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峰深き瀬にたゆたう唄
発売日:2006.08.25 / Eushully
 モンスターやアイテム一覧は抜けがありますが全CGと回想は埋めたのでとりあえず終了。 所要時間は1stプレイで約70時間、コンプまでは約100時間くらいでした。 大艦巨砲主義のエウシュリー作品らしく、やたらと時間がかかりましたよ…。

 創世神話の時代「二つの回廊の終わり」によって二つの世界は融合されたが、その際に大陸の一部に“歪み”が生じてしまう。 それから長い年月をかけ“歪み”の地には巨大な地下迷宮である「歪みの主根」が作られ、その地上部に作られたエテの町と「異界守」達によって不安定ながらも一定の秩序を保つようになっていた。 主人公「フィーノ・セフィット」はそんな歪みの主根の最深部にあるとされる“お宝”を手に入れる事を夢見る少年。 そしてついにフィーノにも異界守として歪みの主根へ潜る事が許可されたのだった…というあらすじ。


 広大な地下迷宮を踏破していく事が主な目的となる「純愛系ファンタジーRPG」。 ダンジョンには“歪み”の影響で世界各地から色々な魔物や宝物が“漂着”してくるので、異界守と呼ばれる者達がそういった魔物を退治をしたり宝物を持ち帰る事で町が繁栄する…という仕組みが前程にあります。
 異界守である主人公も当然ダンジョンを探索してお宝を拾ってくるのが目的ですが、他にも町の住人達とコミュニケーションを行って物語を進行させていくことになります。 大体は住人達との会話でお宝や敵の情報を得る → ダンジョン探索を行い目的のお宝や敵に遭遇 → 地上に戻るとシナリオ進行 → 次の情報ゲット…という流れですね。 また時間の概念があり、ダンジョン探索も住人達との会話も7:00から21:00の間しか行えないようになっています。 一応ダンジョン探索中に21:00を過ぎた場合は強制的に地上に送還され、所持アイテムを全てロストしてしまうというペナルティがありますけど、一度も時間超過しなかった私的には特に厳しい制限には感じませんでした。 他にも空腹時の命中率ダウンとか所持アイテム制限など色々な要素がありますけど面倒なので省略(ぉ

 ダンジョン内部は“歪み”の影響で毎回フロアマップが変化するランダムエリアとマップ固定の固定エリアで構成されており、大体は固定エリア間を行き来する為には複数階層から成るランダムエリアを踏破していく作りになっています。 固定エリアにはワープゲートが存在するので一度固定エリアに到達すれば以降はゲートを介して自由に行き来可能。 物語進行上のイベントもそのほとんどが固定エリアで発生します。
 町の住人達とのイベントは町の全体MAP上から見たいキャラのイベント選んでいくだけですが、ダンジョン探索が進み過ぎると見逃してしまったり特定のアイテムを所持してる場合のみ発生するイベントもあるので全てのイベントを見るのは結構大変かと思われます。


 で、まずはこのゲームの肝になる(と感じられる)ダンジョン探索パートですが…一言で書けば“普通にプレイする分には悪くない”ですね。 もうちょっと箱や岩を動かしたり仕掛けを解除するようなパズル要素が欲しかったところではありますが、丁度良いバランスでサクサクとテンポ良くダンジョンを踏破していけるのというのはそれなりに評価できるポイントではないでしょうか。
 個人的には何よりもプレイテンポの良さに貢献していたのは戦闘システムにあったように思えます。 このゲームは最大5人でパーティを組んで探索するのですが、戦闘時の操作キャラは常に一人で、5人のうち誰で攻撃するかを切り替えられる仕様になっているのです。 クリアまでにかなりの戦闘回数をこなす必要があるので5人のキャラを別々に操作するような仕様だったらかなり面倒臭い事になっていただろうと感じるだけに現状の仕様は有難かった。 一応キャラ毎に戦闘における長所と短所があるのでキャラを使い分ける楽しみもありました。
 また主人公達の装備する武器や防具には耐久度が設けられているのですが、近接戦闘用の武器は多めに、遠距離や範囲攻撃用の武器は少なめに設定されていて、それなりにバランスが取れていたのも個人的にはマル。

 …とまぁ先にも書いたようにダンジョンパートは普通にプレイする分には良い感じではあるのですが、これが特定の目的を持って探索を行うと評価が一変します。 具体的に書くとイベントをコンプする為にはランダムエリアに文字通りランダムに配置される宝箱・温泉・魔神の巣と言ったものを特定の条件を満たした上で見つける事が必須であり、更に温泉イベントなどは条件を満たした上でも発生するか否かはランダムで決まるという仕様になっているのですよ…。 そんな訳で設置されてるかどうかも分からないものを求めて何時間もランダムエリアを延々と徘徊するのにかなりの精神的苦痛を伴いました。 何も見つからなかった時なんかはまさに時間の無駄使いですからねぇ…費やした時間に対して何の見返りも与えないというのは21世紀のRPGとしてはマイナスにしかならないと思うので、せめて目当ての施設を見つけたら必ずイベントが発生するようにして欲しかったですよ。


 物語展開の方は個人的に今ひとつ。 『戦女神』や『幻燐の姫将軍』などと世界観が同じなので、それらのシリーズをプレイした人なら設定的に楽しめる部分もあると思いますが、逆に未プレイだと女神・神格者・使徒・魔神・魔族と言ったあたりの設定でかなり“都合の良さ”を感じてしまうかも知れません。
 そして何よりも主人公のクソガキっぷりが致命的でした。 異界守になる前は何もせずイタズラして過ごしてきた癖に自尊心と自己主張は一人前で、尚且つ口の利き方も無礼極まりないガキ。 先走って仲間を危険に晒す事も一度や二度ではなく、自身の過ちを他人に指摘されると「うるせぇ!」で、力で過ちを諭されると「くそ〜!ちくしょ〜!」と喚き散らす様はプレイヤーを萎えさせるに十分な駄目っぷりでした。 正直、長時間付き合う事になるRPGの主人公でコレはないだろうよ…勘弁してくださいホントに。 あと個人的に男性キャラに対しては反発、女性キャラに対しては友好的というあからさま過ぎる態度もちょっとどうかと思った(笑)。
 こんな主人公もラスボスと対峙する場面では全てを悟った物言いでめちゃくちゃ落ち着き払った態度を取ってくれるのですが…直前までの言動が先に書いたような感じだったので個人的には「何か悪いモノでも食ったんか?」と聞いてしまいたくなるくらいイメージと噛み合わず、盛り上がるべきシーンが茶番臭く感じられるのが勿体無かったです。

 あとメインヒロイン級のキャラはセフィリアとミュリの二人だけで、物語の中盤あたりに二人のうちのどちらかと同棲することになります。 ただし大きなシナリオ展開の変化は無く、同棲時のエロシーンが変化するだけ…というのが些か拍子抜け。 また同棲するまでのラブコメ要素が少ないのでヒロインキャラに対する魅力も弱く感じられたのが残念なところ。


 エロシーンは一応登場する女性キャラには全員あります。 流石に母親と主人公とのエロはありませんでしたけど。 …ゴメン、あとタフィおばさんにもエロは無かった(苦笑)。 回数はメインヒロインだと10回以上、その他は1〜6回くらいですね。 ちなみにH可能なキャラは17人で、ミュリルートだと1プレイで一応全員食えます。 特殊プレイとしては触手と女体盛りくらいでしょうかね。 多人数プレイはスゥ&テュテュの双子丼とセフィリア・ミュリ・レイラとの4Pがあり、このあたりはまずまずでした。

 ほとんどのシーンは和姦で、尺は短くもなく長くもなく、声優さんの演技も概ね良好ですが、個人的に実用性はちょっと低めに感じました。 主人公の言動が萎えるというのも一因でしたが、ヒロインキャラの方でもプレイヤーの性欲を刺激するような魅力ある言動をするキャラがシェリルとレイラくらいしかおらず、どうも全体的に性行為に大らかと言うか…何となくノリ的に「さあ、いっちょこーい!」というように感じられて今ひとつ燃えられなかったのが原因だと思います(笑)。 要するに互いの気分的な盛り上がりが殆ど無く単に「気持ちいいから」Hしただけ…という感じなんですな。 まぁ性魔術がある世界だし、露天風呂も男女混浴で互いに素っ裸を晒しても笑顔で会話するような土地柄なので仕方ないのかな。

 あと絵的にもイマイチ色気を感じないんですよね。 原因はよく分かりませんが、なんとなく乳首や尻まわりのラインが好みじゃない気がします(苦笑)。 個人的にこの原画さんの描くキャラは好きなんですけど、衣装を着ている状態では魅力的なのに裸体を晒すと今ひとつ…という珍しい原画さんだなぁという印象を持ってます。


 システムまわりは安定してますが、操作系の方は相変わらず融通の利かないところが多く感じました。 特に合成画面・アイテム修復画面・アイテム購入画面・ダンジョン内でのアイテム表示画面は統一して欲しかったしアイテム欄の整理はどの画面でも行えるようにして欲しかったです。 現状ではアイテムの説明が付いたり付かなかったりするし、その説明もステータスの増減値を全て記述してる訳でもなく、装備時の呪いの有無も不明…と今ひとつ使い難い印象を受けました。


 やり込み要素は他のエウシュリー作品と比較するとかなり低め。 魔神討伐なども巣を見つけるまでが苦労するけど、見つけられれば倒すのは凄く簡単で拍子抜け。 アイテムも合成でマリアハートなどの強い装備品が比較的簡単に作れてしまってレア度が低い上に種類もそれほど多くないので収集欲があまり沸きませんでした。 せめて魔神討伐はもっとダンジョンを多重構成にして難易度を高めておいて欲しかったところです。


 ゲームのメインとなるダンジョン探索パートが(1stプレイ限定とは言え)悪く無かったのでRPGとしては十分楽しめましたが、主人公の性格、ヒロインの魅力、やり込み要素の低さなど幾つもの不満点が散在していて、ちょっと勿体無いなぁという印象を抱いたゲームでした。


ヒロイン毎の雑感は長くなったので省略。

お気に入りキャラは
 ルティーナ先生 > スゥ&テュテュ > シェリル > レイラ > マシェリ > セフィリ ア > ミュリ > フォーチェラ > ゼレイア > シーズ


私的満足度: ★★★★★ ★★+☆☆☆

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