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イース 〜フェルガナの誓い〜
発売日:2005.06.30 / Falcom
 1989年に発売された『ワンダラーズ・フロム・イース』(イースIII)のリメイク版。 『イースI・II』に比べるとあまり一般受けしなかった感のある III ですが、個人的には割りと思い入れのあるゲームですし、初回特典のサントラ8枚も魅力だったこともあって購入と相成りました。 ただ…ここ暫くアクション系のゲームはプレイしていなかったので難易度は「EASY」でのプレイでした…ヘタレですまん(笑)。

 冒険家「アドル=クリスティン」は旅の道中でフェルガナ地方の不審な噂を聞き付ける。 その地は相棒である「ドギ」の生まれ故郷であり、アドルとドギは一路フェルガナの街「レドモント」を目指すのだった…というあらすじ。

 オリジナルの『イースIII』はサイドビューのアクションRPGでしたが、今作は『イースVI』と同様に斜め見下ろし型。 フィールドは恐らくフルポリゴンで描かれていると思いますけど、カメラ位置は固定…要するに視点を自由に動かすことは出来ません。
 フィールド背景は細かいところまで描かれていてかなり綺麗。 特に街の建物や生活感溢れる家具とか、ティグレー採石場での地下水の流れる様とかは必見。

 アクションは「攻撃」「ジャンプ」「リングアーツ(魔法)」を組み合わせるという割とオーソドックスなタイプで、『イースVI』が未プレイの方でも操作に戸惑うことは無いと思います。 物語が進んでいく過程で「2段ジャンプ」「旋風ジャンプ」と言った技を取得し、ゲームを進めていく上での必須技となるのですが…このあたりは割愛。 今回の売りの一つでもある「ブースト」に関しては…少なくとも難易度「EASY」ではあまり必要なかったですね。
 そしてそのシンプルな操作から繰り出される攻撃アクションはなかなかに派手で、イースシーリーズ特有の“爽快感”を感じられたのは良かったと思います。

 ただ…今作はオリジナルと異なり“奥行き”という概念があるため、特定のステージでは思い通りに足場へ移動できずに結構なストレスを感じてしまった事は“爽快感”が特徴である同シリーズとしてはマイナスかと。 具体的に書くと「時計塔」というステージにある回転する巨大歯車で、画面から見て奥と手前との遠近感が掴めず何度も落下するはめになったですよ…。 もうちょっと視点の角度を上方向にする等の配慮が欲しかったところです。

 戦闘はザコ戦に限っては一部でリングアーツや下突きなどを駆使しなければ倒せない敵がいますけど、コツを掴んでしまえば特に苦労することはないでしょう。 ある程度レベルを上げたり装備を充実させればダメージをほとんど受けませんので、引き付けられるだけ引き付けてから風のリングアーツで一網打尽にすると結構ストレス解消になります(笑)。
 反面、ボス戦はかなり難しかった。 ボス一体につき攻撃パターンが数種類あり、パターンを掴んだと思ったら別の攻撃アクションを食らって昇天…ってなことが何度もありました。 更に飛行系のボスなどは手の出しようの無い位置にいる事が多く、攻撃を当てられるチャンスが非常に少ない…というのも難易度を上げています。 数少ないチャンスをふいにした時なんかはマジ泣きしたくなります。 ラスボスもオリジナル版はジャンプして斬りつけてれば倒せましたが、今回は流石に一筋縄では行かずかなり苦労しました。 まぁだからこそ倒した時はかなりの達成感を得られるのですけどね。
 ちなみにクリア後はボス戦のみを楽しめる「タイムアタックモード」が追加されるようですが…イージーモードだと出ないみたいです(苦笑)。 タイムアタックにチャレンジしたい人はまずノーマルモードでクリアしましょう。

 ストーリーに関しては元々が16年前のゲームということもあり、全体的に古臭さくてこじんまりしてる感じはしますね。 登場人物も少ないですし。ただ、オリジナル版をプレイした身としては細部に結構手を加えられていて楽しめました。
 例えば他のイース作品…具体的には VI の設定をそれとなく取り入れていた事は該当作品プレイ済みの人だとニヤリとできるんじゃないかと(そういえば『イースVI』には真名にガルバラン(イースIIIのラスボス)を冠するボスキャラがいましたな…)。
 また、各キャラの言動の不自然さは少なくなっていたのも良かったかな。 「ドギ」や「チェスター」などの主要キャラはちゃんと見せ場となるシーンがありましたし、ヒロインの「エレナ」もオリジナル版から見れば飛躍的に萌え度の高いキャラになっていてグッド。 余談ですがシスターとメイドさんにもちょっと萌えた(笑)。
 ちなみにオリジナル版ではアドルが冒頭で「ここがドギの生まれ故郷なんだね」と喋ってましたが、今回は「アドルは○○に挨拶した」と言う感じになっていて喋りません。

 あとはイースを語る上で外せないのがBGMでしょうか。 私はPC-Engine版『イースIII』のロック調BGMが大好きでして、今回それを下回っていたら泣いちゃうところでしたが…結論から書けば満足できました。 オーケストラ風味のアレンジということで重奏な曲調で音質も良好。 個人的な好みで言えばノリの良いPC-Engine版の方が好みではありますが、だからと言って期待外れとは間違っても言えない出来だと思いますよ。 BGMは全てoggファイルで格納されているのでゲーム以外でも聴けるのが嬉しいですね。

 とりあえず、オリジナル版を発売時期にプレイした人なら当時を懐かしんでプレイできるとは思います。 ただ細かいところでアレンジされているとはいえ、どうしてもストーリー的に小粒な感は拭えませんので、新規ユーザーや『イースVI』から入った人にはちょっと物足りなさを感じてしまうかも知れません。 個人的には久々のアクションRPGということで、ちょっと手が痛くなってしまいましたが、途中挫折することなく良い感じで集中してプレイでき、満足しています。

私的満足度: ★★★★★ ★★☆☆☆

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