産可)と、魔獣ラナゼレバスを同じ軍隊に入れておけばほとんど無敵。
 ユニットの種類はかなり豊富で、クラスチェンジによって増えたり、中には登用するのに苦労する種族なども居て、結構コレクター魂を擽ってくれるのはグッド。 まぁその中で使えるユニットはほんの一握りなんで、戦闘を楽しみたい人は敢えて弱いユニットのみを使用して“戦意”も上げずにプレイすると良いかも。 ドロドロの消耗戦になるだけかも知れませんけど(笑)。


 調教コマンドは“魔力”を得ることがゲーム上の目的ですが、「肉欲」や「羞恥」といった各種パラメータや、その増減値が割と細かく設定されていて結構本格的。 コマンドは細分化されていて全ての調教シーンを見るのは大変です。 中にはパラメータが一定値以上になったり特定アイテムを入手しないと実行できないコマンドも存在しますし、同じ調教シーンでもパラメータの値によって微妙にセリフが違ってたり…と、膨大なパターン数に圧倒されました。
 一応未見のコマンドは色違いで表示してくれるので、根気さえあれば誰でも全コマンドを見れる親切設計になっていたのは個人的に高評価ポイント。 ちなみにシルフィエッタの調教状態(パラメータ値や処女/非処女など)が関わってくるエンディングもいくつか存在します。

 エロシーンのほとんどは調教時のシルフィエッタのシーンです。 イベントとしてのエロシーンも他国の姫を誘拐した際にいくつか存在しますけど数は少なめ。 どのシーンでも奴隷や捕虜として扱っているので和姦的要素は皆無。 アナル系をはじめ魔物に種付けさせて卵(アイテム)を産ませたりと言ったアブノーマル系も割と用意されています。 輪姦や公開陵辱などはありますけど、切断したり潰したりと言った残虐描写はありません。 ひとつひとつのシーンはかなり尺が長く、テキストも淫卑な濃い描写が多くてエロ度は高め。
 ただしハーレム的要素は思ったほど高くはなかった。 捕虜の組み合わせで何パターンか存在する程度ですね。 ただ主要キャラを全員捕虜にしたときに見れるハーレムエンドは圧巻。 和姦ではないけど皆淫乱化しちゃっててハーレム好きな人には一見の価値ありかと。

 声優さんの演技も概ね満足いく出来でした。 個人的にはアレサの上擦れしたような声がちょっと合いませんでしたが、シルフィエッタ役の人は膨大なセリフ差分にもめげず頑張っていたんじゃないかと思います。

 あと、回想シーンではいくつかの調教シーンを組み合わせて再生リストに登録することで好みのシチュエーションや展開を連続再生できる仕様になってるのが素晴らしいです。 先にも書いたようにエロシーンの尺はかなり長くてゲーム中だと鬱陶しさを感じる場合があるので、ゲーム本編では強制スキップして回想モードでじっくりと楽しむ方が効率的にも良いと思います。


 システム的には特に不具合や強制終了もなく安定してました。 ただ操作性は今ひとつ洗練されていない印象を受けます。 戦略画面で自国ユニットをクリックしたらそのユニットの情報や編成が可能なようにして欲しかったし、調教や軍事画面から右クリックで抜けられない等、なんか融通が利かないんですよね(苦笑)。
 反面、クリア特典は充実しています。ユニットや所持金の引き継ぎは当然可能。 他にもボーナスポイントを割振ってエウシュリーちゃんを始めとした同メーカー過去作のキャラ達が強力なユニットとして最初から配備可能になったり、更には調教パラメータのエディット機能なんかも実装可能だったりするので、実は初回プレイが一番シビアで面白かったりします(苦笑)。 二周目以降は実質イベントやエンディング補完がメインかな。

 ぱっと見ではやることが多くて複雑で難解なイメージがありますが、初回プレイ時のゲームバランスはなかなか良く、この手のゲームが初心者でも程よい難易度になっていると思います。 2ndプレイ以降でも難易度を上げたり自ら制限を設けたりすることで調整可能だし、やり込み要素もあるゲーム性の高さは個人的に高評価。
 ただしストーリー展開は大味な上に主人公であるイグナートに全く感情移入できないので些か盛り上がりに欠け、緊迫感溢れる戦闘イベントも無いのでプレイ時のテンションが長時間維持できないのが難点と言ったところですね。 せめてサブキャラ…特にセオビットや他国の姫達の見せ場をもっと多くして、萌え方面で頑張ってくれればもう少し楽しめたと思います。


私的満足度: ★★★★★ ★★★☆☆

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